神奈川・川崎市の住宅から遺体が見つかった事件で、遺体の身元が行方不明になっていた岡崎彩咲陽さん(20)と判明。3日夜、遺体を遺棄した疑いで元交際相手の白井秀征容疑者(27)が逮捕されました。警察に相談しても対応してもらえなかったと主張する岡崎さんの親族。警察は3日、これまでの経緯を説明しました。今回の事件、対応に問題はなかったのでしょうか。 ◇◇◇3日、羽田空港にアメリカからの便が到着した。乗客が続々と降りてくる。そこに、1人の男が姿を見せた。死体遺棄の疑いで逮捕された白井秀征容疑者だ。帽子をかぶり、電話をしながら歩く。
すると、スーツ姿の人物が数人駆け寄る。神奈川県警の捜査員だ。白井容疑者の前に回り込み、声をかける。実はこの時、警察は任意同行を求めていた。白井容疑者は立ち止まり、驚く様子も抵抗する様子もなく応じる。事件が発覚する前、アメリカに出国していた白井容疑者。捜査員と話し終えると、カメラを意識したのかマスクをつけ再び歩き始め、警察の車で空港をあとに。そして、神奈川県警本部へと入っていった。 ◇◇◇先月30日、神奈川・川崎市にある白井容疑者の自宅から、一部、白骨化した遺体が発見された事件。3日になり、遺体は元交際相手で行方不明になっていた岡崎彩咲陽さん(20)と判明した。白井容疑者は調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているという。身元が明らかになってからおよそ6時間後、事件を担当してきた川崎市の警察署の前には、彩咲陽さんの親族や知人が集まっていた。バンキシャ!「岡崎彩咲陽さんの父親が警察署に入りました」 署員と話す彩咲陽さんの父親、すると続々と人が警察署に入っていき、警察官ともみ合いになる様子も。憤る理由は…。 岡崎彩咲陽さんの父「僕は何回も『ストーカーで捕まえてくれ』と何回も言ってる」“事件をめぐる警察の対応”だ。遺族によると彩咲陽さんは、白井容疑者と別れたあと、執拗(しつよう)なストーカー被害を受けていたという。遺族は“警察にたびたび相談したが対応してもらえず、事件が起きた”と主張してきた。岡崎彩咲陽さんの父親 「娘はここ(川崎臨港署)で殺されたのと一緒」 “ストーカー被害”の訴えに、警察はどう対応したのか。神奈川県警は3日、これまでの対応について初めて説明。遺族の主張とは決定的な食い違いがあった。警察「相談を受けていた認識はない」 ◇◇◇去年12月、20歳の誕生日を迎え笑顔を見せていた岡崎彩咲陽さん。この一週間後に行方不明となり、先月、変わり果てた姿で見つかった。幼稚園のころから彩咲陽さんを知っているという親子は──幼稚園からの知人「元気で走り回っているイメージ」「明るい元気な子」「人としてなぜそういうことができたのか、何も言えないです。悔しいです」 彩咲陽さんの遺体を遺棄したとして逮捕された元交際相手の白井容疑者とは、どんな人物だったのか。小学校から高校にかけて白井容疑者を知る人は──小・中・高 白井容疑者を知る人「ちょっとやんちゃっぽい男の子。ふざけて目立つような笑いをとるような子」白井容疑者と彩咲陽さんの共通の知り合いだという人は──2人の共通の知人「結構礼儀正しいやつだった。普通に友達も多くて、変なやつだと思わなかった」ただ、違う一面を耳にすることもあったという。2人の共通の知人「周りから白井(容疑者)が暴力を振るったり(と聞いた)。俺は、そんな感じはしなかった」 そんな白井容疑者が彩咲陽さんと交際を始めたのはおよそ1年前。彩咲陽さんの勤める飲食店に、白井容疑者が客としてやってきたのがきっかけだったという。彩咲陽さんの職場店長「白井(容疑者)が職場の先輩たちと飲みに来ていたんです。彩咲陽が手伝いしたときに知り合って仲良くなって、連絡先交換して付き合うようになった」1か月ほど交際し、別れたという2人。その後、彩咲陽さんは周囲にある悩みを打ち明けていたという。彩咲陽さんの職場店長「首絞められたり、殴られたり、蹴飛ばされたりは聞いた」それは、白井容疑者からの暴力。警察の説明によると、彩咲陽さんは去年6月13日、「彼氏とけんかになった」と通報。9月20日には、彩咲陽さんの父親から「娘が元彼から暴行を受けた」と通報があり、その日のうちに警察が被害届を受理している。しかし10月29日には一転、彩咲陽さん本人が「大げさに話した」などとして被害届を取り下げ。 そして11月22日には、彩咲陽さんと白井容疑者がそろって警察署を訪れ、復縁したことを確認したため対応を終えたという。 ◇◇◇ しかし、それから1か月もたたない去年12月──情報提供を求める遺族のSNSより「いるじゃん、いるじゃん」その頃に撮影したとされる動画からは、彩咲陽さんが身を寄せていた住宅のそばで目出し帽をかぶった人物の姿が確認できる。彩咲陽さんの身に危険が迫っていると感じた遺族は、警察に繰り返し対応するよう訴えてきたという。しかし、警察の主張とは大きく食い違う。その1つが、そもそも「ストーカー被害の相談」があったかどうかだ。彩咲陽さんの携帯電話の通話履歴とされる写真からは、去年12月、川崎市の臨港警察署に9回、電話をしていることがわかる。警察も3日、彩咲陽さんから“9回の電話”があったことは認め、その内容を公開した。最初の電話は去年の12月9日。彩咲陽さんは「元交際相手が家の周りをうろついている」と話した。しかし、およそ30分後には、「元交際相手に話さなくてもいい、警察署にも行きません」と警察が対応することを断ったという。翌日(12月10日)には、「元交際相手に自転車を盗まれた」と電話。さらに12月12日、「元交際相手が自宅付近をうろうろしているので怖い。自宅周辺をパトロールしてほしい」という電話。そして“9回目”となる12月20日。彩咲陽さんは担当の警察官の名前を挙げて出勤しているかたずねた。しかし、警察官が不在だったため、警察がかけ直すよう伝えると「時間をおいて連絡します」と言い残したという。これが最後の電話となった。彩咲陽さんの祖母の姉は──彩咲陽さんの祖母の姉「発信履歴の明細を送ってもらって、初めてこれだけ警察に電話して直電までしてるのに、警察は何一つ動きないのがおかしい」警察は、このやりとりについてストーカー被害の相談だったか問われると──。警察「相談を受けていた認識はない」この時点では、ストーカー規制法違反にあたる行為はなかったという。同じ神奈川県警で捜査1課長を務めた鳴海氏に聞いた。元神奈川県警 捜査1課長・鳴海達之氏「基本的には相手の意見を尊重するって言うのが基本ベースには あるんですけど、実際に被疑者が徘徊・監視しているような映像もある中だから、実際に行って話を聞いて説得するっていうことはやってもいいのではないかなって、私は思うんです」 ◇◇◇ 警察の対応について、もう一つ遺族と警察との主張が食い違う点がある。それは「事件性の認識」についてだ。警察に9回目の電話をした去年12月20日。身を寄せていた祖母の自宅では彩咲陽さんの行方がわからなくなった後、窓ガラスが割れていたという。当時、同居していた祖母は──彩咲陽さんの祖母「(警察に)中からやったんじゃないですかと言われた」警察は、ガラスの破片が外にもあったことから家の中から割ったのではないかと話したという。さらに──彩咲陽さんの祖母「言ったんですよ。『手の跡です』って。刑事課が来たのに何もやってくれない。『これは事件性はないです』と」一方、警察は──神奈川県警「『事件性がない』という説明はしていない」 警察の対応はどうあるべきだったのか?元神奈川県警 捜査1課長・鳴海達之氏「ガラスを割ってでも何しても入ってくるときは、入ってくる。そんな危険な場所にとどめることはできない。どこか避難場所を見つけてそこに早急に移す。そういった手を差し伸べる対応をとった方がよかったのではないか」(※5月4日放送『真相報道バンキシャ!』より)
神奈川・川崎市の住宅から遺体が見つかった事件で、遺体の身元が行方不明になっていた岡崎彩咲陽さん(20)と判明。3日夜、遺体を遺棄した疑いで元交際相手の白井秀征容疑者(27)が逮捕されました。
警察に相談しても対応してもらえなかったと主張する岡崎さんの親族。警察は3日、これまでの経緯を説明しました。今回の事件、対応に問題はなかったのでしょうか。
◇◇◇
3日、羽田空港にアメリカからの便が到着した。乗客が続々と降りてくる。そこに、1人の男が姿を見せた。死体遺棄の疑いで逮捕された白井秀征容疑者だ。帽子をかぶり、電話をしながら歩く。
すると、スーツ姿の人物が数人駆け寄る。神奈川県警の捜査員だ。白井容疑者の前に回り込み、声をかける。
実はこの時、警察は任意同行を求めていた。白井容疑者は立ち止まり、驚く様子も抵抗する様子もなく応じる。
事件が発覚する前、アメリカに出国していた白井容疑者。捜査員と話し終えると、カメラを意識したのかマスクをつけ再び歩き始め、警察の車で空港をあとに。そして、神奈川県警本部へと入っていった。
◇◇◇
先月30日、神奈川・川崎市にある白井容疑者の自宅から、一部、白骨化した遺体が発見された事件。3日になり、遺体は元交際相手で行方不明になっていた岡崎彩咲陽さん(20)と判明した。白井容疑者は調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているという。
身元が明らかになってからおよそ6時間後、事件を担当してきた川崎市の警察署の前には、彩咲陽さんの親族や知人が集まっていた。
バンキシャ!「岡崎彩咲陽さんの父親が警察署に入りました」
署員と話す彩咲陽さんの父親、すると続々と人が警察署に入っていき、警察官ともみ合いになる様子も。憤る理由は…。
岡崎彩咲陽さんの父「僕は何回も『ストーカーで捕まえてくれ』と何回も言ってる」
“事件をめぐる警察の対応”だ。
遺族によると彩咲陽さんは、白井容疑者と別れたあと、執拗(しつよう)なストーカー被害を受けていたという。遺族は“警察にたびたび相談したが対応してもらえず、事件が起きた”と主張してきた。
岡崎彩咲陽さんの父親 「娘はここ(川崎臨港署)で殺されたのと一緒」
“ストーカー被害”の訴えに、警察はどう対応したのか。神奈川県警は3日、これまでの対応について初めて説明。遺族の主張とは決定的な食い違いがあった。
警察「相談を受けていた認識はない」
◇◇◇
去年12月、20歳の誕生日を迎え笑顔を見せていた岡崎彩咲陽さん。この一週間後に行方不明となり、先月、変わり果てた姿で見つかった。幼稚園のころから彩咲陽さんを知っているという親子は──
幼稚園からの知人「元気で走り回っているイメージ」「明るい元気な子」「人としてなぜそういうことができたのか、何も言えないです。悔しいです」
彩咲陽さんの遺体を遺棄したとして逮捕された元交際相手の白井容疑者とは、どんな人物だったのか。小学校から高校にかけて白井容疑者を知る人は──
小・中・高 白井容疑者を知る人「ちょっとやんちゃっぽい男の子。ふざけて目立つような笑いをとるような子」
白井容疑者と彩咲陽さんの共通の知り合いだという人は──
2人の共通の知人「結構礼儀正しいやつだった。普通に友達も多くて、変なやつだと思わなかった」
ただ、違う一面を耳にすることもあったという。
2人の共通の知人「周りから白井(容疑者)が暴力を振るったり(と聞いた)。俺は、そんな感じはしなかった」
そんな白井容疑者が彩咲陽さんと交際を始めたのはおよそ1年前。彩咲陽さんの勤める飲食店に、白井容疑者が客としてやってきたのがきっかけだったという。
彩咲陽さんの職場店長「白井(容疑者)が職場の先輩たちと飲みに来ていたんです。彩咲陽が手伝いしたときに知り合って仲良くなって、連絡先交換して付き合うようになった」
1か月ほど交際し、別れたという2人。その後、彩咲陽さんは周囲にある悩みを打ち明けていたという。
彩咲陽さんの職場店長「首絞められたり、殴られたり、蹴飛ばされたりは聞いた」
それは、白井容疑者からの暴力。
警察の説明によると、彩咲陽さんは去年6月13日、「彼氏とけんかになった」と通報。9月20日には、彩咲陽さんの父親から「娘が元彼から暴行を受けた」と通報があり、その日のうちに警察が被害届を受理している。しかし10月29日には一転、彩咲陽さん本人が「大げさに話した」などとして被害届を取り下げ。
そして11月22日には、彩咲陽さんと白井容疑者がそろって警察署を訪れ、復縁したことを確認したため対応を終えたという。
◇◇◇
しかし、それから1か月もたたない去年12月──
情報提供を求める遺族のSNSより「いるじゃん、いるじゃん」
その頃に撮影したとされる動画からは、彩咲陽さんが身を寄せていた住宅のそばで目出し帽をかぶった人物の姿が確認できる。彩咲陽さんの身に危険が迫っていると感じた遺族は、警察に繰り返し対応するよう訴えてきたという。
しかし、警察の主張とは大きく食い違う。その1つが、そもそも「ストーカー被害の相談」があったかどうかだ。
彩咲陽さんの携帯電話の通話履歴とされる写真からは、去年12月、川崎市の臨港警察署に9回、電話をしていることがわかる。警察も3日、彩咲陽さんから“9回の電話”があったことは認め、その内容を公開した。
最初の電話は去年の12月9日。彩咲陽さんは「元交際相手が家の周りをうろついている」と話した。しかし、およそ30分後には、「元交際相手に話さなくてもいい、警察署にも行きません」と警察が対応することを断ったという。
翌日(12月10日)には、「元交際相手に自転車を盗まれた」と電話。さらに12月12日、「元交際相手が自宅付近をうろうろしているので怖い。自宅周辺をパトロールしてほしい」という電話。
そして“9回目”となる12月20日。彩咲陽さんは担当の警察官の名前を挙げて出勤しているかたずねた。しかし、警察官が不在だったため、警察がかけ直すよう伝えると「時間をおいて連絡します」と言い残したという。
これが最後の電話となった。
彩咲陽さんの祖母の姉は──
彩咲陽さんの祖母の姉「発信履歴の明細を送ってもらって、初めてこれだけ警察に電話して直電までしてるのに、警察は何一つ動きないのがおかしい」
警察は、このやりとりについてストーカー被害の相談だったか問われると──。
警察「相談を受けていた認識はない」
この時点では、ストーカー規制法違反にあたる行為はなかったという。
同じ神奈川県警で捜査1課長を務めた鳴海氏に聞いた。
元神奈川県警 捜査1課長・鳴海達之氏「基本的には相手の意見を尊重するって言うのが基本ベースには あるんですけど、実際に被疑者が徘徊・監視しているような映像もある中だから、実際に行って話を聞いて説得するっていうことはやってもいいのではないかなって、私は思うんです」
◇◇◇
警察の対応について、もう一つ遺族と警察との主張が食い違う点がある。それは「事件性の認識」についてだ。
警察に9回目の電話をした去年12月20日。身を寄せていた祖母の自宅では彩咲陽さんの行方がわからなくなった後、窓ガラスが割れていたという。当時、同居していた祖母は──
彩咲陽さんの祖母「(警察に)中からやったんじゃないですかと言われた」
警察は、ガラスの破片が外にもあったことから家の中から割ったのではないかと話したという。
さらに──
彩咲陽さんの祖母「言ったんですよ。『手の跡です』って。刑事課が来たのに何もやってくれない。『これは事件性はないです』と」
一方、警察は──
神奈川県警「『事件性がない』という説明はしていない」
警察の対応はどうあるべきだったのか?
元神奈川県警 捜査1課長・鳴海達之氏「ガラスを割ってでも何しても入ってくるときは、入ってくる。そんな危険な場所にとどめることはできない。どこか避難場所を見つけてそこに早急に移す。そういった手を差し伸べる対応をとった方がよかったのではないか」