《旭川・女子高生殺害》「余裕、捜索願も出てない」裁判で明らかになった当時19歳の女と内田梨瑚、事件直後の平然すぎるLINEのやりとり【裁判傍聴】

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昨年4月、北海道旭川市の「神居古潭」のつり橋から、女子高校生(当時17歳)を川に転落させて殺害したとされる事件で、殺人と不同意わいせつ致死、監禁の罪に問われた小西優花被告(20)の裁判員裁判が、2月27日から旭川地裁(小笠原義泰裁判長)で開かれている。
【画像】事件のあった神居古潭の東屋に置いてあったもの

法廷に現れた被告は、報道されている人物像とは似つかない、ごく普通のもの静かな少女といった印象。だが、裁判で明かされる事件の詳細は残虐なものばかりだった。本記事では、初公判と第二回公判の内容を詳報する。
法廷の横のドアから職員に連れられ入廷してきた被告は、法廷に向かってまず一礼した。白いワイシャツに紺色のズボン姿で現れた被告には、まだあどけなさが残っていた。
被告は、報道されているような危険な人物像とは似つかない、ごく普通の少女といった感じだ。
そんな被告が問われている事件は、以下のとおり。
起訴状などによると、小西被告らは、内田梨瑚被告(22)の写る映像を無断で使用した被害者Aさん(当時17歳)を監禁しようと考えて、内田被告はAさんに対し、電話で留萌市の道の駅に来るように命じた。
その後、内田被告はB(当時16歳)を同乗させて、道の駅でAさんと合流したのち、旭川市内でC(当時16歳)、被告を同乗させ、2024年4月18日深夜から翌19日未明にかけて、Aさんを留萌市から旭川市まで車に乗せて監禁。
また、被告は内田被告と共謀して、19日午前3時29分から38分ごろまでの間に、神居古潭にかかる神居大橋で、Aさんの衣類を脱ぐように命じ、極度に怖がるAさんを欄干に座らせたうえ、「落ちろ」「死ねや」などと言って転落させ、窒息死させたとされている。
小笠原裁判長から「何か言いたいことはありますか?」と問いかけられると、小さな声で「いいえ」と答え、「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側の冒頭陳述によると、事件の詳細は以下のとおりである。
事件当時、被告は19歳で、高校を中退し、アルバイトを転々としていた。
被告と内田被告は一時は疎遠になっていたものの、2024年3月末ごろに偶然、旭川市内で再会。
4月16日ごろからは、内田被告の舎弟として、荷物を持ったり、買い出しに出るなどの世話をするようになる。
4月18日夜、Aさんは内田被告の写る動画を自身のSNSに投稿。この動画は、Cが以前撮影したもので、CのSNSに投稿されていたものだった。
このとき、被告と内田被告とBはAさんと面識はなく、CはSNSをフォローするだけの関係だったという。
Cからの連絡を受けて、内田被告は無断で動画が使用されたことを知り、憤慨。
内田被告はCを介して、Aさんに電話をし、(動画を無断使用した)示談金として50万円の支払いと、留萌市内の道の駅に来るように命じた。
内田被告は、Bと合流して、道の駅に向けて旭川市内から車を運転。
4月18日午後11時37分ごろ、道の駅で内田被告らはAさんと合流した。Aさんを助手席に乗せて、車は旭川市内に向けて走り出す。
翌19日、午前1時ごろ旭川市内でCと合流。午前2時30分ごろには、同市内で被告は内田被告の運転する車に乗車。Bを自宅に送り届けたのち、午前3時ごろ、旭川市内のコンビニに立ち寄った。
まず、内田被告がコンビニに入店。その間、小西被告とC、Aさんは車中で待機することになっていたのだが、Aさんもトイレに行きたいと述べたことから、被告はAさんの手をつかんで、コンビニに入店。
Aさんが、コンビニの奥にある個室トイレに入り、その前で被告とCは待機していた。
2分が経過したとき、突然にトイレのドアが開き、Aさんがレジカウンターに向かって走り出して、店員に向かってこう言った。
「すみません。助けてください。警察に通報してください」
だが、被告はレジカウンターに必死にしがみつくAさんを引きはがそうとする。
内田被告が、店員に向かって「こいつ悪いことをしたから、警察に行くんです」、「これで通報したら店も巻き添えくらいますよね」と通報をとがめたという。
被告が引きはがしたAさんをコンビニの裏手に連れていき、内田被告もあとを追うように車を裏手につけた。
被告は、その場でAさんに馬乗りになって顔面を複数回殴打。内田被告も車から降りてきて、暴行したという。
その後、Cを車で家まで送り届け、被告らは車内で神居古潭に行くことを決めたと検察側は指摘する。
神居古潭周辺の事件当時の気温は、6℃にも満たず、小雨が降っていた。
そんな状況下で、被告らは、神居古潭の脇の駐車場に着くと、Aさんに向かって全裸になるように要求。
全裸になったAさんを駐車場のアスファルトの上で土下座させ、その様子を被告がAさんの携帯を使って撮影した。
そして、神居古潭にかかる神居大橋に連行したのち、欄干に座らせて、再び謝罪する動画を撮影。
一度、Aさんは欄干から降りたものの、再度欄干に座らせ、「落ちろ」「死ねや」などと言い、橋の下を流れる石狩川に転落させたという。
この間、内田被告はBとLINEのビデオ通話をしていたというが、途中で音声が途切れ、BはAさんが転落する場面は目撃していないという。
Aさんを転落させたのち、被告らは証拠隠滅のためにAさんの携帯電話を地面に置き、車を前後に動かして損壊。旭川市内を流れる、川の橋の上から投棄している。
傍聴人を唖然とさせたのは、犯行の悪質さだけではなかった。
検察側、弁護側の冒頭陳述が終わったのち、検察側が提出した証拠書類の内容が読み上げられた。
そのなかには、事件後の小西被告と内田被告のLINEのやり取りを記した証拠があった。一部報道によると、内田被告はAさんを「橋に置いてきただけ」と殺害を否認している。そうだとしても、LINEのやり取りはじつに平然としたものだった。
証拠5「統合捜査報告書」から以下抜粋する(注:検察側が口頭で述べたものを以下再現)。
Aさんが内田被告の映像を無断で投稿する前の、2024年4月18日。被告の舎弟ぶりがうかがえるやり取りがあった。
内田被告「タバコ買ってきて。梨瑚の財布に1000円あるから」
(その後、神居古潭以前の事件に関するメッセージについては、被告らは削除している)
4月19日、殺害して帰宅したとされる日のやり取りには、事件に関することがいくつかあった。
内田被告「余裕、大丈夫だ。捜索願もなにも出ていない。そいつの●●高校(注:Aさんの通っていた高校名)に電話したけど、届け出とか、何もないらしい」
小西被告「了解です」
内田被告「それだけ報告しておくね。舎弟のアンタに」
これ以降、事件に関するやり取りはなくなり、日常会話になっていく。
小西被告「リコしゃん。なにしてるんですか?」
内田被告「おうちにいるよ(写真を添付)」
小西被告「ニヒヒ」
内田被告「(スタンプを送る)」
小西被告「うちら、今、遠距離ですね。梨瑚さん」
同日、こんなやり取りも。
小西被告「(動画を添付)これ、リコシャンシャカシャンの服だお」
内田被告「かわいい」
弁護側は冒頭陳述で、起訴内容は認めるとしたものの、裁判員らに対して、判決の量刑を決めるにあたっては、「被告人は積極的に犯行に及んだわけではなく、従属的な関係であることはわかってほしい」と強調した。
弁護側によると、被告は「舎弟」の意味をよく理解しておらず、「なんで女なのに弟なんだろう」と感じていたという。
ただ、内田被告には恐怖心があり、怒鳴られないように命令には従うようにしていたとのこと。
さらに、4月19日午前2時30分ごろに合流するまでは、Aさんを連れ出して監禁している経緯などの具体的な内容は知らず、内田被告らと小西被告が合流した際に、内田被告が怒っていて不穏な空気を感じていたという。
Aさんが委縮しており、暴行を加えられていたことは知らず、Aさんに声をかけても返事がなく、「おとなしい子だなと思っていた」と小西被告が語っていた、と弁護側は説明した。
一部の報道によると、共犯とされる内田被告は起訴内容を否認する方針だという。
今回の裁判で、検察側は内田被告の証人尋問を請求。供述が食い違う今回の事件だが、注目の内田被告の証人尋問は3月3日に予定されている。
取材・文/学生傍聴人

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