「自分は暴力団」とウソ、日本刀を首に当て従業員6人に性的暴行やわいせつ行為…元経営者に懲役30年判決

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女性従業員6人に性的暴行などのわいせつ行為を繰り返したとして、準強制性交罪などに問われた福岡県糸島市の元ペットショップ経営、本多道雄被告(66)の裁判員裁判の判決で、福岡地裁は25日、求刑通り有期刑の上限である懲役30年を言い渡した。
今泉裕登裁判長は「会社を私物化して恐怖で服従させ、過去に類を見ないほどの特異の悪質性がある」と述べた。
判決によると、本多被告は2017~22年、自宅などで女性従業員6人(当時20~30歳代)に自身が暴力団関係者であるとうそを繰り返し告げて誤信させたうえで、日本刀を首に当てて「裏切ったら殺す」などと迫り、性的暴行やわいせつ行為をして、うち1人にけがを負わせるなどした。
弁護側は「拒絶できない状態ではなかった」と無罪を主張していたが、今泉裁判長は「日本刀を当てられるなど、強度の恐怖心から拒絶することができなかった」などとして退けた。
その上で「経営者という優越的地位を背景に、夢や目標に向けて希望を持った被害者らに対し、長期間にわたり継続的に性的行為を繰り返す中で犯行に及んでおり、卑劣極まりない」と結論付けた。
公判では、元従業員の被害女性(30歳代)が、性暴力が長年続いていた背景に、性被害の相談しづらさを挙げていた。女性が意見陳述で「性被害は友人やパートナー、家族に話すのはハードルが高い。性犯罪に遭った時に相談できる環境がもっとあったらいいと思う」と訴えた。
性暴力撲滅の啓発活動に取り組むNPO法人「しあわせなみだ」(東京)の中野宏美理事は「悪いのは相談できない被害者ではなく加害者。被害を受けたら自治体のワンストップ支援センター(性暴力被害者支援拠点)などに相談してほしい」と呼びかける。また、企業に対しては、被害が起きた際の対応マニュアルの作成や定期的な研修の実施を求め、「対策をしない会社もあるため、業界ごとに啓発することも大切だ」と指摘する。

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