「やっぱ1万円な」ご馳走してくれた年上男性が後から求めてきた…これって払わなきゃいけないの?

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年上の男性と外食したところ、あとになって、食事代の支払いを求められた――。こんな内容のツイートが話題になっている。
投稿主はおそらく女性だ。一連の投稿によると、食事から約1週間後、男性から「(店の会計が)そこそこいってしまったので、1万円いただいても良いだろうか」「LINE Payとかで送ってもらえれば!」という連絡が届いたという。
投稿主は、明言こそしていないが、当日の食事代はすべて、その男性が支払ったとみられる。そして、投稿主からすれば、「おごってもらった」という認識だったようだ。
これらの投稿に「払う必要なし」「せこい」「その場で出そうとして相手が断ったなら払わなくて良いと思います」などの意見が寄せられている。
「おごってもらった」はずなのに、あとから食事代を求められた場合、法的に払わなければならないのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。
–今回のケースのように、AさんとBさんが飲食店で食事した際、その代金をAさんが支払ったとします。あとになって、Aさんからいくらか負担をもとめられた際、Bさんは支払わなければならないのでしょうか。
まず、お会計や飲食の際に、「私がおごるね」「ご馳走するよ」などの言葉をAさんがBさんに伝えていたケースから検討します。
この場合、法的には、飲食代金の贈与契約が成立していることになります。
通常、契約については、成立後も撤回することが認められていますが、口頭での贈与契約については、履行が終わった部分について撤回することができません(民法550条)。
今回のケースは、口頭で贈与契約が成立しており、すでに支払いが済んでいるので、履行が終わっていると言えます。したがって、支払った側は、撤回することができません。
ですので、投稿主は支払う必要はありません。
–そのような約束がなかった場合は?
この場合については、さまざまな考え方があるところですので、これから話すことは、一つの考えとして受け取ってください。
私としては、代金を支払った男性から送られてきたLINEを読む限り、支払いをする必要はないように思えます。
というのも、この男性は「1万円いただいても良いだろうか」とお伺いを立てています。
この言葉は「元々ご馳走するつもりだった。だけど、ちょっと高額だったので、可能であれば払ってほしい」という趣旨、つまり、元々は贈与する意思だったと読むことができます。
そうであれば、暗黙のうちに、先ほどと同じように贈与契約が成立していると考えられます。履行がすでに終わっているので、撤回は認められません。投稿主の方は支払う必要はないでしょう。
ただし、いずれのケースでも、自発的に投稿主の方が支払ってあげるのは自由です。その場合、法的には、新たな贈与となります。
今後の人間関係などによっては、支払ってあげるという判断をしても悪くないかもしれません。
【取材協力弁護士】寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)、ともえ法律事務所(東京都中央区日本橋箱崎町)、弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)を経て、2022年11月より、NTS総合弁護士法人札幌事務所。離婚事件、相続事件などを得意としています。事務所名:NTS総合弁護士法人札幌事務所事務所URL:http://nts-law.jp

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