コロナ“第8波”?医師が語るここ2週間の医療現場の変化…急増する感染者と懸念されるインフルとの同時流行で注意すべきこと

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新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。9日の全国の感染者は8万7410人。先週より1万7000人近く増え、医療現場からは「すでに第8波に入った」との声が上がっている。埼玉慈恵病院の藤永剛副院長に、現場の対応を聞いた。発熱外来予約枠を倍増ーー第8波が来かけているという話もあるが、現場の感覚としては?現場の感覚としては、もう第8波に入っていると思います。(当院の)9日の陽性率を見ても、午前の発熱外来は8人のうち7人が陽性。午後は7人のうち4人が陽性でした。13時までの統計では発熱外来に来た15人のうち11人が陽性でした。

夏の再来、流行の波が来ているなと感じます。ーー先週と今週の陽性者数の変化は?10月初めから半ばぐらいまでの新型コロナ陽性者数はかなり減って、10~15人の患者がいた場合、多くて2~3人が陽性でした。感染者数も陽性率も下がってきて、落ち着くのかなと思っていたら、10月半ばを過ぎて、この1~2週間で発熱外来を希望される患者数が増え出し、陽性率もアップ。第7波のピークの頃に近づいてきていると思います。発熱外来の増加に伴い、埼玉慈恵病院では患者の予約枠を2倍に増やしたという。ーー先週から今週にかけて患者はどれくらい増えた?10月になってコロナの感染者数と陽性率が下がったので、発熱外来の予約枠を減らしましたが、今はそれではもう追いつかないので、今週から2倍に再び増やしました。先週までは1枠(10~15人)でしたが、今は2枠でやっています。ちなみに夏は4枠でやっていましたが、10月にだんだん減らして、それをまた2枠に増やしたというところです。ーー現場の対応に変化は?受付の電話が多くなっているし、さらにインフルエンザとコロナのワクチンを今両方一緒に打っているので、看護師も医者も診療以外にワクチン注射もあり、かなり大変な状況です。健康を守るのが医者と病院の仕事なので、需要がある限りは頑張るしかないですね。「緊張感がなくなっている」再び増加する感染者数。第7波と第8波の違いについて藤永副院長は“慣れ”を指摘する。ーー第7波と今の雰囲気は何か違う?だいぶ皆さんが慣れたというのもあると思います。第7波は、「BA.5」というオミクロン株で、今回もほとんどが「BA.5」です。少しずつ新しい株に置き換わる変化が起こっているみたいですけど、まだ「BA.5」が主体で、「BA.5」は感染率は高いけど病原性は以前のデルタ株なんかに比べると高くないということで、少し前より緊張感がなくなっていると思います。さらに藤永副院長は、迫る冬を前に、インフルエンザとの“同時流行”を恐れていた。1日の感染者75万人に?ーー行動制限が撤廃された中での第8波をどう受け止める?今の時点ではコロナだけの感染なのである程度は仕方がないのかなと思いますが、例年だと11月下旬や12月、年明けにインフルエンザがピークを迎えます。インフルエンザとの同時感染になったときはもう余裕がなくなると思います。もし本当に同時感染、両方が同じピークを迎えたときは怖いです、想像を絶すると思います。ーー夏の時のように医療ひっ迫はまた起きる?もし仮にインフルエンザと新型コロナが同時感染した場合、数的には夏のピークよりもかなり増える。夏は1日最高25万人程度の感染でしたが、新型コロナウイルスとインフルエンザがもし同時期に流行ピークを迎えた場合は、(感染者を合わせると)75万人にまで迫るんじゃないかと試算されています。それは最悪のシナリオでしょうけれども、もしそうなった時は大変なことが起こると思います。それが起こらないことを祈ります。さらに藤永副院長は、今年のインフルエンザの流行について、危険性は高いと続けた。「ここ2年間、日本ではインフルエンザの流行はありませんでしたが、流行の指標となる南半球のオーストラリアで2年ぶりに流行したということもあり、その波が日本に来る可能性があります。また、日本は水際対策を緩和したので、インフルが入ってくる危険性も高く、そのためにも今のうちからインフルエンザワクチンを打って予防していただきたいです」医療がひっ迫してしまう前にすべきこと懸念される新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行。これから迎える年末年始の行動には、注意が必要だ。ーー忘年会、帰省についての注意点は?コロナとインフルの同時感染もあるので、今まで通り感染対策はしっかりとしていただきたいです。密を避ける、必要な時は不織布マスクを使う、また、寒くなると換気をする回数がだんだんと減ってきたりするので、しっかり換気を行うことなど基本対策を続けていただきたい。そして、まだ流行っていないうちにインフルエンザのワクチンを打つ。コロナワクチンもオミクロン対応のものが出ているので、打てる方は打ってから帰省するのがいいと思います。オーストラリアでインフルの流行がいつもより少し早かったので、日本も早まる可能性があります。一気に広まった場合は医療がひっ迫する恐れもあるので、インフルは今のうちに打っておくのがいいです。予防対策としてワクチンに勝るものはないです。ワクチンを打つことは、感染の可能性を下げるだけでなく、重症化しない、あるいは、コロナの場合は後遺症を起こしにくくする。そのためにも打ったほうがいいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。9日の全国の感染者は8万7410人。先週より1万7000人近く増え、医療現場からは「すでに第8波に入った」との声が上がっている。
埼玉慈恵病院の藤永剛副院長に、現場の対応を聞いた。
ーー第8波が来かけているという話もあるが、現場の感覚としては?現場の感覚としては、もう第8波に入っていると思います。
(当院の)9日の陽性率を見ても、午前の発熱外来は8人のうち7人が陽性。午後は7人のうち4人が陽性でした。13時までの統計では発熱外来に来た15人のうち11人が陽性でした。
夏の再来、流行の波が来ているなと感じます。
ーー先週と今週の陽性者数の変化は?10月初めから半ばぐらいまでの新型コロナ陽性者数はかなり減って、10~15人の患者がいた場合、多くて2~3人が陽性でした。
感染者数も陽性率も下がってきて、落ち着くのかなと思っていたら、10月半ばを過ぎて、この1~2週間で発熱外来を希望される患者数が増え出し、陽性率もアップ。第7波のピークの頃に近づいてきていると思います。
発熱外来の増加に伴い、埼玉慈恵病院では患者の予約枠を2倍に増やしたという。
ーー先週から今週にかけて患者はどれくらい増えた?10月になってコロナの感染者数と陽性率が下がったので、発熱外来の予約枠を減らしましたが、今はそれではもう追いつかないので、今週から2倍に再び増やしました。
先週までは1枠(10~15人)でしたが、今は2枠でやっています。ちなみに夏は4枠でやっていましたが、10月にだんだん減らして、それをまた2枠に増やしたというところです。
ーー現場の対応に変化は?受付の電話が多くなっているし、さらにインフルエンザとコロナのワクチンを今両方一緒に打っているので、看護師も医者も診療以外にワクチン注射もあり、かなり大変な状況です。
健康を守るのが医者と病院の仕事なので、需要がある限りは頑張るしかないですね。
再び増加する感染者数。第7波と第8波の違いについて藤永副院長は“慣れ”を指摘する。
ーー第7波と今の雰囲気は何か違う?だいぶ皆さんが慣れたというのもあると思います。
第7波は、「BA.5」というオミクロン株で、今回もほとんどが「BA.5」です。少しずつ新しい株に置き換わる変化が起こっているみたいですけど、まだ「BA.5」が主体で、「BA.5」は感染率は高いけど病原性は以前のデルタ株なんかに比べると高くないということで、少し前より緊張感がなくなっていると思います。
さらに藤永副院長は、迫る冬を前に、インフルエンザとの“同時流行”を恐れていた。
ーー行動制限が撤廃された中での第8波をどう受け止める?今の時点ではコロナだけの感染なのである程度は仕方がないのかなと思いますが、例年だと11月下旬や12月、年明けにインフルエンザがピークを迎えます。
インフルエンザとの同時感染になったときはもう余裕がなくなると思います。もし本当に同時感染、両方が同じピークを迎えたときは怖いです、想像を絶すると思います。
ーー夏の時のように医療ひっ迫はまた起きる?もし仮にインフルエンザと新型コロナが同時感染した場合、数的には夏のピークよりもかなり増える。
夏は1日最高25万人程度の感染でしたが、新型コロナウイルスとインフルエンザがもし同時期に流行ピークを迎えた場合は、(感染者を合わせると)75万人にまで迫るんじゃないかと試算されています。それは最悪のシナリオでしょうけれども、もしそうなった時は大変なことが起こると思います。
それが起こらないことを祈ります。
さらに藤永副院長は、今年のインフルエンザの流行について、危険性は高いと続けた。
「ここ2年間、日本ではインフルエンザの流行はありませんでしたが、流行の指標となる南半球のオーストラリアで2年ぶりに流行したということもあり、その波が日本に来る可能性があります。また、日本は水際対策を緩和したので、インフルが入ってくる危険性も高く、そのためにも今のうちからインフルエンザワクチンを打って予防していただきたいです」
懸念される新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行。これから迎える年末年始の行動には、注意が必要だ。
ーー忘年会、帰省についての注意点は?コロナとインフルの同時感染もあるので、今まで通り感染対策はしっかりとしていただきたいです。密を避ける、必要な時は不織布マスクを使う、また、寒くなると換気をする回数がだんだんと減ってきたりするので、しっかり換気を行うことなど基本対策を続けていただきたい。
そして、まだ流行っていないうちにインフルエンザのワクチンを打つ。コロナワクチンもオミクロン対応のものが出ているので、打てる方は打ってから帰省するのがいいと思います。
オーストラリアでインフルの流行がいつもより少し早かったので、日本も早まる可能性があります。一気に広まった場合は医療がひっ迫する恐れもあるので、インフルは今のうちに打っておくのがいいです。予防対策としてワクチンに勝るものはないです。

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