長閑な伊豆の田舎町で異彩を放つ要塞のような大邸宅。近隣住民は「謎のロシア人がたまに来る」と訝しむが、そこはプーチン政権を支える世界的大富豪の別荘だった。知られざるお忍び来日を明かす。
前編記事『【独自】プーチンを支える巨大財閥「オリガルヒ」がお忍びで来日していた…！地域住民も困惑…！「ロシアのアルミ王」が建てた静岡・伊東「要塞別荘」の驚愕内容』より続く。
そんな「ロシアのアルミ王」は日本の別荘でどんな生活を送っているのか。家政婦の安田さんが、その金満ぶりを明かす。
「Dさん（デリパスカの愛称）の家政婦をやるようになったのは、海外富裕層のアテンドをしている知人からの依頼がきっかけでした。最初は青山の邸宅に行ったのですが、その豪華さに初日から度肝を抜かれましたね。地下には巨大な温水プールがあって、数百万円するような家具が揃っている。敷地のいたるところに防犯カメラが設置されるなど、セキュリティも極めて厳重でした。邸宅内では携帯禁止。そもそも、電波が通じません。Dさんは情報漏洩を極端に恐れていて、回線工事をやるときは必ずロシアから業者を呼び寄せ、独自回線を使用する徹底ぶりでした」
デリパスカは大の日本好きで、コロナ禍前は2~3ヵ月に1度程度のペース、コロナ禍以降も来日しているという。ちなみに、伊東と青山の別荘はいずれも世界的建築家である隈研吾氏の設計だ（同氏の事務所は「個人や民間企業のお客様に関する情報公開は行っておりません」と回答）。
安田さんが続ける。
「プライベートジェットで羽田空港にやってきて、日本に置いている運転手付きの自家用車で青山に向かう。車種はBMWかトヨタのアルファードでした。伊東に行くときは、新木場のヘリポートから自家用ヘリで移動していました。
Dさん一人ではなく、ロシアの富豪仲間や中国の有名投資家、世界的な自動車メーカーの社長などと一緒に来日することも多かった。Dさんがパトロンをしていたラブロフ外相やソチ（ロシアの都市）の市長が来たこともあります。伊東の別荘には温泉を引いており、そこで友人たちをもてなすこともありましたね」
普段は別荘の掃除などが業務だが、来日が決まると途端に忙しくなる。安田さんら10人以上のスタッフが、12時間シフトの交代制でデリパスカ一行のお世話をするのだ。
「Dさんは男性スタッフを嫌がるので、別荘にいるのはほぼ全員が女性でした。マッサージ師も女性で、京都から毎回同じ美人を呼び寄せていた。スタッフたちは近くのホテルに24時間待機し、いつでもDさんの要求に応えられるようにしていました。Dさんが直接スタッフと会話することはなく、側近のロシア人女性秘書に指示を出し、そこから私たちが動き出すという流れでした」
最も骨が折れる仕事は、「デリパスカガールズ」と呼ばれる女性陣の世話だった。
「Dさんのお相手は全員ロシア人。交際している『彼女』と一緒に来ることもあれば、大勢の女性を連れてくることもありました。Dさんの友人の相手をさせる必要もありますからね。ときには、手配師を使って日本在住のロシア人女性を呼ぶこともありました。
Dさんの好みは、スーパーモデルのようなロシア美女ではなく、『真面目で一般的な女性』。アートを勉強しているという大学院生と一緒に来日したのを覚えています」
デリパスカガールズの京都旅行やディズニーランド観光に同行したり、築地の高級寿司店を貸し切り予約したりといったことも安田さんの仕事だった。彼女たちが好きなマンゴーや巨峰、メロンも常備。ロシア皇帝・アレクサンドル2世が好んだ高級シャンパン「クリスタル」も水のように飲んだという。
「ガールズはコンビニで売っているチョコ『DARS』や『リポビタンD』が好きで、それを爆買いしてお土産にする。もちろん買いに行くのは私たち家政婦です。コンビニを何軒もはしごし、かき集めました。『ロシアのチョコレートは不味いから』と言っていたのが印象的でした」
ガールズとは対照的に、デリパスカ自身は派手な生活に興味はなさそうだったという。Tシャツにスニーカーというラフなファッションが多く、こんな庶民派な一面を見せることもあった。
「友人と一緒のときは寿司職人や高級レストランのシェフを招くこともありました。ただ、Dさん自身は日本人運転手からオススメされたラーメン屋や小さな焼き肉屋の行列に並んで入ることもあった。彼女とデートするときも、カフェや個人ショップを回ることを好んでいた。『本国だと有名すぎてできないことを日本でしている』と言っていました」
莫大な資産を背景に、日本で悠々自適な別荘ライフを送るアルミ王・デリパスカ……。だが、疑問もある。ウクライナ侵攻以降、日本はロシアに経済制裁を行っており、財務省はプーチン大統領やラブロフ外相などの資産凍結も発表している。ロシアの要人であるデリパスカが、自由に来日することに問題はないのか。
警視庁公安部関係者が明かす。
「ロシア人の日本への渡航は禁じられてはいません。ただ、近年の経済安全保障への注力から、ロシアは最重要警戒国に位置づけられている。要人が入国した際は、厳重な行動確認を行います。当然、オリガルヒも対象です」
事実、デリパスカが来日した際には公安が張り付いているという。伊東や青山の別荘が「密談」の場になっている可能性は否定できないだけに、さらに厳しい対応が必要な気もするが……。
「週刊現代」2024年11月30日号より
【独自】プーチンを支える巨大財閥「オリガルヒ」がお忍びで来日していた…！地域住民も困惑…！「ロシアのアルミ王」が建てた静岡・伊東「要塞別荘」の驚愕内容