黒くすすけた外壁、うっすらと漂う焦げ臭さ……。
本誌記者が火災発生から２日後に現場を訪れると、炎の激しさがうかがえる生々しい惨状が残っていた。
東京都文京区の猪口邦子参議院議員（72）の自宅マンションが猛火に包まれたのは、11月27日の午後７時半ごろだ。火は６階建てマンション最上階に燃え広がえり、約150屬全焼。現場は、都営三田線・春日駅から徒歩７～８分ほどの古い住宅が立ち並ぶ住宅街だった。
「マンションは細い路地沿いにあり、大型の消防車が入れず消火活動は難航しました。結局、鎮火したのは火災発生から８時間半近く経った午前４時前。亡くなったのは２人です。台所付近から１人の遺体が見つかり、もう１人は救助されましたが搬送先の病院で死亡が確認されました。
連絡のとれない猪口議員の夫で東京大学名誉教授・孝さん（80）と、33歳の長女と思われます。猪口議員は夫と娘２人の４人暮らし。火災発生当時、猪口議員と次女は外出していました。部屋の玄関は施錠され大量のガソリンなども発見されなかったため、第三者の放火の可能性は低いと思われます」（全国紙社会部記者）
冒頭の場面に戻ろう。猛火から２日経っても、現場周辺は捜査員による火災原因の検証などで慌ただしい様相をていしていた。周囲に停まった十台近い消防車両、黄色い規制線が張られ現場への出入りを監視する警察官……。遠方からマンションを見ると、炎の激しさを物語るように窓のガラスが溶けているのがわかる。
付近にすむ60代の女性が話す。
「猪口さん一家は、マンション最上階のペントハウスに住んでいました。直通のエレベーターがあったと聞いています。温厚で優しそうな旦那さんでねぇ……。ただ最近は足の具合が悪かったようで、お姿を見ていませんでした。お身体が不自由で、火災が起きてもスグに逃げられなかったのかもしれません。
（事故）当日は風が強かったんです。最上階で窓も多く風通しがいい。大学の先生で紙の資料や書物もたくさんお持ちだったでしょうから、火が燃えうつりアッというまに燃え広がったのかもしれません」
亡くなった方々のご冥福をお祈りしたい。