【高森 明勅】じつは、悠仁さまにも大きな影響が…愛子さま「女性天皇」問題で直面する「皇室存続の危うさ」

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国連の「女性差別撤廃委員会」は10月29日、「日本の皇位継承における男女平等を保障する必要がある」とし、男系男子が皇位継承すると定めている「皇室典範」の改正を日本政府に勧告しました。政治問題となっている「選択的夫婦別姓の導入」とともに、「日本における男女不平等のひとつ」とされた皇位継承問題。
日本に求められたことは「女性への皇位継承も認める法改正を」――という勧告です。けれど、日本政府はこの勧告に猛反発。ジェンダー平等という世界的な価値観のなかで、なぜ政府は男系男子にこだわるのか?
『愛子さま 女性天皇への道』をこのほど上梓した、皇室研究者の高森明勅さん(國學院大學講師)に、世界も憂慮する日本の皇室の危機と、解決策をうかがいました。
国民から敬愛されている天皇、皇后両陛下に、お健やかでご聡明、しかも優美にして親しみにあふれる敬宮愛子内親王殿下というお子さまがいらっしゃる。にもかかわらず、これまでの皇位継承のルールではただ「女性だから」というだけの理由で、天皇になる可能性があらかじめ除外されています。
率直に言って、時代錯誤としか思えないルールです。そのようなルールが、令和の日本にいつまでも必要なのでしょうか。
日本の未来を希望に満ちたものにするためには、古いルールを変更して、なるべく早く「女性天皇」を認めなければならない、と私は考えています。
日本は今、さまざまな課題をかかえています。しかし、その中でもとりわけ重い意味を持つひとつは、皇室が存続の危機に直面していることではないでしょうか。
日本国の象徴であり日本国民統合の象徴という憲法上、最も大切な意味を持つ「天皇」という地位を継承する皇族が、やがて誰もいなくなってしまうかもしれない、という問題です。これは誇張して言っているのではありません。目の前の皇室の実情を見れば、誰でも気づくはずです。
若い世代の皇族の中で、天皇として即位する資格を認められている皇族は、いったい何人いらっしゃるか。宮家として筆頭の位置にある秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下たったおひとりだけです。
天皇陛下と同じ世代の秋篠宮、同妃両殿下より年齢がお若い皇族は、悠仁殿下以外にも合計で5人いらっしゃいます。しかし、それらの方々は皆さま、内親王(ないしんのう)か、女王(じょおう)。つまり女性です。
ところが、今の皇位継承のルールでは「女性天皇」は認められていません。ですから、女性の皇族方は皇位継承の資格をお持ちでないのです。
それどころか、結婚されると、皇族の身分から離れられて、皇室から出ていかれるルールになっています。すると、どうなるか。厳しい現実が浮かび上がります。
今後、女性皇族が結婚されるというご慶事があるたびに、皇室から若い女性皇族が次々といなくなってしまう。もしもご独身として皇室に残られても、当然ながらお子さまは生まれません。その結果、今のルールのままだと、いずれ皇室には悠仁殿下おひと方しかおられなくなってしまいます。
そういう未来がはっきりと見えてしまう。こんな状態だと、言いづらいことですが、悠仁殿下のご結婚のハードルはかなり高くなってしまうのではないでしょうか。
しかも先に触れたように、今のところ皇位継承資格は男性にしか認められていません。そうすると、悠仁殿下のご結婚相手は必ず男子を生まなければならない。
もしもその方が男子を生まなければ、皇室そのものを途絶えさせてしまう―という、想像を絶するような重圧を避けることができません。そんなことが“あらかじめ”分かっていれば、どうなるか。ご結婚はさらに至難になりかねません。
失礼ながら、万が一、悠仁殿下が生涯、ご独身を通される事態になれば、現在のルールによる限り皇室は完全に行き詰まってしまいます。そんな局面に立ち至っても、女性皇族方がご結婚によってすでに皇室から出られた後では、もう間に合いません。
いったん皇族の身分を離れられた以上、再びもとの立場に戻ることはできないからです。皇室の危機は遠い将来の話ではありません。すぐ目の前に迫っている危機なのです。
…この危機に、皇室研究者の高森明勅氏は、「皇位継承資格を「男系男子」だけに限定する今の皇位継承のルールを変更することが欠かせない」といいます。ではどこにはたらきかければよいのか、その詳細は後編記事<皇室の存続を左右する、愛子さま「皇位継承」問題…「男系男子限定」の不平等が、日本でまかり通るワケ>で明かします。
皇室の存続を左右する、愛子さま「皇位継承」問題…「男系男子限定」の不平等が、日本でまかり通るワケ

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