企業献金が党費に?自民党に実態のない“幽霊党員”が…「政治とカネ」問題で新疑惑【サンデーモーニング】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

自民党は「政治とカネ」の問題をめぐる“改革案”をまとめましたが、こうした中、浮上した“新たな疑惑”とは?
【画像で見る】田畑議員と支援者とのやり取りとされる音声の内容とは
21日、外遊から帰国した石破総理。
その足で向かったのは自党の政治改革本部。
裏金問題で衆院選挙に大敗したことを受け、“政治とカネ”の改革を迫られているのです。
石破茂 総理大臣「責任政党としての役割を果たしたい」
ところが、その自党の議員に、またも“新たな疑惑”が浮上しています。
自党 田畑裕明 衆院議員「不適切な党員登録であろう方々の人数は、約100名前後ではなかろうかと思う」「深くお詫びを申し上げる次第です」
18日に急遽会見を開いたのは、岸田内閣で総務副大臣を務めた自党の田畑裕明議員。安倍派に所属したいわゆる“裏金議員”でしたが、先の選挙で5回目の当選を果たしています。
釈明に追われている“新たな疑惑”とは…
――“幽霊党員”として取材した男性、幽霊とされた男性の党員登録に関わった記憶は?
自党 田畑裕明 衆院議員「関わった事は記憶もない。しっかり調査したいと思う」
実体のない自党員、“幽霊党員”が発覚したキッカケは、党員になった覚えのない男性のところに自党総裁選の投票用紙が送られてきたことでした。
投票用紙が届いた男性「なんでこんなにたくさん(投票用紙が)あるのかなって。名前の全く違うハガキが何枚も来ていた。党員でもなんでもないのだが…」
実在しない家族らの名義でも送られてきたという投票用紙。富山市内で少なくとも77枚にのぼります。
なぜ、本人が知らぬ間に自党の党員にされてしまったのか。
JNNが入手した田畑議員と支援者の電話でのやりとりの録音から、実態が浮かび上がってきました。
自党 田畑裕明 衆院議員「ゆみこ、ゆういち、のぶお、のぶこ、ようこって書いてあるが、おそらく架空の方だと思う」支援者「まだいっぱいいるんじゃないか?」
自党 田畑裕明 衆院議員「いっぱいおる、いっぱいおる。もちろん。いっぱいおるからキリがない。会社から献金をいただいている。そのお金を党費にも充てさせてもらった。(従業員の)皆さん一人ひとりはお金は出してないけど、会社からいただいたものは、“党費”として預かったっていう解釈で納めた」
この会話から伺える構図は、企業から田畑氏が代表をつとめる政党支部に行われた「献金」を、党員登録に必要な党費に充て、“幽霊党員”をでっちあげたと見られているのです。
この電話での説明について、田畑議員は…
自党 田畑裕明 衆院議員「音声は私自身の声だと認識している」
――企業献金を党費に充てていた発言は事実か?
自党 田畑裕明 衆院議員「しっかり調査して回答したい」
田畑氏側が“幽霊党員”をでっちあげる必要に迫られたとすれば、なぜなのでしょうか。
自民党 二階俊博 幹事(2017年当時)「党員(獲得)1000人未達成のペナルティは…」
「党員1000人獲得」という自党議員へのノルマが背景にあったのでしょうか。
そもそも「企業献金」が“幽霊党員”の党費に充てられていたとすれば、適切な使い方と言えるのか。
政治資金収支報告書への記載を巡っても問題となる可能性があります。
――違法性の認識はある?自党 田畑裕明 衆院議員「明確な客観的な事実をしっかり後日答えたい」
「企業・団体献金」をめぐり、自党議員の新たな疑惑が浮上する中、政治とカネに関する法改正に向け、21日、改革案を取りまとめた自党。
しかし…
自民党 政治改革本部 小泉進次郎 事務局長「自党としては基本的に、『企業による献金が悪で、個人による献金が善だ』との立場はとらない。各党協議の中でそこはよくよく議論すべき」
ほとんどの野党が廃止を求める「企業・団体献金」について、自党は改革案に盛り込みませんでした。
日本維新の会 藤田文武 幹事「『企業・団体献金の廃止』について、自民党は全くやる気がありませんが、これは前に進めるべき」
立憲民主党 小川淳也 幹事「様々な腐敗の温床になってきたのが、『企業・団体献金』という歴史的事実。粘り強く『企業・団体献金』の廃止は求めていく」
28日から始まる臨時国会で争点となる「企業・団体献金」。与党が過半数に満たない中で、どのような決着を見るのでしょうか。
「政治とカネ」を巡る新たな疑惑、“幽霊党員”問題と自民党の政治改革案を整理しておきたいと思います。
企業献金で“幽霊党員”が登録されていた疑惑ですが、自民党・田畑議員の電話でのやり取りの音声を基に、想定される構図を整理します。
企業から田畑氏が代表を務める政党支部に献金が行われ、そのお金を党員登録に必要な1人年間4000円の党費に充てていたとみられます。
本人に無断で登録された人の他、その人の家族として「架空の人物」も登録されていたとみられ、田畑氏は不適切な登録をされた党員が約100人いると明らかにしました。
この党員登録の費用が適切に政治資金収支報告書に記載されていなければ、違法性が問われると指摘する専門家もいますが、田畑氏は「きちんと調べて回答する」としています。
こうした中、企業・団体献金を巡っては、ほとんどの野党が禁止を求めていますが、自民党が21日に取りまとめた政治改革案では触れられていません。
また、使い道を明らかにしなくていい「政策活動費」については廃止を打ち出したものの、自民党・政治改革本部の小泉進次郎事務局長は「プライバシー、企業の営業秘密等、配慮すべき支出について公表の形を工夫する必要がある」と非公開にする余地を残しています。
立憲民主党の野田佳彦代表は「また、いろいろ条件を書いている。新たなブラックボックスを作るのではないか」と懸念を示しています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。