昼食は220円、スタバを我慢…平均年収443万円「安すぎる国の絶望的な生活」 家計ギリギリ、得体の知れない将来不安

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年収400万円どころか、世帯年収1000万円でも、安心して生活できない。
そんな日本社会で、実際のところ、平均年収の生活というのは、どのようなものなのだろうか?
昼食は500円以内、スターバックスを我慢、年間収支で残るのは30万円、月1万5000円のお小遣いでやりくり、スマホの機種変で月5000円節約、ウーバーイーツの副業収入で成城石井に行ける、ラーメンが贅沢・サイゼリヤは神、派遣より時給が低い正社員、子どもの教育費がとにかく心配……。
ジャーナリスト・小林美希さんによる著書『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』では、意外と知らない“普通にしんどい”日本の実情が記されている。
スタバは我慢、水筒にお茶……『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』の第1部では、平均年収でもこれだけつらいという、一般企業、自治体、病院などで働く40代前後6名を追った。都内に住む30代の女性は自治体の非正規労働で、年収は348万円。夫の年収と合わせた世帯年収は、約1000万円。十分な収入があるように見えるが、「私は下のほうで生きている」と感じている。スーパーで最安値の買い物をする毎日。割引シールの商品を買うのは当たり前だ。たまには「スターバックス」で「和三盆ほうじ茶フラペチーノ」が飲みたいけれど、トールサイズで705円かと思うと、ぐっと我慢する。ランチに1000円なんて贅沢すぎる。昼食は220円でサンドイッチを買うだけ。世帯年収が1000万円でも、家のローン、子どもの学費を貯金するので精一杯。ワンオペ育児であくせくする毎日で、鬱病にもなった。自分たちの老後も心配で、不安は膨らむ。北陸地方に住む30代男性は、リーマンショック後の就職氷河期世代。現在、電車の運転士で、年収は450万円。その地域の平均収入を超えている。不妊治療を始めるところで、「いったい、いくらかかるのか」と頭を悩ませている。自分で弁当を作り、水筒にお茶を入れて仕事に出かける。スマートフォンの契約は、「au」から「UQモバイル」に変えて利用料を月5000円ほど浮かせる。妻も同じくらいの収入があるが、5年ごとに仕事の契約が結ばれるため、見通しが不透明。ダブルインカムが続かない可能性もある。男性は倹約して、残ったお金をすべて貯金に回している。平均年収があっても、多くは家計がギリギリ。得体の知れない将来不安も抱え、出費を抑えている。これでは消費が落ち込み、景気がよくならないのも当然だ。そして、収入が平均値を下回れば、もっとつらい現実がある。地獄のような日々を生きる続く第2部では、平均年収を大きく下回る5名を追った。保育士、介護ヘルパーなど社会から必要とされる職業の収入は、まだまだ低い。新型コロナウイルスの感染拡大が長く続いて不景気となった「コロナショック」の影響も大きい。シングルマザーである、子どもに障害がある、親の介護があるなど、現状の社会で不利な立場にあると、低賃金から脱せなくなる。北海道の20代の女性は、コロナの影響で大手アパレル店舗での販売員の仕事をなくした。コロナで小学校が一斉休校になると、子どもを家に置いては職場に行けず、仕事を休まざるを得なくなった。国は休業補償の制度を設けたが、当初は労働者ではなく雇用者が申請書を出さなければならず、「あなただけ特別扱いできない」と、女性は会社から助成金の申請を拒まれた。職場に居づらくなり、職を失った。現在、清掃会社と小物販売で得られる年収は180万円程度。安定収入のある夫もコロナの影響で仕事がなくなりそうだ。娘の習い事を減らし、中学受験にも難色を示さなければならない。冬場は灯油代の節約のためストーブは一台しかつけず、家族4人が一部屋で肩を寄せ合って過ごした。就職氷河期世代のゆく先を物語るのが、埼玉県で高齢の親と二人暮らしをする50代男性の例だ。母親の介護が必要で、できる仕事にも制約がかかり、貧困に陥っている。研究者を目指していたが、大学の安定した研究職のポストは少なく、ずっと収入は不安定。非常勤講師で得られる収入は年に200万円程度だ。大学院に通った学費を奨学金で賄い、まだ250万円もの返済が残っている。年金保険料も住民税も未納状態で、ポストには督促状が配達されてくる。カードローンにも手を付けなければ、生活が回らない。ワンオペ介護の日々はまるで地獄のよう。いつか結婚して子どもを──そんな、ささやかな幸せが、どんどん遠のいていく。前編「『年収400万円あれば安心』ではなくなった、衰退ニッポンの“深刻すぎる現実”」では、日本の安い給料、中間層が崩壊してしまった現実などについて掘り下げている。
スタバは我慢、水筒にお茶……『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』の第1部では、平均年収でもこれだけつらいという、一般企業、自治体、病院などで働く40代前後6名を追った。都内に住む30代の女性は自治体の非正規労働で、年収は348万円。夫の年収と合わせた世帯年収は、約1000万円。十分な収入があるように見えるが、「私は下のほうで生きている」と感じている。スーパーで最安値の買い物をする毎日。割引シールの商品を買うのは当たり前だ。たまには「スターバックス」で「和三盆ほうじ茶フラペチーノ」が飲みたいけれど、トールサイズで705円かと思うと、ぐっと我慢する。ランチに1000円なんて贅沢すぎる。昼食は220円でサンドイッチを買うだけ。世帯年収が1000万円でも、家のローン、子どもの学費を貯金するので精一杯。ワンオペ育児であくせくする毎日で、鬱病にもなった。自分たちの老後も心配で、不安は膨らむ。北陸地方に住む30代男性は、リーマンショック後の就職氷河期世代。現在、電車の運転士で、年収は450万円。その地域の平均収入を超えている。不妊治療を始めるところで、「いったい、いくらかかるのか」と頭を悩ませている。自分で弁当を作り、水筒にお茶を入れて仕事に出かける。スマートフォンの契約は、「au」から「UQモバイル」に変えて利用料を月5000円ほど浮かせる。妻も同じくらいの収入があるが、5年ごとに仕事の契約が結ばれるため、見通しが不透明。ダブルインカムが続かない可能性もある。男性は倹約して、残ったお金をすべて貯金に回している。平均年収があっても、多くは家計がギリギリ。得体の知れない将来不安も抱え、出費を抑えている。これでは消費が落ち込み、景気がよくならないのも当然だ。そして、収入が平均値を下回れば、もっとつらい現実がある。地獄のような日々を生きる続く第2部では、平均年収を大きく下回る5名を追った。保育士、介護ヘルパーなど社会から必要とされる職業の収入は、まだまだ低い。新型コロナウイルスの感染拡大が長く続いて不景気となった「コロナショック」の影響も大きい。シングルマザーである、子どもに障害がある、親の介護があるなど、現状の社会で不利な立場にあると、低賃金から脱せなくなる。北海道の20代の女性は、コロナの影響で大手アパレル店舗での販売員の仕事をなくした。コロナで小学校が一斉休校になると、子どもを家に置いては職場に行けず、仕事を休まざるを得なくなった。国は休業補償の制度を設けたが、当初は労働者ではなく雇用者が申請書を出さなければならず、「あなただけ特別扱いできない」と、女性は会社から助成金の申請を拒まれた。職場に居づらくなり、職を失った。現在、清掃会社と小物販売で得られる年収は180万円程度。安定収入のある夫もコロナの影響で仕事がなくなりそうだ。娘の習い事を減らし、中学受験にも難色を示さなければならない。冬場は灯油代の節約のためストーブは一台しかつけず、家族4人が一部屋で肩を寄せ合って過ごした。就職氷河期世代のゆく先を物語るのが、埼玉県で高齢の親と二人暮らしをする50代男性の例だ。母親の介護が必要で、できる仕事にも制約がかかり、貧困に陥っている。研究者を目指していたが、大学の安定した研究職のポストは少なく、ずっと収入は不安定。非常勤講師で得られる収入は年に200万円程度だ。大学院に通った学費を奨学金で賄い、まだ250万円もの返済が残っている。年金保険料も住民税も未納状態で、ポストには督促状が配達されてくる。カードローンにも手を付けなければ、生活が回らない。ワンオペ介護の日々はまるで地獄のよう。いつか結婚して子どもを──そんな、ささやかな幸せが、どんどん遠のいていく。前編「『年収400万円あれば安心』ではなくなった、衰退ニッポンの“深刻すぎる現実”」では、日本の安い給料、中間層が崩壊してしまった現実などについて掘り下げている。
『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』の第1部では、平均年収でもこれだけつらいという、一般企業、自治体、病院などで働く40代前後6名を追った。
都内に住む30代の女性は自治体の非正規労働で、年収は348万円。夫の年収と合わせた世帯年収は、約1000万円。十分な収入があるように見えるが、「私は下のほうで生きている」と感じている。
スーパーで最安値の買い物をする毎日。割引シールの商品を買うのは当たり前だ。たまには「スターバックス」で「和三盆ほうじ茶フラペチーノ」が飲みたいけれど、トールサイズで705円かと思うと、ぐっと我慢する。
ランチに1000円なんて贅沢すぎる。昼食は220円でサンドイッチを買うだけ。世帯年収が1000万円でも、家のローン、子どもの学費を貯金するので精一杯。ワンオペ育児であくせくする毎日で、鬱病にもなった。自分たちの老後も心配で、不安は膨らむ。
北陸地方に住む30代男性は、リーマンショック後の就職氷河期世代。現在、電車の運転士で、年収は450万円。その地域の平均収入を超えている。不妊治療を始めるところで、「いったい、いくらかかるのか」と頭を悩ませている。
自分で弁当を作り、水筒にお茶を入れて仕事に出かける。スマートフォンの契約は、「au」から「UQモバイル」に変えて利用料を月5000円ほど浮かせる。
妻も同じくらいの収入があるが、5年ごとに仕事の契約が結ばれるため、見通しが不透明。ダブルインカムが続かない可能性もある。男性は倹約して、残ったお金をすべて貯金に回している。
平均年収があっても、多くは家計がギリギリ。得体の知れない将来不安も抱え、出費を抑えている。これでは消費が落ち込み、景気がよくならないのも当然だ。そして、収入が平均値を下回れば、もっとつらい現実がある。
続く第2部では、平均年収を大きく下回る5名を追った。
保育士、介護ヘルパーなど社会から必要とされる職業の収入は、まだまだ低い。新型コロナウイルスの感染拡大が長く続いて不景気となった「コロナショック」の影響も大きい。シングルマザーである、子どもに障害がある、親の介護があるなど、現状の社会で不利な立場にあると、低賃金から脱せなくなる。
北海道の20代の女性は、コロナの影響で大手アパレル店舗での販売員の仕事をなくした。コロナで小学校が一斉休校になると、子どもを家に置いては職場に行けず、仕事を休まざるを得なくなった。国は休業補償の制度を設けたが、当初は労働者ではなく雇用者が申請書を出さなければならず、「あなただけ特別扱いできない」と、女性は会社から助成金の申請を拒まれた。職場に居づらくなり、職を失った。
現在、清掃会社と小物販売で得られる年収は180万円程度。安定収入のある夫もコロナの影響で仕事がなくなりそうだ。娘の習い事を減らし、中学受験にも難色を示さなければならない。冬場は灯油代の節約のためストーブは一台しかつけず、家族4人が一部屋で肩を寄せ合って過ごした。
就職氷河期世代のゆく先を物語るのが、埼玉県で高齢の親と二人暮らしをする50代男性の例だ。母親の介護が必要で、できる仕事にも制約がかかり、貧困に陥っている。
研究者を目指していたが、大学の安定した研究職のポストは少なく、ずっと収入は不安定。非常勤講師で得られる収入は年に200万円程度だ。大学院に通った学費を奨学金で賄い、まだ250万円もの返済が残っている。
年金保険料も住民税も未納状態で、ポストには督促状が配達されてくる。カードローンにも手を付けなければ、生活が回らない。ワンオペ介護の日々はまるで地獄のよう。いつか結婚して子どもを──そんな、ささやかな幸せが、どんどん遠のいていく。
前編「『年収400万円あれば安心』ではなくなった、衰退ニッポンの“深刻すぎる現実”」では、日本の安い給料、中間層が崩壊してしまった現実などについて掘り下げている。

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