岸田首相のテレワークに「奇妙な印象」が…

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政府は21日、岸田首相が新型コロナに感染したことを発表した。岸田首相は記者団に対し「万が一の場合に備えてきた」と話していて、感染確認後も“テレワーク”で執務を行った。しかし、その“テレワーク”は奇妙な印象も見受けられた。「奇妙な」テレワークとなったワケとは。■“奇妙”<1>“テレワーク”なのに閣僚や官僚が続々と…22日、岸田首相の新型コロナ感染が発表された翌日。松野官房長官は会見で、「総理の症状が軽いことから、本日から早速テレワーク環境なども活用し、ほぼ予定通りに執務にあたっている」と述べた。

首相が公邸で“テレワーク”を行うなら、官邸には首相への面会者は訪れないと考えるのが普通だろう。しかし、官邸には“いつもと変わらない光景”があった。岸田首相の“面会者”が次々と官邸に訪れたのである。“テレワーク”初日の22日午後1時半には、秋葉国家安全保障局長や瀧澤内閣情報官らが、午後4時には葉梨法相、河野消費者担当相らが、それぞれ別々に官邸に足を運び、首相とオンラインで“面会”した。閣僚や官僚ら首相と面会する人たちが、いつもと変わらず、わざわざ官邸に足を運んでいたのである。“テレワーク”であるならば、自らの部屋などからパソコンやスマートフォンなどを通じ“面会”すればよいのではないか…。■「セキュリティの問題が…」 岸田首相の“奇妙な”テレワークこの“奇妙な”テレワークについて、首相周辺は「首相は国家安全保障会議など、絶対に秘密を守らないといけない会議を行うことも多い。一般企業などでリモート会議をする際に使われているシステムをそのまま使うことは、セキュリティ上、問題があって難しい」と解説した。実際、政府は、情報漏洩の危険性が少ない、光ファイバーで官邸と公邸を結ぶ、独自の専用会議システムを構築していた。このシステムは官邸と公邸の間しか結ばれていないため、機密性が高い半面、首相と打ち合わせる人は官邸を訪れる必要が生じるのだという。秘密保持のためにはやむを得ないとは言え、テレワークなのに閣僚や官僚が「リアル」に官邸に訪れるというのは、一般的な“テレワーク”とは異なる、「奇妙な」光景に私たちには映った。■“奇妙”<2>“モニター画面”の首相を囲む記者たち奇妙な光景は、別のシーンでもあった。「少し咳は出るが、既に熱は平熱に戻り、普通に生活できている」“テレワーク”初日22日の夜、岸田首相は記者団の取材に応じていた。この取材も当初は“リモート”で行われると説明されていた。しかし、取材する記者は官邸に集められ、“モニター画面に映し出された”岸田首相とやりとりすることになった。“リモート取材”ならば、本来、河野デジタル相の記者会見のように、大臣も記者もパソコンやスマートフォンなどを通じてやりとりすればいいはずだ。しかし、今回の“リモート取材”では、記者は官邸に集まり、代わる代わる岸田首相の映るモニターに向け質問を投げかけた。この“奇妙なリモート取材”にSNSなどでは「アナログの記者」「海外から笑われている」などといった指摘が相次いだ。■首相周辺「こうするしかない」 そのワケはこの“奇妙なリモート取材”について、首相周辺は「こうするしかなかったから仕方ない」と話す。なぜ「こうするしかない」のか。首相周辺の説明によると、リモート取材においても、前述した官邸と公邸を結ぶ“テレワーク”のシステムを使うことが前提になっていたからだというのだ。国家の機密に関わる“非公式の協議”ならば、まだ独自の“テレワーク”のシステムを使うことにも納得がいく。しかし、首相に対する公式な取材なら、一般的なパソコンやスマートフォンを通じての“リモート取材”でいいはずではないだろうか。実際、前述の河野デジタル相の会見や、林外相のぶらさがり取材などでも、一般的なパソコンなどを通じたシステムが活用されているのだ。さらに岸田首相の“テレワーク”には「初めて」であるがゆえの「2つの課題」が露呈した。■問題<1>「宇宙人総理」…なぜ顔色が“緑”に? その原因は“反射”岸田首相は、24日にも前述の独特な“リモート”で記者団の取材に応じた。このあと、SNS上では、画面に映る岸田首相の顔色の悪さに「緑色に見える」「宇宙人総理のよう」などという指摘が相次いだ。映像を確認すると、首相の顔は確かに“緑色”に見え、背景には“緑色にみえるカーテン”も映っている。一部からは、このカーテンが、首相の顔色を悪くさせた要因であるという指摘もある。ただ、首相周辺は「このカーテンは本来は茶色っぽい色だ」と話しつつ、「照明など色々反射もあるから仕方ない」などと釈明した。ある官邸関係者は「今回のような声が出ることを想定していなかった。今回の声を受け、首相の顔色が良く見えるよう照明を工夫して撮影するよう指示が出ている」と語り、“改善”に向けた作業が進んでいることを明らかにした。■問題<2>“勤務時間が長くなった”政府関係者の率直な声さらに「勤務時間が長くなった」との課題を指摘する声も政府関係者からあがった。「テレワークとは、本来、自分一人で完結するものだが、首相のテレワークの形はそうなっていない。首相は一人でできないことも多いため、手伝う人が公邸に出入りしている。その都度、消毒などが入るため、待機時間が増えるなど、官僚の勤務時間が長くなっている」首相にとっては慣れないテレワークだろうから、官僚らがフォローするのもある程度はやむを得ないだろう。しかし、今後は首相のテレワークであっても、必要以上に官僚の勤務時間が長くならないよう、首相本人の習熟や工夫が必要になるのではないか。首相の“テレワーク”という、初の試みで浮き彫りとなった課題。 今後は、少しずつでも課題の解決が求められる。首相の“テレワーク”は30日まで続く見込みだ。
政府は21日、岸田首相が新型コロナに感染したことを発表した。岸田首相は記者団に対し「万が一の場合に備えてきた」と話していて、感染確認後も“テレワーク”で執務を行った。しかし、その“テレワーク”は奇妙な印象も見受けられた。「奇妙な」テレワークとなったワケとは。
22日、岸田首相の新型コロナ感染が発表された翌日。松野官房長官は会見で、「総理の症状が軽いことから、本日から早速テレワーク環境なども活用し、ほぼ予定通りに執務にあたっている」と述べた。
首相が公邸で“テレワーク”を行うなら、官邸には首相への面会者は訪れないと考えるのが普通だろう。しかし、官邸には“いつもと変わらない光景”があった。岸田首相の“面会者”が次々と官邸に訪れたのである。
“テレワーク”初日の22日午後1時半には、秋葉国家安全保障局長や瀧澤内閣情報官らが、午後4時には葉梨法相、河野消費者担当相らが、それぞれ別々に官邸に足を運び、首相とオンラインで“面会”した。
閣僚や官僚ら首相と面会する人たちが、いつもと変わらず、わざわざ官邸に足を運んでいたのである。“テレワーク”であるならば、自らの部屋などからパソコンやスマートフォンなどを通じ“面会”すればよいのではないか…。
この“奇妙な”テレワークについて、首相周辺は「首相は国家安全保障会議など、絶対に秘密を守らないといけない会議を行うことも多い。一般企業などでリモート会議をする際に使われているシステムをそのまま使うことは、セキュリティ上、問題があって難しい」と解説した。
実際、政府は、情報漏洩の危険性が少ない、光ファイバーで官邸と公邸を結ぶ、独自の専用会議システムを構築していた。このシステムは官邸と公邸の間しか結ばれていないため、機密性が高い半面、首相と打ち合わせる人は官邸を訪れる必要が生じるのだという。
秘密保持のためにはやむを得ないとは言え、テレワークなのに閣僚や官僚が「リアル」に官邸に訪れるというのは、一般的な“テレワーク”とは異なる、「奇妙な」光景に私たちには映った。
奇妙な光景は、別のシーンでもあった。
「少し咳は出るが、既に熱は平熱に戻り、普通に生活できている」
“テレワーク”初日22日の夜、岸田首相は記者団の取材に応じていた。この取材も当初は“リモート”で行われると説明されていた。
しかし、取材する記者は官邸に集められ、“モニター画面に映し出された”岸田首相とやりとりすることになった。
“リモート取材”ならば、本来、河野デジタル相の記者会見のように、大臣も記者もパソコンやスマートフォンなどを通じてやりとりすればいいはずだ。
しかし、今回の“リモート取材”では、記者は官邸に集まり、代わる代わる岸田首相の映るモニターに向け質問を投げかけた。この“奇妙なリモート取材”にSNSなどでは「アナログの記者」「海外から笑われている」などといった指摘が相次いだ。
この“奇妙なリモート取材”について、首相周辺は「こうするしかなかったから仕方ない」と話す。
なぜ「こうするしかない」のか。首相周辺の説明によると、リモート取材においても、前述した官邸と公邸を結ぶ“テレワーク”のシステムを使うことが前提になっていたからだというのだ。
国家の機密に関わる“非公式の協議”ならば、まだ独自の“テレワーク”のシステムを使うことにも納得がいく。しかし、首相に対する公式な取材なら、一般的なパソコンやスマートフォンを通じての“リモート取材”でいいはずではないだろうか。実際、前述の河野デジタル相の会見や、林外相のぶらさがり取材などでも、一般的なパソコンなどを通じたシステムが活用されているのだ。
さらに岸田首相の“テレワーク”には「初めて」であるがゆえの「2つの課題」が露呈した。
岸田首相は、24日にも前述の独特な“リモート”で記者団の取材に応じた。このあと、SNS上では、画面に映る岸田首相の顔色の悪さに「緑色に見える」「宇宙人総理のよう」などという指摘が相次いだ。
映像を確認すると、首相の顔は確かに“緑色”に見え、背景には“緑色にみえるカーテン”も映っている。一部からは、このカーテンが、首相の顔色を悪くさせた要因であるという指摘もある。
ただ、首相周辺は「このカーテンは本来は茶色っぽい色だ」と話しつつ、「照明など色々反射もあるから仕方ない」などと釈明した。
ある官邸関係者は「今回のような声が出ることを想定していなかった。今回の声を受け、首相の顔色が良く見えるよう照明を工夫して撮影するよう指示が出ている」と語り、“改善”に向けた作業が進んでいることを明らかにした。
さらに「勤務時間が長くなった」との課題を指摘する声も政府関係者からあがった。
「テレワークとは、本来、自分一人で完結するものだが、首相のテレワークの形はそうなっていない。首相は一人でできないことも多いため、手伝う人が公邸に出入りしている。その都度、消毒などが入るため、待機時間が増えるなど、官僚の勤務時間が長くなっている」
首相にとっては慣れないテレワークだろうから、官僚らがフォローするのもある程度はやむを得ないだろう。しかし、今後は首相のテレワークであっても、必要以上に官僚の勤務時間が長くならないよう、首相本人の習熟や工夫が必要になるのではないか。
首相の“テレワーク”という、初の試みで浮き彫りとなった課題。 今後は、少しずつでも課題の解決が求められる。

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