「スタンガンも自分の体で試してます」護身用品店のカリスマ女性店長が、知識ゼロから“護身用品オタク”になったワケ

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最近、物騒な事件が相次ぎ、護身用品や防犯用品が注目されている。護身用品販売店「ボディーガード アキバ店」には、やたら武器(護身用品)の扱いに詳しい女性店長がいる。桑原樹里さん(46)だ。なぜそんなに護身グッズに詳しいのか? 話を聞いた。
【衝撃】自分の体でスタンガンを試す桑原さん
──そもそもなぜ護身用品販売店で働いてみようと思ったんですか?
桑原樹里(以下同) コロナのとき(2020年)に、お店の求人が出ていて応募したんですが、最初「防災用品店」だと思ってたんです。というか思い込んでました(笑)。消化器を売ったり、その点検やメンテナンスを主にやったりするのかと。確かに防災用品も扱っていたんですが、そっちばかりに目がいってて、メインが護身用グッズとはまったく思っていませんでした。
──まさかの勘違い!? 仕事内容の確認ってかなり重要だと思いますけど(笑)。その前のお仕事は?
美容系とかリラクゼーション系でした。
──関連性は薄いですね……。それでは当然、護身用品の知識は全くなく、慣れるまで大変だったんじゃないですか?
入って覚えなきゃいけないことがたくさんありました。自分でも勉強はしますけど、とにかくお客さんの話を必死に聞いて覚えました。
要人のSPとか自衛隊、警察官の方がいらっしゃるので、専門的な話をしてくれるんです。「こんな長い警棒は使わないよ。ボクたちだったらこの長さで十分」とか、プロの視点で話してくれるので正確な知識が自然と増えましたね。
──お客さんに鍛えられたんですね。先ほど、接客されているところを拝見したんですが、商品説明が丁寧でわかりやすく、トークもおもしろい。ちょっとガタイのいい一見強面の方に対しても、まったく臆することがありませんでしたね。もしかして昔ヤンチャしてました?
学生時代は剣道に明け暮れてましたね。でも高校生のときにはすでに鼻ピアスをして、刺青雑誌の『TATTOO BURST(タトゥーバースト)』とか読んでました。元旦那の実家が船大工で、周りの人間が刺青を入れているのが当たり前の環境だったので、見た目がヤンチャなお客さんに対する慣れはあったかもしれないですね。
──スタンガンなど扱っている商品は自分で試しているとか……。
催涙スプレー以外は試しますね! やはり体験しているのと、してないのとではお客さんへの説得力が違いますから。
──初スタンガン体験はいつだったんですか?
入社3日目でした(笑)。電流が流れた瞬間、バーッと汗が出ましたが、「そうでもないな」というのが率直な感想です。
──「そうでもない」って(笑)。ドラマや映画だとスタンガンを当てられて失神するシーンがありますが、大丈夫なんですか?
当店で扱っている商品は、失神まではしないですね。お客さんには「熱い鉄板に触っちゃった感じ」と説明しています。もちろん痛いんですが、どちらかというとスタンガンは攻撃用ではなく、音で威嚇するものなんです。ババッと光らせて音を出して、相手がひるんだ隙に逃げる。そういう使い方を勧めています。
──お店で体験するお客さんっていますか?
います。男性同士で「お前がやれ」「やだ」「じゃあお前がやれ」みたいなことが続くと、歯がゆいので、わたしがやって見せます(笑)。女性のお客さんの中には3種類を試して「じゃあ、これにします」なんて方もいましたね。女性よりも男性のほうが音にビビることが多いですね。立て続けに3つも試すと、腕から焦げ臭いニオイがしますし(笑)。
──催涙スプレーが気になるんですけど、効果はあります?
護身グッズの中でも催涙スプレーは1番効くと思います。唐辛子が入っているので、その痛みは絶大です。
目に入ったら、20分くらい流水で洗わないとダメで、最低2~3時間は痛みで苦しみます。使い終わったスプレーは水に沈めて、液体(唐辛子)が飛ばないようにして廃棄するんですが、3本くらい廃棄した日に家に帰って彼氏に触れたら、めっちゃ痛がってました(笑)。成分がうっすら手に残ってたんですよね。それくらい効き目がすごいです。
──どんなお客さんが来られますか?
当初は、ガタイがよくてちょっと強面の男性客が7割を占めていましたけど、今はお子さん連れや女性の方も来店します。
ネット上で揉めて、なにかあったら怖いからってスタンガンと催涙スプレーを購入された女性もいましたし、不良を集めた格闘技イベントで有名な方が、十数万円分、いろんな護身グッズを買っていかれたこともあります。
最近は、難民で治安が不安視される街から来られる方も少なくないですね。
珍しいところでは、スタンガンを研究している大学の先生が来たことがあります。研究材料として購入されていかれました。
あとは、サムカフ(指錠)を2つと、折りたたみスコップを買った方がいました。手と足の親指を拘束して、スコップでなにをするんだろうって、想像してしまいました。マフィア映画でよくみるシーンみたいなことにならないことを祈っていますが。
──お客さんに感謝されたことはありますか?
災害で被災された女性がスタンガンを買っていかれたのですが、後からすごく役立ったとお礼を言われました。避難所で夜トイレに行くとき、襲われないようにみんなで使い回していたそうです。
避難所で生活している男性の中には、災害のストレスで変なスイッチが入ってしまうことがあって、スタンガンを持っているだけで抑止力になったそうです。
──今後、どんなお店にしていきたいですか?
門戸を広く、幅広い年代の方に来ていただきたいですね。決して相手を傷つけるのではなく、なにかあったときに身を守れるように、グッズの使い方や危機管理に対する意識を当店で高めて欲しいです。取材・文/集英社オンライン編集部 写真/わけとく
<プロフィール>護身用品の専門ショップボディーガード(https://www.body-guard.jp/)大分で創業。日本で唯一の護身用品店を全国展開。2018年秋葉原に実店舗をオープン。他に名古屋・伏見店、大阪・なんば店がある。スタンガン、警棒、催涙スプレーは18歳以上、購入時身分証の控えが必須。身の守り方、道具の使い方など親身に相談に乗ってくれる。Webサイトでは24時間いつでも注文が可能。

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