【マネー現代編集部】《現地リポート》「ハロウィーン目的で渋谷に来ないで!」と区長が直訴するも「コスプレ大好き外国人」が急増中…記者が見た「ヤバすぎるカオス」

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毎年のように若者たちが集まり、路上飲酒やゴミのポイ捨てといった迷惑行為を繰り返していた東京・渋谷のハロウィーンは、昨年から様子が一変した。

渋谷区では路上飲酒を禁止するだけでなく、長谷部健区長が「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでほしい」と直訴したことで来場者は激減。ピーク時には6万人が来ると予想された中、実際は1.5万人程度と4分の1にまで抑え込むことに成功した。

果たして今年はどうなるのか。ハロウィーン直前の週末、現代ビジネス取材班は現地におもむき、その様子を取材した。
「渋谷は、ハロウィーンをお休みします」
ハチ公口前にデカデカと掲げられた看板。週末ということもあり、その前を大勢の人びとが行き来しているが、街にはかつての“渋ハロ”の面影はなく、明らかに“自粛ムード”が漂っていたーー。
毎年ハロウィーンが近づくと、若者たちによる路上飲酒やゴミのポイ捨てといった迷惑行為が問題になっていた東京・渋谷。昨年には路上飲酒を禁止するだけでなく、長谷部健区長が「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでほしい」と直訴したことで来場者は激減したが、その影響で新宿・歌舞伎町に多くの人びとが流入して同様の迷惑行為が発生した。
そうした事態を受けて、新宿区では今年6月より、ハロウィーン当日の午後5時から翌朝5時にかけて、歌舞伎町1丁目と新宿3丁目の一部での路上飲酒を禁止する条例を施行。渋谷区でも、今月からハロウィーン期間のみならず、年間を通じて渋谷駅周辺で午後6時から翌朝5時にかけて路上飲酒を禁止する改正条例を施行した。
両区長は今月7日の会見で「ハロウィーン目的で街に来ないでほしい」と呼びかけたりと、ハロウィーンに向けて連携して対策を進めてきた。
ハロウィーン本番に先立つ10月26日の午後8時、現代ビジネス取材班が渋谷に降り立つと、駅前のスクランブル交差点では人が立ち止まらないように複数の警備員が拡声器で呼びかけていた。なかにはサングラスをかけた強面の警備員が金髪の若者に向けて「赤ですよ~、ここに立ち止まらないで~」と注意している一幕もあった。
だが、周囲を見渡しても仮装してる人の姿はほとんど見当たらない。それはメインロードでもある「渋谷センター街」を見ても明らかだ。歩けないほど混雑してるわけでもなく、ナースやシスター、ゾンビといった仮装をしてるのはガールズバーやメンズコンカフェの店員がほとんどだった。
そんななか、散策を続けるうちにアニメ「鬼滅の刃」の仮装をしている集団とすれ違った。ハチ公口前には「渋谷は、ハロウィーン会場ではありません」と看板がデカデカと掲げられているが、なぜそこまで仮装にこだわるのか。宇髄天元に扮するメンバーの一人は、こう語る。
「たしかに渋谷はハロウィーンを自粛しようって流れになってるけど、それって飲み歩きとかゴミのポイ捨てをする人がいるからでしょ? 僕たちはそんなことは一切しないし、ただ仮装をして渋谷を練り歩いてるだけ。
ここはカラオケサークルの集まりで、毎年ハロウィーンの時期はみんなで仮装するのが恒例になってるんですよ。だからルールを守って楽しむぶんには、問題はないんじゃないかと思ってます」
さらに、道ゆく人びとを釘付けにしていたのが、牛をモチーフとした女装姿で歩いている男性だ。渋谷ハロウィンに参加する理由を、恥ずかしそうに語る。
「自分はふだん埼玉の工場で働いてますが、年に数回、こういうイベントの時に女装するのが楽しみなんです。たしかに渋谷区は自粛を呼びかけてますが、あくまでコスプレを楽しんでるだけだし、誰にも迷惑はかけてないと思ってるので…。
ちなみに今日の衣装は『シリコンバスト』といって、服みたいに着てるんですけど、これZカップなので8キロもあるんですよ。去年からこの衣装でイベントに参加するようになりましたが、さすがに重くて肩が凝りますね(笑)」
その一方で、渋谷ハロウィンで問題になっているのが路上飲酒や路上喫煙だ。渋谷センター街沿いにあるコンビニを訪れてみると、酒類コーナーは「路上飲みはやめてください」との張り紙と一緒に、ビニールシートで覆われていて“完全封鎖”されていた。
そうした影響もあり、路上飲酒を見かけることはほとんどなかったが、路上喫煙をする外国人は何人か目撃した。そんな彼らも巡回するスタッフに注意されると、仕方なくタバコの火を消しており、渋谷区の努力の甲斐もあってか、街の治安は維持されていた。
だが一方で、夜が更けるにつれて、色鮮やかな仮装姿の人びとがだんだんと増えてきた。渋谷センター街を歩いていると、アニメ「ONE PIECE」のルフィやゾロのほか、アニメ「東京リベンジャーズ」の特攻服姿の人たちとすれ違うが、その半分以上が外国人だ。彼らに取材を申し込むと、快く引き受けてくれた(一部、翻訳アプリを利用)。
「仕事の都合で1年前に日本に来てすぐに『渋谷ハロウィン』の存在を知りました。もともと自分は日本のアニメが大好きで、小さいころは『NARUTO』にハマったし、『DEATH NOTE』で日本語を勉強したりもした。本当は自分の好きなアニメのコスプレをしたかったけど、結局はすぐに衣装が揃う『スパイダーマン』のコスプレにしました(笑)。渋谷ではハロウィンはお休みしますとか言われてるけど、1年に1回のイベントだし、自分が楽しめたらいいかなって思ってます」(20代・男性・インド)
「これは『雪の女王』というアンデルセンの童話に出てくるキャラクターのコスプレです。去年、初めてベトナムから旅行にきて渋谷のハロウィンを知って『私もやってみたい!』という気持ちになり、初めて今年チャレンジしてみました。最後まで楽しみたいです」(20代・女性・ベトナム)
「私は中国人だけど、日本のアニメが大好き。なかでも『[推しの子]』『ONE PIECE』『NARUTO』『進撃の巨人』はめちゃくちゃ好き。ふだんは彼とスペインで暮らしてて、今回は渋谷でコスプレを楽しむために1週間旅行しにきました。みんなに写真撮ってもらえてすごく嬉しいです!」(20代・女性・中国)
後編記事『「仮装なんて外国人しかしないっすよ」若者の“渋谷ハロウィーン離れ”が進む「理由」…一方で「新宿二丁目」は酒を求める人々で「大盛況」』では、夜が更けるにつれてカオス化していく渋谷の様子とともに、それと対照的に”異常な盛り上がり”を見せる新宿二丁目エリアをリポートする。
「ここならナンパされる心配もないから」「外国人と日本人が肩を組みながら雑談」…若者の《渋谷ハロウィーン離れ》が進む一方で「新宿二丁目」に人々が集まる「意外な理由」

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