渋谷センター街・理事長がハロウィンバカ騒ぎに憤慨「あちこちで小便や大便まで」

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韓国・ソウルの梨泰院地区で150人以上が圧死したハロウィン。この10月末、東京・渋谷でも約12万人がハロウィンイベントに押し寄せたといい、スクランブル交差点は若者たちで溢れかえっていた。
【写真17枚】半袖メイド服、ミニな警官、網タイツと自慢のコスプレ姿。制服には「EAT ME」の赤い文字「もう、うんざりです」 そうため息をつくのは、渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長だ。「入国制限が緩和されたこともあって、外国人観光客も戻ってきました。それに何より、コロナの反動で騒ぎたい若者が多くて多くて……」

商店街ではこれまでも店を早く閉めたり、アルコール類の販売を休止したりと様々な自衛策をとってきたが、不安は尽きないと小野氏は言う。「商店街のほとんどの店では仮装者を入店禁止にしていますが、それでも、何が起きるかわからない。ハロウィンを見に来るギャラリーは大半が終電までに帰りますが、問題は仮装して騒ぐ若者たちです。22時ぐらいにやってきて朝まで酒を飲んで、喧嘩やナンパをしたり。 モラルも何もなく、人に迷惑をかけることを気にしない。ハロウィンでテロのような事件が起きるのではないかという懸念すらあります」 暴れる人に対処したら、次は酔いつぶれた人に対処しなくてはならない。「特に困るのはトイレ問題。街のあちこちで小便はもとより大便までする連中がいるのです。2階に上がる階段やビルの間、エレベーター内なんて目も当てられない」(小野氏) 教育評論家の尾木直樹氏は、コロナ禍での学校生活の息苦しさがハロウィンにぶつけられたのではと指摘する。「コロナで失ったものを回復したいというエネルギーが、悪い方に、短絡的に出てしまっていると思います。本当ならば運動会や文化祭などの学校行事に新しい価値を見出す“学校ルネッサンス”にエネルギーをぶつけてほしいのですが」 尾木氏によれば、ハロウィンの騒乱には強い“感染力”があるという。「日本のハロウィンには宗教的な背景がないので、心理的なブレーキが働きません。渋谷の群衆にはリーダーもいない。その上、酒を飲んで仮装していれば覆面心理が働いて、普段ならしないような危険な行動もしかねない」 ハロウィンと日本の伝統的な祭事の決定的な違いについても、尾木氏はこう分析する。「お祭りというのは地域が主体になって行なうのが原理原則。徳島の阿波踊りでも仙台の七夕まつりでも中心にあるのは地域で、その地域が参加者のために桟敷や通路を用意する。でも、ハロウィンにはそうした地域との共存がない。ただ群衆がなだれ込んでいるだけ。むしろ地域の人はいつもより早く店を閉め、経済的な損害も受けています」 一方で、タレントの石原良純氏はこう話す。「幸い韓国のような悲しい事故は起こらなかったし、そもそも、若い人が何かに熱狂するのは悪いことじゃないと思っています。60代の僕にはわからないハロウィンの楽しさが、10代や20代にはあるのでしょう。 僕らの世代も、かつてはジュリアナ東京のお立ち台で踊ったり開幕したばかりのJリーグに熱狂したりで、上の世代からは眉を顰められていた」 そうは言っても石原氏も渋谷の街には同情的だ。「地元の人たちの迷惑を放っておいていいとは決して思いません。だからこそ共存できるシステムが必要だと思います」 石原氏は、盛り上がりたい人と静かに過ごしたい人、両方のために渋谷にハロウィンエリアを設けることを提案する。「渋谷の街の一部分を入場料制にして、そこでとことん楽しんでもらうといいのではないか。若者の中にはそれではつまらない、自由が失われるという人もいるかもしれませんが、多摩川の河原だって有料のバーベキューエリアとそうでないエリアを分けたことで落ち着いたわけです。そうやって折り合いを付けていけば、数年後には事態は収まっているのでは」 来年のハロウィンはどうなるのか。※週刊ポスト2022年11月18・25日号
「もう、うんざりです」
そうため息をつくのは、渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長だ。
「入国制限が緩和されたこともあって、外国人観光客も戻ってきました。それに何より、コロナの反動で騒ぎたい若者が多くて多くて……」
商店街ではこれまでも店を早く閉めたり、アルコール類の販売を休止したりと様々な自衛策をとってきたが、不安は尽きないと小野氏は言う。
「商店街のほとんどの店では仮装者を入店禁止にしていますが、それでも、何が起きるかわからない。ハロウィンを見に来るギャラリーは大半が終電までに帰りますが、問題は仮装して騒ぐ若者たちです。22時ぐらいにやってきて朝まで酒を飲んで、喧嘩やナンパをしたり。
モラルも何もなく、人に迷惑をかけることを気にしない。ハロウィンでテロのような事件が起きるのではないかという懸念すらあります」
暴れる人に対処したら、次は酔いつぶれた人に対処しなくてはならない。
「特に困るのはトイレ問題。街のあちこちで小便はもとより大便までする連中がいるのです。2階に上がる階段やビルの間、エレベーター内なんて目も当てられない」(小野氏)
教育評論家の尾木直樹氏は、コロナ禍での学校生活の息苦しさがハロウィンにぶつけられたのではと指摘する。
「コロナで失ったものを回復したいというエネルギーが、悪い方に、短絡的に出てしまっていると思います。本当ならば運動会や文化祭などの学校行事に新しい価値を見出す“学校ルネッサンス”にエネルギーをぶつけてほしいのですが」
尾木氏によれば、ハロウィンの騒乱には強い“感染力”があるという。
「日本のハロウィンには宗教的な背景がないので、心理的なブレーキが働きません。渋谷の群衆にはリーダーもいない。その上、酒を飲んで仮装していれば覆面心理が働いて、普段ならしないような危険な行動もしかねない」
ハロウィンと日本の伝統的な祭事の決定的な違いについても、尾木氏はこう分析する。
「お祭りというのは地域が主体になって行なうのが原理原則。徳島の阿波踊りでも仙台の七夕まつりでも中心にあるのは地域で、その地域が参加者のために桟敷や通路を用意する。でも、ハロウィンにはそうした地域との共存がない。ただ群衆がなだれ込んでいるだけ。むしろ地域の人はいつもより早く店を閉め、経済的な損害も受けています」
一方で、タレントの石原良純氏はこう話す。
「幸い韓国のような悲しい事故は起こらなかったし、そもそも、若い人が何かに熱狂するのは悪いことじゃないと思っています。60代の僕にはわからないハロウィンの楽しさが、10代や20代にはあるのでしょう。
僕らの世代も、かつてはジュリアナ東京のお立ち台で踊ったり開幕したばかりのJリーグに熱狂したりで、上の世代からは眉を顰められていた」
そうは言っても石原氏も渋谷の街には同情的だ。
「地元の人たちの迷惑を放っておいていいとは決して思いません。だからこそ共存できるシステムが必要だと思います」
石原氏は、盛り上がりたい人と静かに過ごしたい人、両方のために渋谷にハロウィンエリアを設けることを提案する。
「渋谷の街の一部分を入場料制にして、そこでとことん楽しんでもらうといいのではないか。若者の中にはそれではつまらない、自由が失われるという人もいるかもしれませんが、多摩川の河原だって有料のバーベキューエリアとそうでないエリアを分けたことで落ち着いたわけです。そうやって折り合いを付けていけば、数年後には事態は収まっているのでは」
来年のハロウィンはどうなるのか。
※週刊ポスト2022年11月18・25日号

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