茂木氏「増税ゼロ」発言に岸田首相は驚き 関係者「明智光秀だった」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

自民党の茂木敏充幹事長は4日の総裁選出馬記者会見で、防衛増税と子育て支援金の保険料負担増を巡り、それぞれ1兆円分を停止して「増税ゼロ」を推進すると表明した。これに対して、総裁選に出馬予定の小泉進次郎元環境相は4日、記者団に「政策論というよりも、今まで岸田文雄首相を支えてこられた幹事長として、それをどのように考えるかを問われるのではないか」と疑問を呈した。
【写真まとめ】出馬する? しない? 自民党総裁選「候補者」たち
岸田政権は防衛費を2023年度から5年間で総額43兆円に増額し、財源が不足する1兆円強については法人、所得、たばこの増税で確保する方針を決めた。また26年度から「子ども・子育て支援金」を新設し、公的医療保険料に上乗せする形で、国民と企業から計1兆円を徴収する方針も決めている。
同じく総裁選に出馬予定の林芳正官房長官は4日の記者会見で、茂木氏の発言について「各候補の主張について、政府としてコメントすることは、差し控えたい」とした上で、防衛増税と子育て支援金の保険料負担増については「これらの措置は防衛力の抜本的な強化や、子ども・子育て政策の抜本的な強化を実現する上で必要なものだと考えている」と述べた。
石破茂元幹事長は4日、記者団に、茂木氏の防衛増税停止発言について、「どういう趣旨で、どういう数字に基づいておっしゃったのか分からないので、コメントはしかねる」と述べた。その上で、「経済成長によって増収がどれぐらい見込めるのか。どう割り振っていくのか。そこが分からないと、経済成長で税収が増えるので、防衛増税はやらなくてもいいという理屈にはなかなかならない」と語った。また茂木氏が掲げた政策活動費の廃止については「廃止することになれば、今までの政策活動費が果たした役割って何だったのかということが併せて議論されなければならない」と指摘した。
自民党の小野寺五典安全保障調査会長は4日、茂木氏の防衛増税停止発言について「(財源が)明確にならないということは、我が国の安全保障にも大きな影響がある。それ以上に日本の同盟国や同志国に対しても不安を与えることになるのではないか」と懸念を示した。
小野寺氏は防衛費増額について「党として正式な政策として決めてきた。しっかりとした財源の裏付けがあって、今回の防衛費の増額を計画している」と説明。増税停止によって「日本の防衛政策がぐらつき、私どもが安全保障上、懸念としている国に対して間違ったメッセージを与えてしまうことにもなる。やはり明確な財源はしっかり言っていただきたい」と苦言を呈した。茂木氏に対しては「もし従前からそういう考えをお持ちであれば、もっと党内で議論している中で一定の考えを示されるべきではないか」とも述べた。
関係者によると、茂木氏の出馬会見での発言を知った岸田首相は驚いた様子だったという。この関係者は、総裁選を巡って茂木氏が過去に、首相が出馬した場合に自身も出馬すれば「令和の明智光秀になってしまう」などと言及していたことを引き合いに、「岸田政権の政策に幹事長が反対だったわけか。茂木氏は結局、明智光秀だったということだ」と語った。【竹内望、森口沙織】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。