犬用アイスが「ハーゲンダッツより高額」の衝撃…!犬用ガリガリ君「ワンワン君」の開発担当者が「値段設定は高くない」と胸を張る理由

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アイスの中でもトップクラスの人気を誇る「ガリガリ君」。その売上本数は年間およそ4億本にも上り、日本人全員が毎年3本を食べている計算になる。
そんな「ガリガリ君」を製造・販売する赤城乳業株式会社が、この夏「ワンワン君」という犬用アイスを発売した。
これまで、コーンポタージュ味など、アイスでは考えられない味のガリガリ君で世間を驚かせて来た同社だが、今回は犬というターゲット設定と強気な値段で衝撃を広げている。
開発のきっかけと価格設定について、開発責任者の萩原史雄氏に話を聞いた。
「ワンワン君」は、2024年6月17日から専用通販サイトにて販売を開始。80mlのカップ6個入りで、北海道ヤギミルク3個・あまおういちご1個・宮崎マンゴー1個・バナナ豆乳1個という内訳になっている。
萩原氏は「弊社の中で『アイスでワクワクする楽しいことを始めよう』という思いがあり、その実現のために社内に『アイスドリーム研究所』を設立しました。『ワンワン君』はその第1弾の商品です」と話す。
確かに斬新さの光る商品だが、気になるのは3168円(税込)という値段。1個当たりの換算ではハーゲンダッツよりも高額であり、SNSでも「高すぎる」という声を見かけるが、なぜ強気とも取れる値段設定になったのか。
「飼い主さんにとってワンちゃんは、ペットというよりは家族やそれ以上の存在です。なので、美味しさはもちろん安心して食べさせられるものを求めています。そのために、添加物を可能な限り徹底的に抜いて、それでも美味しさを保つために素材を厳選しました」(萩原氏、以下同)
ペットフードは通常であれば雑貨に分類されるが、「ワンちゃんは家族」という思いから、同商品はヒトが口にする「食品」と同等の基準でつくり、原材料の銘柄にまでこだわっているという。
「イチゴは『あまおう』で、マンゴーは『宮崎マンゴー』を使っていて、砂糖を減らしても素材の甘さが際立ちます。ミルクも、牛のものに比べて、脂肪球が小さく、乳糖が少なく、栄養価の高い北海道産のヤギのミルクにしました」
まだ大量生産ができる体制ではないとのことで、現在が底値というわけではなさそうだが、萩原氏は現在の値段設定は高くないと話す。
「日本で一番多く飼われている小型犬は、ワンワン君1個を5回に分けて食べる計算です。そうなると、1回分は100円程度なので、そんなに高くはないと考えています」
発売から2ヵ月あまり。専用の通販サイトのみの販売で、1日200セットの限定発売となっているが、売れ行きはどのような状況なのだろう。
「発売当初は一瞬で売り切れる状況でしたね。最近はやや落ち着いては来ていますが、それでも、リピートして買われる方も増えていて順調な売れ行きです。ただ、今回は犬を飼っている家庭の0.1%への販売という高い目標を設定しているので、まだまだこれからだと思っています」
リピーターを獲得しながら、さらなる高みを目指す「ワンワン君」だが、購入した消費者から上がっている声には、どんなものがあるのか。
「まず、人と一緒にアイスを食べられるうれしさ、そして、安心して与えられるという声が多いです。日常のおやつという方もいますが、ワンちゃんの誕生日にあげるようなニーズがあるということもわかりました。また、パッケージを映えるようにかわいくしたのですが、これにワンちゃんが反応してくれて駆け寄って来るという声もありました」
売上もVOC(Voice of customer:お客様の声)も上々の様子であるが、そもそも、こうした商品を開発した裏側には次のような背景があった。
「市場をみると、日本の人口が減少している=『胃袋の数』が減っているということですよね。また、少子化が進んでいることで日本の食品消費は約40%が60歳以上と言われており、アイスの購買層の中で若い世代の数は年々減少しているんです。その中で会社としてどうしていくかを考えました」
しかし、そうした側面は二の次であり、赤城乳業の中にはそれ以上に強い「ある思い」があったという。
「社内で共有されている理念に『アイスで世の中をもっと楽しく』というものがあります。ペットと一緒に食事をしたり、アイスを食べることが喜びである世の中にしたい。それを実現させたくて開発しました」
萩原氏の言葉や声、表情からも「アイスで楽しいものを作りたい!」という強い意志が伝わって来た。
ここでふと、素朴な疑問が頭をよぎる。ヒト向けの商品であれば、社員やモニターに試食してもらい感想を聞くことができる。しかし、言葉の話せない犬用の場合は、どのように開発していたのだろうか――。
<文/Mr.tsubaking>
つづく後編記事『散歩中の犬100匹に試食を依頼…ハーゲンダッツより高額!犬用ガリガリ君、衝撃の「開発ウラ話」』では、苦心に苦心を重ねた、地道な開発現場にスポットを当てて紹介します。
散歩中の犬100匹に試食を依頼…ハーゲンダッツより高額!犬用ガリガリ君、衝撃の「開発ウラ話」

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