運転中の車に落雷の瞬間 まぶしい光と破裂音、鳴り響くクラクション…車内の家族は大丈夫?

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最近、ゲリラ雷雨など不安定な天気が続いています。岐阜県で15日、家族連れが乗った車が落雷の被害に。その瞬間をカメラがとらえました。
「本当にびっくりしました。『まさか自分が』という」(家族3人で走行中に落雷にあった男性)
8月15日、岐阜県大垣市を走行していた車のドライブレコーダーの映像です。
堤防道路を走っていると、突如ストロボのような光が。
「やばい!落雷した」(男性)
直後、車に異変が起きたといいます。
「その時、僕は運転していて、『まぶしい』と思ったら、破裂音がバンッとして。車のメーター周りをみたら、警告灯がいっぱいついた状態。アクセルの反応もなかったので『何事?』という感じでした」(男性)
ドライブレコーダーで落雷の瞬間を止めて見てみると、赤い光がはっきりと現れました。
光は前方の道路、さらに対向車の側面にまで広がっているのがわかります。
雷をうけた車は、エンジン系統の警告灯が付き、エンジンが停止し、クラクションが鳴り響きます。
男性は車を路肩に寄せて、保険会社などに連絡をしたということです。
車には男性のほか、妻と2歳の子供が乗っていました。
「家族3人で乗っていたが、特にけがはなかった。落雷の音に、妻は何事?という驚き。息子は何が起こったのか分からない状態で、きょとんとしていた。泣き叫ぶこともなく」(男性)
幸い家族にけがはありませんでしたが、男性の車は故障して、現在使用できない状態です。
「レッカー会社の人いわく、落雷を受けた車を、過去に数回レッカーしたことがあって。大半が堤防、周りに何もなくて落ちやすいのか、『堤防が1番多いね』と会話の中であった」(男性)
気象庁によると、落雷のうち約30パーセントが、8月に集中しています。
15日、岐阜県大垣市周辺には雷注意報が出ていて、大気の状態が不安定で雷が発生しやすい状況だったということです。
「雲行きが怪しいほうに向かっていた状態だったので。雷の光と音が、どんどんリンクする感じになったと思った矢先でした」(男性)
雷が車に落ちた場合、どのようなことが起きるのでしょうか。JAF愛知支部に聞きました。
「車には電子部品がいろいろあり、その部品に流れ込むと、トラブルを起こすことはある」(JAF愛知支部 武藤敏行さん)
落雷にあった車でも走行はできるということですが、カーナビが動かなくなるなど不具合が出たケースもあるといいます。
また、EV車やハイブリッド車などでは――。
「ハイブリッド車や電気自動車は大きなバッテリーを積んでいて、感電に対する対策がすごくされている。電気配線に雷のような大電流が流れると、車が異常と判断して、壊れているわけではないが、コンピュータを停止させて、走行できない状態に陥ることがある」(武藤さん)
Q.ブレーカーが落ちるようなイメージ

車に落雷した場合、中に乗っている人に影響はないのでしょうか。
「車の骨格をなす部分は金属でできているので、金属でできている車のボディーを伝って、最終的にはホイールの部分から地面の方に電気が流れていくので、基本的に車内に電気が流れ込むことはない」(武藤さん)
実際にJAFが行った実験映像をみると、アルミホイルにまかれたマネキンが乗った車両に電気を流しても、マネキンには影響がないことがわかります。
「一般的に、車の中は安全と言われている。万が一、自分の乗っている車に落雷があっても、慌てずに大丈夫だと思って安心して、慎重な運転を続けてもらえればと思います」(武藤さん)
雷の研究を続ける、中部大学の山本和男教授。
この20年間、世界中で約500件の車の落雷の事例の中に、車内にいた人が被害にあった報告はない、と話します。
「数百件の車の雷被害の調査をしてきたが、人が傷ついたり、大きな被害をこうむったりという事例は1件もありません。夏の雷は内陸部で、特に川沿いの場所は湿気がある。雷雲が発達する条件には湿気も必要なので、川沿いで雷雲が発生するのはよくある」(中部大学工学部 雷研究室 山本和男教授)
今回被害に遭ったのは、大きなボディの車でした。
落雷に遭いやすい車は、あるのでしょうか。
「たまたま大きな車に今回は落ちたということだが、そのほかの車に対しても、同様に落ちる可能性がある。それよりも周りに高い建物がないとか、あるいは雷雲が発生して、たまたまそこに雷が落ちたことが、大きく影響している。周りに高い建物がない場所で雷を車に受けた場合は、周辺に雷雲が存在するので、車の中で待機することをお勧めします」(山本教授)

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