「餃子の王将」社長射殺事件、“黒幕”と疑われた人物の独白 「京都府警が“犯人はあんたしかおらん”と迫ってきた」

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「餃子の王将」社長射殺事件で、京都府警は別件で服役中の暴力団幹部・田中幸雄容疑者(56)を逮捕した。
この事件で「黒幕」として名前が挙がるのは、かつて餃子の王将と巨額の取引を行ってきたある男性。2016年、本誌「週刊新潮」はこの男性に接触していたが、そこで語られた言葉とは――。
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【写真】福岡刑務所で服役中だった田中容疑者の素顔 16年3月、王将フードサービスは第三者委員会がまとめた「調査報告書」を公表している。目的は王将が〈反社会的勢力と関係があるかどうかを確認すること〉であり、結論として〈確認されなかった〉というのだが、同時にこの調査では、特定の人物が経営する企業グループとの間で王将が合計約260億円にのぼる取引を繰り返し、このうち170億円が回収不能となっている事実が明るみに出たのだった。

在りし日の大東氏 報告書の中で「A氏」と称されているこの人物は、部落解放同盟の故・上杉佐一郎中央執行委員長の異母弟にあたる上杉昌也氏(78)。王将とは創業者である加藤朝雄氏の代からの付き合いで、暴力団が絡んだトラブルの際などに力を貸してきたという。今のところ、田中容疑者と故・大東(おおひがし)隆行前社長との間には接点が見当たらないこともあり、報告書に登場した「A氏」に注目が集まっている状況だ。「府警幹部は10月28日夜の会見で、『どんな経営実態があるのかの捜査は進めており、王将の経理に関わるのか、解明したい』とも話していた。それを裏付けるかのように翌日、福岡の上杉氏の自宅に家宅捜索が入り、本人も福岡県警春日署で参考人聴取されました。また、数カ月前には久留米市の親族も捜索を受け、パソコンなどが押収されています」(全国紙デスク)「あんたしかおらん」 大東前社長殺人容疑で16年1月に自身の会社が家宅捜索を受けたという上杉氏から、本誌は当時、話を聞いていた。以下は、同年9月22日号での生々しい証言である。〈2014年の4月初め、京都府警捜査1課の刑事2人が、福岡にある私の会社を訪ねてきました。(中略)開口一番、「九州のヤクザが動いとる。九州といったら、あんたしかおらん」「上杉さん、王将の犯人はあんたしかおらんのや」と迫ってきた〉 と、生々しい場面を回想している。前述の報告書にある未回収の金については、90年代後半の住専問題のさなか、上杉氏の会社も大口融資先として住宅金融債権管理機構から50億円の返済を求められており、そこに創業者の次男で財務担当専務だった欣吾氏が手を差し伸べてくれたと明かす。〈「もう、お手上げですよ」と、電話で愚痴をこぼした。当時、社長は長男の潔さんでした。すると、2日後、欣吾さんから「それくらいだったら、うちでなんとかします」と、50億円を用立ててくれたのです。まさしく、地獄に仏とはこのことでした〉〈事件解決を待つよりほかない〉 ところがこの後、上杉氏が王将側に返済と借り入れを繰り返したこともあり、少なからず双方の言い分に食い違いが生じていったという。〈05年の段階で、『王将』は私に対し、90億円以上を貸し付け、そのうち返済額は40数億円に過ぎないと主張してきました。経営悪化の責任を取って、潔さんも欣吾さんもすでに『王将』を去っていた。私は、潔さんのあとに社長に就いた大東さんと何度も話し合いの機会を持ちました〉 00年に4代目社長に就任した大東氏は当時、東証1部上場を目指しており、上杉氏側との取引を清算すべく交渉にあたっていた。上杉氏によれば、最終的に債務は約40億円であると双方が確認、和解したといい、これが約260億円にまで膨れたのは、王将の経営状態が当時火の車であり、損失の穴埋めのために押し付けられた、との考えを語っていた。 王将側から事件の“黒幕”扱いされた格好の上杉氏は、〈反論の機会も与えられないままに犯人だと決めつけられ、私は社会的信用を失いました(中略)この汚名をそそぐには、事件解決を待つよりほかないのです〉 かつて本誌でそう嘆き、現在は王将を相手取って民事訴訟を準備中だという。11月2日発売の「週刊新潮」では、上杉氏が本誌に語った王将との取引の内幕、さらに今後の捜査の見通しについて詳報する。「週刊新潮」2022年11月10日号 掲載
16年3月、王将フードサービスは第三者委員会がまとめた「調査報告書」を公表している。目的は王将が〈反社会的勢力と関係があるかどうかを確認すること〉であり、結論として〈確認されなかった〉というのだが、同時にこの調査では、特定の人物が経営する企業グループとの間で王将が合計約260億円にのぼる取引を繰り返し、このうち170億円が回収不能となっている事実が明るみに出たのだった。
報告書の中で「A氏」と称されているこの人物は、部落解放同盟の故・上杉佐一郎中央執行委員長の異母弟にあたる上杉昌也氏(78)。王将とは創業者である加藤朝雄氏の代からの付き合いで、暴力団が絡んだトラブルの際などに力を貸してきたという。今のところ、田中容疑者と故・大東(おおひがし)隆行前社長との間には接点が見当たらないこともあり、報告書に登場した「A氏」に注目が集まっている状況だ。
「府警幹部は10月28日夜の会見で、『どんな経営実態があるのかの捜査は進めており、王将の経理に関わるのか、解明したい』とも話していた。それを裏付けるかのように翌日、福岡の上杉氏の自宅に家宅捜索が入り、本人も福岡県警春日署で参考人聴取されました。また、数カ月前には久留米市の親族も捜索を受け、パソコンなどが押収されています」(全国紙デスク)
大東前社長殺人容疑で16年1月に自身の会社が家宅捜索を受けたという上杉氏から、本誌は当時、話を聞いていた。以下は、同年9月22日号での生々しい証言である。
〈2014年の4月初め、京都府警捜査1課の刑事2人が、福岡にある私の会社を訪ねてきました。(中略)開口一番、「九州のヤクザが動いとる。九州といったら、あんたしかおらん」「上杉さん、王将の犯人はあんたしかおらんのや」と迫ってきた〉
と、生々しい場面を回想している。前述の報告書にある未回収の金については、90年代後半の住専問題のさなか、上杉氏の会社も大口融資先として住宅金融債権管理機構から50億円の返済を求められており、そこに創業者の次男で財務担当専務だった欣吾氏が手を差し伸べてくれたと明かす。
〈「もう、お手上げですよ」と、電話で愚痴をこぼした。当時、社長は長男の潔さんでした。すると、2日後、欣吾さんから「それくらいだったら、うちでなんとかします」と、50億円を用立ててくれたのです。まさしく、地獄に仏とはこのことでした〉
ところがこの後、上杉氏が王将側に返済と借り入れを繰り返したこともあり、少なからず双方の言い分に食い違いが生じていったという。
〈05年の段階で、『王将』は私に対し、90億円以上を貸し付け、そのうち返済額は40数億円に過ぎないと主張してきました。経営悪化の責任を取って、潔さんも欣吾さんもすでに『王将』を去っていた。私は、潔さんのあとに社長に就いた大東さんと何度も話し合いの機会を持ちました〉
00年に4代目社長に就任した大東氏は当時、東証1部上場を目指しており、上杉氏側との取引を清算すべく交渉にあたっていた。上杉氏によれば、最終的に債務は約40億円であると双方が確認、和解したといい、これが約260億円にまで膨れたのは、王将の経営状態が当時火の車であり、損失の穴埋めのために押し付けられた、との考えを語っていた。
王将側から事件の“黒幕”扱いされた格好の上杉氏は、
〈反論の機会も与えられないままに犯人だと決めつけられ、私は社会的信用を失いました(中略)この汚名をそそぐには、事件解決を待つよりほかないのです〉
かつて本誌でそう嘆き、現在は王将を相手取って民事訴訟を準備中だという。11月2日発売の「週刊新潮」では、上杉氏が本誌に語った王将との取引の内幕、さらに今後の捜査の見通しについて詳報する。
「週刊新潮」2022年11月10日号 掲載

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