〈従業員が川で全裸で溺死〉「暑いので自分から飛び込んだんだ」と説明していた元ヤンの会社社長。でも周囲は「被害者は奴隷だった」「“捨てる物でもいいんで、何か食べる物をください”と言っていた」と証言

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静岡県清水市で自動車販売・修理工場を経営する望月一行容疑者(42)=暴行罪で起訴=が唯一の従業員である太田滉基さん(当時33歳)に日常的に暴行を加え、全裸で川に入らせて溺死させた事件。清水署が再逮捕した容疑は重過失致死だが、その内容はあまりにも陰惨だった。容疑者を幼少時から知る男性が全容を証言した。
〈写真多数〉望月容疑者と共にピースする太田さん、ローカルCMに出演しタレントと自慢気に写る望月容疑者姿、車のチームに入りセンターで“ウンコ座り”をするヤカラ写真も…
「あれはもうはっきり言って奴隷だったね……。カズユキは普段から太田くんに対してはずっと怒鳴っていた。『てめー』だとか『しっかりやれ』とかそんな風に太田くんが言われているのは何度も見ていたから。

それに工場内にカメラが5台設置してあって、カズユキは『こうやって携帯で見れるんだ』と自慢してた。その時も太田くんがこっくりこっくり寝そうになるのを見るとカズユキはすぐに電話して『寝てんじゃねー』と怒鳴っていたよ。あんまりひどい時は注意もしたけど、注意をすると最終的に太田くんが殴られるという話を周囲から聞いていたからそれもしづらかったんだ」(幼少期から望月容疑者を知る男性)
太田さんは陸運局に客の車のナンバー申請に訪れては、待合室で居眠りしており、その話は同業者の間では有名だったという。「カズユキは太田くんのことを『仕事できない、仕事が遅い』とかいつもこぼすんで、みんなも最初は太田くんが『サボって居眠りしてる』と思ってたけど、そうじゃなかったんだな。俺は太田くんがカズユキと一緒にいるところを普段からよく見ていたからだと思うけど、太田くんかなり衰弱していて…。ある日、彼が俺のウチに突然訪ねてきたんですよ」
それは♯2でも詳報したような、食べ物の無心だった。空腹に苦しむ太田さんが思いつめて食べ物を乞いに出向いた先は、一軒だけではなかったのだ。「太田くんは痩せ細っていて『なんでもいいんで、捨てるものでもいいんで、何か食べる物をください』って……。あまり詳しく聞ける雰囲気ではないし、とりあえず食べ物を渡して、『自分の体のことも考えて気をつけて働きなね』と声をかけると『ありがとうございます』と涙を流していたよ。カズユキに怯えきっていて、もう思考が停止している状態に見えた。だから何度か食べ物を取りにきた時に『とにかく悪いようにはしないから働いた記録をつけときなさい』とアドバイスしたんだ」(前出)
知人男性は太田さんの勤務記録がある程度たまった段階で、労基署に持ち込んで待遇改善を図ろうとしていたのだ。「太田くんも俺の助言に『はい』とうなずいていたからね。そんな矢先に今回の事件が起きてしまった……。殴ってるというのも話だけは聞いていたよ。見た人から聞いたのはカズユキが『しっかりやれや』とか怒鳴って殴りつけて、太田くんが倒れて、その後、太田くんは立ち上がって無言で整備を始めていたって。川に関しても今回だけじゃないんだろ。カズユキは最初周囲には『暑いと言って本人が飛び込んだ』と言いふらしていた」(前出)
それにしても「カズユキ」が太田さんを追い詰めるのには、何か理由があったのだろうか。知人には思い当たるフシがあったという。「直接的な動機はわからないけど、5月にカズユキと男性が外で2人で話しているところに出会ったんだ。見覚えのない人だったけど、カズユキからは『太田くんのお父さん』と紹介された。そのときのお父さんは、苦虫を噛み潰したような顔をしていたのをよく覚えている。俺は仕事の途中だったからそのまま行ったけど、次の日にカズユキが『太田くんのお父さんが今日も来た。話が通じないしもう2度と話したくない』と言っていた。お父さんは太田くんの身を案じて来てたんだと思う。でも、それがさらにカズユキが太田くんを攻撃することににつながった気もしているよ……。ほんとこんなこと、許せないよ」(前出)
望月容疑者は、幼少期からワガママ放題で育ち、陰険なヤンキーへと「成長」したようだ。別の知人男性もこう証言する「昔からイタズラがすぎる子で、しつけをされていないような子だった。例えば人の家にきて勝手に冷蔵庫を開けてカズユキが食料品を食べてしまっても、母親も父親も注意しない感じだった。父親は今から10年前くらいに病気で亡くなったんだが、これもちょっと変わった人間だった。カズユキがよその家から何かをもらってきたらしく、母親が『あなたからもお礼を言っといて』と頼んだら『なんで俺がもらったものじゃねえのにお礼なんて言わなきゃいけねえんだ』ってキレていたからな。両親とも昔はヤンチャなタイプでカズユキも中学時代にはそんな服装になっていたわ」
パンチパーマをあて、プレジデント車を乗りまわしていた「カズユキ」だが、大人になるにつれ周囲からの“受け”はよくなっていった。「俺の知る限りはカズユキは今まで警察に捕まったことはないよ。とにかく昔は悪ガキって感じだったけど、日産で整備士をやってから地元に戻って起業した時には立派にはなっていた。工場の前の通る人全員に『こんにちはー』って声かけたり、知人から知人をたぐって商売を拡大していった。1ヶ月前に会った時には『年商1億になった。今僕の給料、月に100万円だよ』と自慢していたな。ただ、太田くんへの対応は問題ありすぎだった。だから『色んな意味で会社が大きくなれば人の使い方も大事だし、何かやればビッグモーターみたいになるぞ』って注意してたんだ。それで太田くんにも出勤記録をとらせていたんだけど、まさかこんなことになってしまうとは……」
地元では誰も泳がないという巴川に流されながら、太田さんは何を思っていただろう。そして「カズユキ」の心に、その無念が突き刺さる日は来るのだろうか。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。メールアドレス:[email protected](旧Twitter)@shuon_news
取材・文/集英社オンラインニュース班

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