“エアコンはつけたまま寝るべき”は本当? 猛暑でも快適に眠りたい時に「やってはいけない」7つのこと

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ここ数年の猛暑で「熱中症予防のためには、エアコンをつけたまま寝るべき」というアナウンスが定着しつつあります。しかし、「つけてもあまり温度を下げたくない」冷え性の方、「暑いけどつけたまま眠るとのどが痛くなるし、音も気になるし……」という方など、実際の対応はさまざまなのではないでしょうか。
【画像】「エアコンをつけたまま眠るのは…」涼しく眠りたい時に “やってはいけない7つのこと”を一気に見る
快適に眠るためにできる工夫や方法、エアコンをつけたまま眠った場合の実際の効果を、7つのポイントから考えてみたいと思います。
Paylessimages/イメージマート
従来の日本家屋では「深い庇(ひさし)や軒(のき)」で開口部に入る夏の強い陽射しを遮る工夫がなされていました。しかし近年では住宅のデザイン性や土地利用の都合で、陽射しが直に寝室の窓に当たってしまうようなケースも少なからずあります。
住まいの暑さ寒さと「開口部」「窓」との関係性はきわめて大きく、エアコン(冷房)時に窓など開口部から熱が入ってくる割合は73%にも上ると言われています(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会より)。
陽射しや照り返しで熱せられた窓は、いわばパネルヒーターのようなもの。そのためできるだけ窓を熱さないよう、屋外側から窓部分を陰にするような工夫をすると、かなり涼しくなります。たとえば簾(すだれ)、オーニング、遮光ネットなどを可能な範囲で使ってみましょう。

屋内側からも二重(レース、ドレープ)のカーテンを垂らす、窓ガラスに遮熱シートを貼る、厚さ10ミリ程度の発泡スチロール板(ホームセンターで市販されています)を窓ガラスに貼り込む、といった方法があります。また窓を開けて自然換気する際にも、風の通りとは関係のない窓ガラス部分はカーテンで覆い、熱の侵入をできるだけ遮断するようにしましょう。
もし可能であれば、夏の間は住まいの中で寝室に使う部屋を、「南・西に窓のある部屋」から「北・東に窓のある部屋」へ、「上階の部屋」から「下階の部屋」へと移動させてみましょう。同じ家でも気温差が数度もある場合があり、驚くほど寝やすくなることがあります。
夏場、住まいに熱をこもらせるのは太陽ばかりではありません。私たち自身の体も熱源となるほか、あらゆる電気製品もその原因になることがあります。
特に発熱しやすい家電、電気製品を寝床のそばに置いておくと寝苦しさの原因になります。たとえば目覚まし時計としてスマホを充電しながら頭の近くなどに置いている方は、試しに体から遠く離して寝てみてください。

すでにだいぶ暑くなっているにもかかわらず、まだ冬用の敷きパッドや吸湿発熱素材を使った布団などといった「あたたかい寝具」を使ったままでいる……なんていうことはありませんか?
通年使えるシーツ等を使用している場合でも、もし寝苦しいようであれば、接触冷感や吸湿速乾を謳うタイプの敷きパッドを試してみるのも一手です。羽毛布団の多くはシーズンレスで使用できますが、夏場はカバーを夏仕様のものに替えると、より寝やすくなります。

さらに、機能性繊維でできた敷きパッドや上掛け布団などは、熱伝導率に優れていたり、汗の水分を素早く蒸発させる気化熱の効果でひんやりさせるなどの作用があります。さまざまな商品が出ていますし、価格帯にも幅があるので、可能な範囲で取り入れてみると涼しさを得ることができるでしょう。
ただしこのタイプの繊維商品の効果を持続させるには、汗や皮脂の汚れを溜めないように注意。臭いや汚れ対策としても、比較的こまめな洗濯・乾燥が必要です。また洗濯の際には、柔軟剤を使用しないことも大切です。柔軟剤の成分が、機能性繊維をコーティングしてしまうため、せっかくの効果が失われてしまうことがあります。
発熱時などに活躍する冷却ジェル枕。これを暑い夜の就寝時に愛用している人もいるでしょう。一方で、日常的に使用するような場合にはいくつか注意点があります。
まず、必ず結露するので、その水分を布団に染み込ませないよう厚めにバスタオルなどを枕下に敷き込んでおきましょう。水分を継続的に布団に染み込ませ続けると、布団にカビ(黒いテンテン汚れに見える)が生えたり、ダニを多量に発生させる原因になります。結露で湿ったバスタオルは毎日交換しましょう。
またあまりにも冷たい状態で使用すると頭部の血行が悪くなったり凍傷になる可能性があります。冷却ジェル枕は直に使わず、専用カバーやタオルやバスタオルで覆って使用するようにしましょう。

凍らせたりしなくても冷感を得ることのできるジェルマット(マットレス)も多く市販されています。ひんやり寝られて便利な反面、使用する際には体温を奪われ過ぎないような注意が必要です。
特に暑くて寝にくい時には足元も冷たくしたいと思われがちですが、足先が冷えるとかえって寝苦しく不快になりますし、腹部が冷えれば体調不良の元にもなります。

ジェルマットは特に気温の変動の激しい時期、朝方などは冷えすぎてしまう可能性もあります。実際の気温や体感温度、体調を見ながら取り入れ、毎日漫然と使ってしまうことは避けましょう。
エアコンを稼働させているからと24時間換気のスイッチを切ってしまう方がいますが、住まいにとっても身体にとっても悪影響となります。現代の住宅は気密性が高く、窓をいくつか開けての自然換気だけでは住宅全体の換気が行き届かず、高湿度になり家が傷んでしまいやすいからです。
24時間換気扇(24時間換気システム)は、たとえエアコン稼働時でも切らないのが基本です。また、常に住まいの数カ所、最低限寝室とリビングなどには「温湿度計」を設置し、湿度が70%を超えないよう換気や、できるかぎり空調家電を使いましょう。

湿度70%下ではたとえエアコンをガンガン効かせた26度の部屋でも熱中症「警戒」状態となります(暑さ指数=WBGT値が25度以上のこと)。一方湿度40%なら気温31度以上、湿度50%なら気温29度以上でそれぞれ「警戒」状態に。それもあって「気温28度」を目指すことがなんとなく指標になっているのではないかと思われます。
「昼間はエアコンなしで堪えたのに、夕方になったら我慢できなくなって、つけちゃった」というようなことを言う方もいますが、たいてい日が落ちて外気温が下がると湿度が上がるので、当然のこと。
寝室では、気温もさることながら、高湿度環境に十分注意してください。「エアコンをつけたまま寝る」のは部屋の気温を下げるためのみならず、寝室の「低い湿度」を維持する目的も大きいことを、ぜひ知っておいていただければと思います。
(藤原 千秋)

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