【高橋 克英】英語の館内表記に外国人従業員…「日本人が消えて」、「異国と化した」日本の町の異常事態

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。
*『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。
『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第32回
『「至れり尽くせりだ」…《世界屈指の最高級リゾート》ニセコで、海外の富裕層が金を使いまくる「衝撃のツアー」』より続く
ニセコビレッジ地区も、ひらふや花園地区に負けず、「ヒルトンニセコビレッジ」を中核施設として、スキー場、ゴルフコース、高級コンドミニアム、商業施設、自然体験施設などがあり、拡張を続けている。
「ヒルトンニセコビレッジ」の館内表記は、日本語より英語が先にあり、ホテル従業員も多くは外国人で、まるで「公用語」は英語だ。アメリカ、イタリア、フランス、インドネシア、香港など国籍もさまざまだ。
館内の寿司屋では板前が、相手が日本人でもまずは英語で話しかけてくる。宿泊客や利用客の大半が外国人で、華僑などアジアの宿泊客も多いからだ。
スキーシーズンは特に日本人の姿はほとんどなく、まさに異国のようになる。ゴルフ場が目の前にあるため、コロナ禍前までのグリーンシーズンには、韓国からのゴルフと温泉を楽しむ団体客や、バスによる北海道周遊旅行の行程としてニセコに立ち寄る中国からの団体客に加えて、夏休みを利用した日本人ファミリー客などにより賑わってきた。
ニセコビレッジを保有し運営するYTLグループは、高級レジデンスの開発などでニセコビレッジを一流のリゾート地に発展させる方針で、長期的にグループの収益向上が見込めるとしている。
実際、2014年には、高級コンドミニアムの「カサラ・ニセコビレッジ・タウンハウス」と伝統的な日本の町屋の建築をコンセプトにした「ショッピング&ダイニングエリア」を開業。2019年には、高級コンドミニアム「ヒノデヒルズ・ニセコビレッジ」を開業している。
「ヒノデヒルズ・ニセコビレッジ」は、客室数79室で、宿泊者専用の温泉浴場を設けており、冬季はスキー場からのスキーイン・スキーアウトが可能となっている。スキーチューブ(フード付きの動く歩道)によってリフトにも直接アクセスでき、スキーバレーも備えている。
三井不動産リアルティが販売を行っており、現地だけでなく東京でも国内富裕層向け説明会を行うなどしており、コロナ禍下であっても半数ほどが日本人を中心に売れているという。
『海外の富裕層にとっては常識…ニセコをコロナ禍でも輝かせた大儲けできる「驚愕の仕組み」』へ続く
【ニセコの最新の状況についてはこちらの記事もご参考ください】
海外の富裕層にとっては常識…ニセコをコロナ禍でも輝かせた大儲けできる「驚愕の仕組み」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。