【長谷川 智也】中学受験の「子どもの付き添い」、じつは母親よりも「父親」のほうが成功するワケ

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東大卒の大人気プロ家庭教師である長谷川智也氏は、多くの中学受験生やその家庭と向き合ってきた中で、「親のメンタル」が受験合格のカギとなることをかなり感じているそう。
中学受験といえば子どもが塾などでがむしゃらに頑張るイメージだが、親はどう影響するのだろうか。また合格を引き寄せる家庭は、どんなサポートをしているのか。
長谷川さんの新刊『中学受験 奇跡を引き出す合格法則』から、<こどもが「勉強ができなくなる」親の口グセ…じつは怖い「励ましも要注意です」とプロ家庭教師がいうワケ>に引き続き、「親のメンタルの保ち方」について紹介する。
決して万人に当てはまるわけではありませんが、これもよくある、親子の距離感に関わる法則の一つです。
これまでの教え子たちでは、「入試本番、お母さんが付き添いで行った学校は不合格。でも普段関わりの少ないお父さんと行った学校は合格」という事例が、本当によくあります。特に、仲が良く一蓮托生タイプの母娘に、このパターンが頻発します。
この法則のポイントはお父さんにあるのではなく(失礼!)、親御さんのうち「普段関わりの少ないほう」と一緒に行くのがいいということ。
家庭によって、それがお父さんでもお母さんでも、数年間ガッツリ伴走してきた親御さんだと、お子さんによっては、変に緊張してしまって、本番でいちばん用心したい精神的な力みを生んでしまうようです。
入試期間中は、どんなに頑張ったとしても、思わぬ不合格の報を受けたり、テストのできが良くなかったりすることが起こります。
こうなると、共闘してきた親子ほど一緒に動揺してしまい、負のループに陥ってしまいます。
数年前のBちゃんは、うまく不合格の連鎖を防げたパターンです。
僕自身もまあ大丈夫だろうと思って送り出した1月の埼玉受験で、まさかの不合格。その次の日に家に行ったのですが、Bちゃんばかりでなくお母さんまでが憔悴し切っていて、家全体の空気がどよーんとしていました。
実は訪問の時点で、僕はまだ結果を知らされていなかったのですが、玄関を開けた時に空気で悟ってしまった(泣)。
僕は座るなり、Bちゃんに告げました。
「そういうこともある」
「はい」と、Bちゃん。
「まあ、伸びしろをなくし切って、次を受けよう。Bちゃんの場合は『中学への算数』をガチるしかないな。2週間で3冊やろう」
「はい」
追い込まれた時、自走モードが覚醒しやすいです。Bちゃんはその2週間で、本当に3冊を終わらせました。
そして、迎えた本番当日。仕事を休んだお父さんの付き添いで、大本命校の豊島岡女子へ。その結果、合格することができました。後日、
「事情をよくわかっていないお父さんと行ったから、本人もリラックスできたみたいです」
と別人のように笑いながら、お母さんが報告してくれました。
中学受験は親子の戦い。しかし、ともに「兵士」になっては、共倒れしてしまいます。チームの戦い方として、兵士と軍師、そして応援の旗振り役と、上手に役回りを分けてこそ、勝ちを取りにいけます。
「うちの子、全然やっていないかもしれない」
「こんなレベルでいいんですか」
とは、訪問先の家庭で、親御さんからよく聞かれる言葉です。こんな時、僕は、「大丈夫ですよ。他の家庭もこんなものです。良くやっていると思いますよ」とお伝えします。すると、どんな方もホッとした表情をされます。
実際、どの家庭もたいがい「こんなもの」なのです。
しかし親御さんたちは、中学受験のよくわからない雰囲気にのまれてしまい、他の家庭(の表面)と比べたり、「私は親としてできていないのかも」などと勝手に思い込んだりして、妙なプレッシャーを受けてしまっています。
中学受験は、自分たちで「今できること」をやっていけば、まず大丈夫です。何よりも大切なのは、親が自分の子どもを信じていること。子どもも親を信じられること。
親子として信頼関係をちゃんと築けているかを気にしてほしいです。
そのためにはまず、親が、目の前の子どものことをもっと信じて、尊敬してあげてください。
親が感じるプレッシャーの9割は、自分自身が勝手に生み出したもの。中学受験の幻影に怯おびえないで、勇気を持って、自分たちの道を進みましょう。

つづく<子どもに「与えてはいけない」家庭の飲み物…成績の伸びなやみ、「中学受験」では特に要注意《プロ家庭教師》が実感>でも、家庭でできる合格のための「小さな習慣」をプロ家庭教師の長谷川氏が明かします。
子どもに「与えてはいけない」家庭の飲み物…成績の伸びなやみ、「中学受験」では特に要注意《プロ家庭教師》が実感

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