妻にナイショで“二重家庭”を続けて早9年 そろそろバレそうな「46歳夫」の綻び始めた生活

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【前後編の後編/前編を読む】“妻”はふたり、それぞれに子供も…「自然とそうなっちゃった」 46歳夫が「二重家庭」を築きあげるまで
堀田貞則さん(46歳・仮名=以下同)は、妻に伏せた二重生活を送っている。血の繋がらない兄弟たちとの複雑な家庭で育った彼が40歳を前にしたある日、一番下の妹から茉莉奈さんという女性を紹介される。彼女に惹かれた貞則さんだったが、その2週間後には舞耶さんとバーで出会い、男女の関係に。ふたりの女性を行き来して1カ月半ほどが経った頃、ふたりから「妊娠した」と告げられた。
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すぐに妹から連絡があった。
「ね、茉利奈さんとの結婚式はいつがいい? お腹が目立つ前のほうがいいかもしれないし、安定期に入ってからのほうがいいかもしれない。式場探しは手伝うからって。はあ? という感じでした。僕は」
いくらなんでもぼんやりしすぎだと思うのだが、当時の貞則さんは、頭の中がクエスチョンマークだらけだったらしい。ハッと覚醒したのは、舞耶さんが「私、結婚するつもりはないけど、認知だけはしてくれる?」と言いだしたからだ。
「あ、結婚はひとりとしかできないんだと。改めてそんなふうに思ったんですから、ほんと、ぼうっと生きてましたよね。舞耶に会って、オレ、どうやら結婚することになっているらしい、と話しました。舞耶は笑って『あなたって、海外生活が長いのに、いや、長いせいなのかな。日本ではぼんやり生きてるよね』というんです。おっしゃるとおりで、オレはどうしたらいいんだろうと聞きました。アホ丸出しですが」
舞耶さんは「結婚すればいいじゃない」と言った。結婚はひとりとしかできないけど、関係じたいは何人とでももてるわよ、と。相手が納得していればいい、ただし子どもにはあなたとの親子関係も結んでほしいから、子どもができたら父親として振る舞ってほしいとも言われた。
「じゃあ、茉利奈と結婚するけど、きみとも家庭をもつということ? そう言ったら、舞耶が『それができればたいしたものだわ』と笑顔を見せた。通常の価値観とは違うことをするんだから、それなりに覚悟してよねと言われて、『はい、わかりました』と」
そして彼は茉利奈さんと結婚式を挙げた。継父やきょうだい、親戚、職場の上司や同僚、学生時代の友人たちが祝ってくれる顔を見て、「あれ、舞耶がいない」と思った。そして次の瞬間、自分の人生の表側はここで、裏側は舞耶さんとの関係なのだと、ようやく腑に落ちたのだという。
「舞耶に覚悟しろと言われたのは、こういうことかと。舞耶はすでに覚悟ができているわけですよね。オレは情けないと痛感しました」
茉利奈さんの父親は不動産業を営んでいた。その関係で、彼女の実家近くの新築マンションの一室を勝手に使っていいと言われたが、貞則さんは「無料というわけにはいかない」と拒否。それが父親に気に入られた。結局、破格の安い賃料で貸してもらうこととなった。
「舞耶はすでに自分でマンションを購入していました。女性たちがしっかりしていたから、すんなりと2つの家庭を行き来できたんだと思います」
茉利奈さんには最初から、仕事が多忙だし海外とのやりとりが多いので、週に2,3回は会社近くのカプセルホテルに泊まることもあると言っておいた。自宅は郊外で会社から遠かったこと、一方の舞耶さんの自宅が会社から近かったことなど、彼にとって都合のいいことも重なった。
「平日、2,3回は舞耶のところに帰り、あとは自宅へ。そんな生活になりました。ふたりとも同じような時期につわりが始まったけど、舞耶はすぐにおさまってますます精力的に仕事をしていた。茉利奈はかなり具合が悪そうでした。舞耶が『今日は帰ってあげたら?』ということも多々あった」
茉利奈さんには両親がついているから不安はなかったが、そんなときは舞耶さんの意見に従った。彼には「舞耶さんの言うとおりにしていれば、万事うまくいく」という思いが強かったようだ。それだけ舞耶さんはたくましかったし、自分の人生を貫く強さがあった。
「結局、茉利奈が女の子を産んだ3日後に舞耶が男の子を産んだ。ただ、出産じたいは舞耶のほうが大変でしたね。最後は緊急帝王切開になったので、心配でたまらなかった」
妻の子の出生届を出してから数日後に愛人の子の出生届を出し、同時に認知。その後、しばらくしてから彼は転籍した。こうしておけば、とりあえず戸籍に認知の件は記載されない。妻には何も言わなかった。戸籍を取り寄せる機会があったときに「めんどうのないように戸籍を都内に移した」と言えばいいと考えていた。
子どもが生まれてから9年。舞耶さんとの間には、もうひとり男の子がいる。その子も来春、小学生になる。この間、ずっとふたつの家庭を維持してきた。住んでいる場所が離れているので、娘と息子の小学校では運動会の日が違う。だから両方とも参加できる。たまたま行事が重なったときは掛け持ちする。
「婚姻届を出した家庭と出さなかった家庭。どちらも僕にとっては大事なんです。舞耶は寛容だから、いろいろなことを許してくれるし、あちらを大事にしてと言うけど、本音は『こっちも大事にして』だと思う。『あなたにとって、子どもの重さは同じよね』と確認されたことがありました。もちろん同じです。そして妻も舞耶も大事。そこに優劣はない」
収入の多くは茉利奈さんに入れているが、舞耶さんにも多少なりとも渡している。会社の業績が上がったとき出た一時金は、舞耶さんとの第二子が産まれた直後だったのですべて彼女に渡した。もっと稼げればいいのにと思うこともあるものの、茉利奈さんには実家がついているし、舞耶さんは彼以上に稼いでいるから、その点は甘えるしかない。
「どちらの家でも子どものめんどうをみたり家事をしたりと、せっせと働いてきました。僕を必要としてくれる人たちがいるのがありがたい。その分、愛情で返すしかないんですけど」
コロナ禍でリモートワークが増えたときでも、彼は部下たちに在宅の指示を出して、自身はなるべく出社していた。出社しないと舞耶さんのところにも行きづらいからだ。今は通常出社しており、ここ2年ほどはまた出張にも出るようになった。
ところが長年、同じ習慣を続けていると、人はどこか鈍化するのか。最近、貞則さんは立て続けにミスを犯している。
「春に海外に出張にいくとき、いつも通り舞耶のところに前泊するつもりで荷物を作っていたんです。妻がさりげなく、『明日は何時の飛行機?』というので『午後2時くらいだったかな』と言ったら、『だったら空港近くのホテルに泊まらなくても、家から行けるじゃない』と。すっと血の気が引きました。そうですよね、当然。とっさに『でも疲れるからさ。最近、年のせいか疲れがたまるんだ』と、やたら“疲れ”を強調してしまった。僕、ふだんは絶対に疲れたと言わないようにしているんですよ。だから茉利奈は、『ふうん、あなたも年を感じるようになったんだ』と不思議そうに言っていた。しまったと思ったけど、そこで余計なことを言うとさらに墓穴を掘りそうだったので黙りました」
その後、息子たちが野球を観に行きたいというので、4人でプロ野球観戦に行った。最近は客席がスクリーンに抜かれることもあるので気をつけてはいたのだが、どこかのタイミングで息子たちが映ったようだ。隣にいた貞則さんも一瞬、映ってしまった。
「翌日会社で、『昨日、映ってましたよ』と言われて心臓が止まりそうになりました。一瞬だったからわからなかったけど、ご家族で行かれたんですかと聞かれて。『うん、近所の子たちを連れて』と言っておいた。うちは娘だから、もし男の子が映っているのを見られていたらまずいと思って。地上波のテレビではないし、妻と娘は野球に興味がないから見ていないと思いますが、今後も野球観戦には行く予定があるので気をつけないと……」
どこで誰が見ているかわからない。すでに舞耶さんの自宅近辺にある飲食店などでは、4人がすっかり家族として認知されている。万が一、それを茉利奈さんの知り合いなどに見られたら大変なことになるだろう。
「つい先日、妻を紹介してくれた妹から『おにいちゃん、なんかヘンなことしてないよね』とLINEがきたんです。ヘンなことって何だよと返したら、『友人が最近、おいしい店見つけたって言って送ってくれた写真に、おにいちゃんみたいな人が写ってるんだ』と。写真を見せてもらったら、確かに僕。舞耶とふたりでデートしたとき行った店なんです。ぼやけているから否定もできたんだけど、『仕事先の人と流れで食事しただけだよ』と返信しておきました。食事風景だけで変な疑いをもつなと言うと、『茉利奈さん、おにいちゃんのことちょっと疑ってる気配があるからさ』って。茉利奈は出産時に退職したんですが、今は前の職場でパートとして働いているんです。だから妹ともずっとつきあいがあり、ふっとそう漏らしたらしいんですよ」
疑念が積み重なれば、人は真実を知りたくなる。茉利奈さんに疑われて調べられたら、すべてが明るみに出てしまう。舞耶さんが動じることはないだろうが、茉利奈さんのショックは大きいはずだ。妻を傷つけるつもりはないから、それだけは阻止したい。妹にすべてを打ち明けようかと一瞬、思った。
「でもやっぱり言った瞬間、公になってしまうと口をつぐみました。こうやって、いろいろなところから情報が漏れる時代だし、どうしたら秘密を守れるのか、今は自信がなくなってきました」
バレるのは時間の問題かもしれないという危機感がある。それなのに自分だけは秘密を守りきれるのではないかと楽観している自分に気づく。「常識から外れた」行動をとっているのはわかっているが、だからといって誰かに迷惑をかけているわけでもないと開き直る気持ちもある。
「悩み始めると底なし沼に落ちますね。僕はどちらの女性とも別れたくないし、子どもたちの成長を見守っていきたいだけなんです……」
こういう話を聞くと、一夫一婦の結婚制度には限界があるのかもしれないと感じる。一妻多夫、一夫多妻。あるいは現行の結婚制度ではない関係に惹かれていく人たちは案外、多いのかもしれない。
この生活をいつまで守れるのか。貞則さんは、もう一度気を引き締め直しますと真一文字に口を結んだ。
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珍しい「二重家庭」を維持してきた貞則さん。そもそも彼が育った家庭が、なかなか複雑なものだった……【前編】でその様子が紹介されている。
亀山早苗(かめやま・さなえ)フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。
デイリー新潮編集部

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