同居する交際相手男性(以後、Aさん)の乳首や指を切断したなどとして計3件の傷害事件に問われている佐藤紗希被告(23、2025年4月の逮捕当時)。
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これまでNEWSポストセブン取材班は、公判を通じてAさんが感じた事件時の恐怖の状況、佐藤被告とAさんの歪んでいるとも感じられる関係性を明らかにしてきた(詳しくは過去記事参照)。
そのような中、3月19日に第5回公判が大阪地方裁判所で開かれた。この日は佐藤被告の養父が出廷し、これまで明かされてこなかった佐藤被告の成育環境などが明らかになった。それら話を聞く中で、佐藤被告はこれまで公判で見せることになった涙を流すことになる。ライターの普通氏がレポートする。
前回裁判と同様、もこもことした素材でフードにパンダの耳がついたパジャマのような姿で入廷した佐藤被告。これまでの公判では、自席にてメモを手にすることもあったが、この日はハンドタオルが握られていた。
これまで否認していたものの、前回公判で起訴内容を認めた佐藤被告。佐藤被告サイドは、被告人の刑を軽くする「情状酌量」を目指すことになる。弁護人から請求された情状証人は養父であった。証人が証言台に立ち、宣誓をする姿を見るなり佐藤被告は目頭に当てたタオルをしばらく離すことはできなかった。
証人は、佐藤被告が2歳のときから同居をしていた。同居する実母は精神的に不安定であり、気分次第で被告に暴力を振るっていたという。
拳で殴る、ゴミ箱を投げられ頭から出血させるほか、佐藤被告が「死にたい」と言えば「死ね」と包丁を差し出すなど、どことなく本件に通ずるものを感じる。
証人である養父は佐藤被告が小学2年生のときから7年ほど単身赴任に出ていて、顔を合わすのは週末のみだった。佐藤被告も母からの被害を申告できなかったこともあり、証人が気付いたときには精神が不安定になっていたという。
リストカット、薬物過剰摂取などを行い、心療内科への通院、後には入院もさせることとなり、境界性パーソナリティー障害と診断された。
その後は、成人していたこともあり、佐藤被告が家を出た以降は過剰な干渉はしなかった。しかし障害の特性を鑑み、今後は同居して必要な治療を受けさせながら見守るという。その家には佐藤被告の実母は住んでいない。
佐藤被告に対しても質問がなされた。弁護人から、証人の証言を聞いている際の心境を聞かれると「申し訳ない気持ちでいっぱい」と言葉を震わせながら答えた。
逮捕され身柄拘束されてすでに1年以上が経っている。当初は、「Aがいいと言ったのに」と逮捕に納得できない気があったというが、「嫌だったけど、好かれたかったからいいと言ったのかな」と考えを変え、各種行為に対して謝罪の姿勢を示した。
Aさんとは300万円の支払いと、今後いっさい接触しないことで示談が締結されている。Aさんからは「執行猶予判決を求める」との意向も含まれており、すでに支払いも完了している。そんな示談締結について「逆の立場なら絶対受けないから、受けてくれてありがたい」などとも表現したのは、そこまでの行為をしたと自認しているのか、ふと気が緩んで言葉が漏れたのかはわからなかった。
弁護人「仮にAさんが『いいよ』と言っても、暴力を振るうことに抵抗はなかったんですか」佐藤被告「なかったです」弁護人「それはなぜなのでしょう」佐藤被告「1つは風俗店で働いている中で、暴力を(客から)求められることがたくさんあって、Aさん以外にも喜ぶ人を見ていたんで、感覚が麻痺していました。あと、幼少期から日常的に母から虐待を受けていて、あまり抵抗がありませんでした」
その他、診断された境界性パーソナリティー障害の中でも「感情の起伏が激しい」、「人間関係において依存と拒絶を繰り返す」といった特性は自身も意識しており、Aさんとの関係性においてもあったと認めた。
「前回の被告人質問まで、『Aさんが自傷した』などと嘘をつかれていて、Aさんはどんな気だったと思いますか?」
検察官からの質問は冒頭から厳しい口調であった。声を震わせながら「腹が立ったと思う」と答える佐藤被告。
検察官「腹が立っていたAさんが示談に応じてくれたのはどうしてだと思いますか?」佐藤被告「……(少し間を置き)お金で解決したがってるとは聞いたことが」
検察官「お金がほしかったから、示談に応じたと言うんですか」佐藤被告「100%そうとは言えませんが……」
全体としては反省の言葉を述べつつも、何か主張したい点は残っている感じがした。
検察官は300万円で示談が成立し、Aさんから執行猶予を求める言葉を得ているが、指と乳首を欠損している中でその言葉がAさんの真意だと思うかを聞いた。佐藤被告は「わからない」と答える。一連の公判を傍聴しているが、あまりに歪な関係性の二人の真意は、佐藤被告同様「わからない」と思う気持ちにもなる。
検察官「あなたは拘置所から、Aさんの母親に向けて『この事件はAさんの自傷なんです』と嘘の手紙をあろうことか裁判期間中に送ってますね」佐藤被告「はい」
検察官「事件以降の対応も非常に悪いですよね」佐藤被告「Aさんのお母さんとはすごく仲良くさせてもらってたので、誤解されたくなくて……」
検察官「誤解じゃなくて、あなたがしたことですよね。詳細に嘘の内容を書いてますよね!」
佐藤被告は何も答えることができなかった。
いまだ心情の深い部分では明らかになっていない箇所があるとも感じるが、一連の証拠調べを終え、4月の公判で検察官の求刑、佐藤被告の最終陳述などを予定している。
世間を脅かしたこの猟奇的な犯行は、法的にどのような評価がなされるのか注目されるところである。