移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
今回は、満員電車という逃げ場のない空間で、理不尽な出来事に直面した2人のエピソードを紹介する。
◆身動きできない電車内で迫ってくる“肘”
高橋里奈さん(仮名・20代)は、帰宅ラッシュの満員電車に乗っていた。
「本当にギュウギュウ詰めで、息をするのもやっとでした」
それでもなんとか耐えていたが、目の前に立つ男性の動きが気になり始めたという。ほとんどスペースがないにもかかわらず、スマートフォンを操作し、カバンを探り、ゴソゴソと落ち着きなく動き続けていた。
「満員電車ではよくあることだと思って、我慢していました」
しかし、その男性が突然ポケットに手を入れたとき、事態は変わった。高橋さんは背が低い。満員電車で“前の人の肘が顔の高さにくる恐怖”は、想像以上だという。
「避ける余裕もありませんでした」
次の瞬間、男性の肘が勢いよく頬骨に直撃したのだ。
ゴツン――。
「鈍い痛みが走りました。でも、声も出ませんでした」
男性は後ろにぶつかったことには気づいていた様子だったが、顔面に当たっているとは思っていなかったのか、振り向くこともなく、到着した駅でそのまま降りたそうだ。
「満員電車でいちいち謝る人は少ないのも分かっています。でも、せめて軽く会釈するくらいはできるのではないでしょうか」
怒りと痛みを抱えたまま、電車に乗り続けた高橋さん。翌日、頬にはくっきりと“アザ”が残っていたという。
「満員電車だから仕方ない……で済ませていいのか。今でもモヤモヤします」