都内に、ビデオテープをもう一度見られるようにするダビング専門店があります。「家のリフォームをしたらお宝がごっそり出てきて…」。店には客が続々と訪れます。放置すると再生できなくなる可能性もあるテープ。その中には大切な思い出が詰まっていました。■見かけなくなった様々なテープに対応東京・台東区のビルに入る「ダビングコピー革命」。訪れた客が「VHSのデータ化をお願いします」「VHSが113本と、8ミリビデオ28本」などと依頼します。

VHSをはじめとしたビデオテープをデータ化し、DVDなどにダビングする専門店です。ベータ、VHS-C、miniDV、8ミリビデオなど、今では見かけなくなった様々なビデオテープに対応しています。■荷物を整理して出てきた“お宝”千葉県から来た60代の夫婦は、「子どもが小さい頃の8ミリビデオをDVDにしてもらうために来ました。小学5年生の運動会とか、赤ちゃんの7か月とか1歳とか…」と言います。娘の成長を記録したビデオテープ26本を持ち込みました。娘のかなこさん(31)が3月に結婚式を挙げるのを前に荷物を整理していたところ、出てきたといいます。ダビングしたDVDをかなこさんと一緒に見るということで、自宅にお邪魔しました。かなこさんが見るのは初めてです。画面に映った自分を見て、かなこさんは「映像が古いんだけど…」と苦笑い。撮影されたのは1994年、生後1か月です。祖母に抱かれ、泣いています。かなこさん「これは何の記念撮影なの?」母親「お宮参りやん。生まれて初めての。あんまり泣けへんかったのに、こういう時は泣いとった」かなこさん「(ガラガラの)音でごまかそうとしてる」■娘は「一生見なかったかも」5歳の頃の映像には、当時大好きだった歌を歌う姿が。「モーニング娘。もWow Wow Wow Wow」。父親は思わず「すごいやないの」と目を細めます。母親「(将来)何になりたかった?」かなこさん「何になりたかったんだろう。モー娘。になりたかったんだろうな」現在は会社員のかなこさん。両親が小さな頃から録りためてくれていた映像を見て、「機会がないと、一生見なかったかもしれない。見られてよかったです」と話しました。母親は「昔かわいかったなと、もう一度確認できてよかったです」と笑います。■依頼が続々…店長に聞く背景店にはこうしたダビング依頼が、1日に約800本も舞い込みます。その背景には何があるのでしょうか。丸山裕二店長は「ビデオテープの劣化。出始めてから30~40年たつので、そろそろ見られなくなるものが出てきます」と説明します。家庭用のビデオテープなら、その長さにかかわらず、1本990円でダビングしています。■仲間と盛り上がった思い出の旅行別の日には、ビデオデッキが壊れてしまったからとダビングを依頼する人もいました。50代の主婦は「昔アラスカに行った時の、30年ぐらい前なんですけど」と話します。許可を得て店で特別に見せてもらいました。映っていたのは、この主婦が20代の頃、1997年に友人と行ったアラスカ旅行の映像でした。犬ぞり体験で「はえー! 気持ちいいー!」と声を上げ、「きょうなんと、オーロラが見られました」と話す一コマもありました。しかし、肝心のオーロラの映像については「たぶん映んない。家庭用ビデオじゃ映らない」と主婦は言います。ビデオカメラではオーロラが撮れなかったため、主婦は写真で残していました。「こういうのって一生に1回くらいしか行かない」。この主婦は1週間後、当時の仲間と集まり、アラスカ旅行の話で盛り上がったそうです。■テープを無料で修理してダビング寿命を迎えつつあるのはビデオテープだけではありません。50代の会社員女性が持ち込んだのは、音楽などを録音するカセットテープでした。「(テープが)切れちゃったのを直してもらいたくて」この店ではテープが切れていた場合、無料で修理し、ダビングしてくれます。テープは女性のお母さんが大切にしているものということで、CDにダビングを終えた後、自宅にお邪魔しました。「正(ただし)の声だ」とお母さん。歌うことが好きだったお母さんの弟である正さんの歌声が収められていました。故郷の宮城県の民謡「さんさ時雨」です。■切れるほど毎日のように聴いたテープ「たった一人の弟なんでね。特に聴いていました、亡くなってからは」とお母さん。正さんは去年、がんと診断されてからわずか5か月後に他界しました。弟をしのんで、テープが切れるほど毎日のように聴いていたといいます。「いや本当に助かりました。弟が生き返ったみたいで、うれしいです」。これでまた思う存分、正さんの歌を聴ける…。お母さんはそう喜んでいました。(3月4日『news every.』より)
都内に、ビデオテープをもう一度見られるようにするダビング専門店があります。「家のリフォームをしたらお宝がごっそり出てきて…」。店には客が続々と訪れます。放置すると再生できなくなる可能性もあるテープ。その中には大切な思い出が詰まっていました。
東京・台東区のビルに入る「ダビングコピー革命」。訪れた客が「VHSのデータ化をお願いします」「VHSが113本と、8ミリビデオ28本」などと依頼します。
VHSをはじめとしたビデオテープをデータ化し、DVDなどにダビングする専門店です。ベータ、VHS-C、miniDV、8ミリビデオなど、今では見かけなくなった様々なビデオテープに対応しています。
千葉県から来た60代の夫婦は、「子どもが小さい頃の8ミリビデオをDVDにしてもらうために来ました。小学5年生の運動会とか、赤ちゃんの7か月とか1歳とか…」と言います。娘の成長を記録したビデオテープ26本を持ち込みました。
娘のかなこさん(31)が3月に結婚式を挙げるのを前に荷物を整理していたところ、出てきたといいます。ダビングしたDVDをかなこさんと一緒に見るということで、自宅にお邪魔しました。かなこさんが見るのは初めてです。
画面に映った自分を見て、かなこさんは「映像が古いんだけど…」と苦笑い。撮影されたのは1994年、生後1か月です。祖母に抱かれ、泣いています。
かなこさん「これは何の記念撮影なの?」
母親「お宮参りやん。生まれて初めての。あんまり泣けへんかったのに、こういう時は泣いとった」
かなこさん「(ガラガラの)音でごまかそうとしてる」
5歳の頃の映像には、当時大好きだった歌を歌う姿が。「モーニング娘。もWow Wow Wow Wow」。父親は思わず「すごいやないの」と目を細めます。
母親「(将来)何になりたかった?」
かなこさん「何になりたかったんだろう。モー娘。になりたかったんだろうな」
現在は会社員のかなこさん。両親が小さな頃から録りためてくれていた映像を見て、「機会がないと、一生見なかったかもしれない。見られてよかったです」と話しました。母親は「昔かわいかったなと、もう一度確認できてよかったです」と笑います。
店にはこうしたダビング依頼が、1日に約800本も舞い込みます。その背景には何があるのでしょうか。丸山裕二店長は「ビデオテープの劣化。出始めてから30~40年たつので、そろそろ見られなくなるものが出てきます」と説明します。
家庭用のビデオテープなら、その長さにかかわらず、1本990円でダビングしています。
別の日には、ビデオデッキが壊れてしまったからとダビングを依頼する人もいました。50代の主婦は「昔アラスカに行った時の、30年ぐらい前なんですけど」と話します。
許可を得て店で特別に見せてもらいました。映っていたのは、この主婦が20代の頃、1997年に友人と行ったアラスカ旅行の映像でした。犬ぞり体験で「はえー! 気持ちいいー!」と声を上げ、「きょうなんと、オーロラが見られました」と話す一コマもありました。
しかし、肝心のオーロラの映像については「たぶん映んない。家庭用ビデオじゃ映らない」と主婦は言います。ビデオカメラではオーロラが撮れなかったため、主婦は写真で残していました。
「こういうのって一生に1回くらいしか行かない」。この主婦は1週間後、当時の仲間と集まり、アラスカ旅行の話で盛り上がったそうです。
寿命を迎えつつあるのはビデオテープだけではありません。50代の会社員女性が持ち込んだのは、音楽などを録音するカセットテープでした。「(テープが)切れちゃったのを直してもらいたくて」
この店ではテープが切れていた場合、無料で修理し、ダビングしてくれます。テープは女性のお母さんが大切にしているものということで、CDにダビングを終えた後、自宅にお邪魔しました。
「正(ただし)の声だ」とお母さん。歌うことが好きだったお母さんの弟である正さんの歌声が収められていました。故郷の宮城県の民謡「さんさ時雨」です。
「たった一人の弟なんでね。特に聴いていました、亡くなってからは」とお母さん。正さんは去年、がんと診断されてからわずか5か月後に他界しました。弟をしのんで、テープが切れるほど毎日のように聴いていたといいます。
「いや本当に助かりました。弟が生き返ったみたいで、うれしいです」。これでまた思う存分、正さんの歌を聴ける…。お母さんはそう喜んでいました。