〈「結婚したいと思っていた」13歳女児と“性行為”し、実家に連れ去り…教員の卵だった『奨学金大学生』が手を染めた“衝撃犯罪”の全容〉から続く
「真剣に交際していて、結婚したいと思っていた」
【画像】保育士や小学校教師を養成する学部に通う大学生(当時)が起こした衝撃事件とは?
当時13歳だった女児(以下、A)に対して、未成年者誘拐・不同意性交等・児童ポルノ防止法違反の罪に問われた20代男性被告人の裁判が、2025年9月から行われ、同年12月に判決が言い渡された。
被告人は事件当時、奨学金を受け取りながら保育士や小学校教師を養成する学部に通う大学生であった。そのような立場で「タブー」ともいえる犯罪に手を染めただけでなく、逮捕後には一時的に保釈となった際、禁止事項だったAとの接触も行うほどの強い執着を見せていた。裁判を傍聴したライター・普通氏が、事件の全容や法廷での様子をレポートする。
13歳女児に異常な執着を見せた、“教員の卵”による事件の全貌とは?(画像はイメージ) graphica/イメージマート
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被告人は2024年の夏ごろ、匿名のチャットアプリを介して当時13歳だったAと知り合った。アプリは18歳以上の年齢制限があったものの、その後に交際関係を結ぶようになってから、Aの実年齢は把握していた。
Aがアプリを使うようになったきっかけは、家族との不和だった。被告人にも家族との関係を相談しており、「学校でもうまくいっていない」「両親から学校に行くことを促されるのがプレッシャーになっている」などと話していたという。
当時、被告人とAはほぼ24時間にわたって通話状態にあり、Aが両親としている会話の様子などを聞ける環境にあった。大学の授業中にもそのやりとりを聞いており、何かあればすぐ抜ける心づもりであったという。
被告人はその状況について、大学の先生や友人に相談したこともあったという。しかし、相談することで迷惑をかけているのではと思い、自身で抱え込むことになったと供述する。具体的に、周囲からどのような助言があり、それを聞いてどう思ったかは明かさなかった。
Aとは何回も対面し、大阪市内のカラオケ店でAの陰部に指を挿入、その様子を撮影し自身のスマートフォンに保存したことを問われている。被告人はAに対して「会ったことは隠しておこう」と伝えていたことも明らかになった。その理由について被告人は「大事にしたくなかった」と供述する。
「自分は奨学金をもらっていたので家族に迷惑をかけたくないし、万一、警察沙汰になって自分がいなくなったら、自分しか頼れないと言っているAはどうなるのかと……」

「Aのため」という主張は崩さないながらも、保身的な考えも徐々に見えてきた被告人。その後、Aの両親はもちろん、自身の両親をも事件に巻き込んでいく。
あるとき、Aから「もう限界」「自殺したい」などと泣きつかれ、緊急性を感じたという被告人。Aのもとに駆け付け、他府県にあり9人の家族で暮らす自らの実家に連れ去った。
連れ去りに関して被告人は「連れて行こうという気はなく、命を優先したいと思った結果で。会えば落ち着いてくれると思った」など、あくまでAのことを思ってやってしまったというトーンで供述を続ける。行為の撮影については「思い出の一環」とした。
弁護人から「仮に誘拐行為がAさんのことを思ってしたこととしても、不同意性交や児童ポルノは本人のためってことになりませんよね?」と問われると、「そうですね……」と力なく答えるのみだった。保釈時、警察の目の前でスマートフォン内の児童ポルノに該当するデータは削除したが、クラウド上に残るデータについては法廷で強く指摘されるまで、削除の意思を示さなかった。
その他、被告人はたびたび反省の言葉を述べるものの、その様子から何か思うところがあるのは傍聴席にいても明らかであった。実際、被告人は逮捕後にAとの「再会」を無理やりに果たしている。
被告人は、9月の初公判から12月の判決まで身柄拘束が続いていたが、初公判を前に一度は保釈されている。驚くことに保釈の当日、定められた禁止事項であるAとの連絡を行い、対面している。それにより、再度身柄拘束をされることとなった。
被告人によると、保釈のタイミングでスマートフォンを立ち上げたときにAから「帰ってきたの?」とメッセージがあったことに気付いた。保釈時に禁止されていたため、返事をしてはいけないという考えはあったものの、Aから「どうしても助けて欲しい」「あなたしか頼れない」「警察にも威圧された」などのメッセージを受けたことで、再び接点を持ってしまった。保釈金の300万円とAの命を天秤にかけたときに「ちょっとでもAが頑張れるように」と考えたと振り返る。
対面した際、Aは事件の影響なのかスマートフォンを持っておらず「学校でコミュニケーションが取れない」「もっと学校へ行けなくなる」と言われ、使っていない被告人のスマートフォンを渡した。
被告人の母親は、保釈時に被告人がAと会っていることに気が付かなかったという。「監督が甘かった」と法廷で反省を述べ、今後はGPSで行動監視するなど、より注意していくと証言した。また、早期の示談金支払いのため、それまでしていなかった仕事を始めた。これは被告人の行動により、保釈金300万円が没収されたことにも要因がある。そして、被告人の監視を強めるため、その職場に被告人を就かせる準備も整えているという。
被害者側の弁護士から「あなたは現在、Aさんと交際している認識はありますか?」と問われた際にも「はい」と答えている。その理由については「お互い話をしていないので、関係性がわからないので」と話した。
多数の罪に問われつつ、なおもAとの接点を希望しているように見える被告人の姿勢に、強い口調の質問が続き、最後に裁判長からも“ダメ押し”があった。
裁判長「拘置所に長期間いる中で、性犯罪の被害者の気持ちを、本で勉強したりなどしましたか?」被告人「本はなかったので、自分の中で考えるばかりです」裁判長「もっと勉強した方がいいですよ。被害者にどれだけ目に見えない傷を与えたか、将来どう悪い影響となるか調べたら、恐くなると思います。Aさんとあなたのためにも、接触はしない方がいいと思います」

Aの父親による意見陳述では、事件発覚後に家庭全体の雰囲気が暗くなったこと、まだ小さいAの弟もそれを感じるほどだったことなどが明かされた。また、被告人から謝罪もなく、反省の色が見えずに「あくまでAのためにやったことだ」と聞こえる数々の主張に「思い上がり」、「反省は微塵もしていない」と強い怒りを露わにし、「最大の厳罰でもって処断していただくことを強く望む」と強い言葉で締めた。
検察官は、被告人が「自殺防止」と主張するものの、周囲に相談することも十分可能であった中で行われた、Aの人格や性的羞恥心を無視し「性欲のはけ口」としか捉えていない犯行と被告人の態様を強く非難。反省が不十分で、母親の実効的な監督が見込めず、再犯の可能性は極めて大きいとして、懲役5年を求刑した。
弁護人は、誘拐に関して「Aさんが自殺をほのめかしたことにより、落ち着かせる思いで起こしたもの」で特別悪質なものでなく、被告人が深く反省している点、まだ20代と若年である点などから執行猶予が相当であると弁論した。
被告人は最終陳述において「今回のことで、たくさんの人に迷惑かけたなって、さっきの話を聞いて伝わってきて、申し訳ない気でいっぱいです」と述べた。
最終的に言い渡された判決は懲役3年、保護観察付執行猶予5年であった。
犯行については、自己の性的欲求のまま年少の未熟さにつけ込んだ、Aへの思慮分別を欠く行為として、動機や経緯に汲む点はないと厳しく非難。被告人が主張する、Aを落ち着かせる目的という点も「短絡的」などと評価したものの、連れ去った先が実家であり、性的な対象として支配下に置く目的とまではいえないとも評価した。
執行猶予を付した理由として、裁判を通じて事件の悪質性を認識しつつあり、事件当時20歳の若年であった点、家族の監督に期待できるとした点などを述べた。一方で事案の概要として、公的機関の監視が必要だとし、保護観察所には「Aさんと一切接触させない」、「性犯罪再犯防止プログラムを受講させる」の要望を付することなどの説明もなされた。
スマホがこれほどまでに普及した現代において、子どもを守り切るには法律や制度だけでは限度がある。今回のような事件も、決して特殊なケースではなく、どんな家庭でも起こる恐れがあると言えるだろう。子どもへの性犯罪は、より凶悪化し、身近なものとなってしまっている。
(普通)