「お前は死ぬんだよ。畑に埋めて殺すんだよ」――。深夜のステーションワゴンで、結束バンドとガムテープによって自由を奪われた18歳の少女に、かつての親友は冷酷な宣告を下した。千葉県船橋市で発生した「18歳少女生き埋め殺人事件」。
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犯行に及んだのは、かつて寝食を共にした同級生の女と、その遊び仲間たち。いったい何があったのか? なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/続きを読む)
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事件の被害者となるアケミ(当時18)と加害者のユカリ(同18)は高校の同級生だった。アケミは高校中退後、しつけの厳しい両親に嫌気がさし、たびたび家出。それをかくまっていたのがユカリだった。
ユカリは地域のボス格の少女で、困っている友人を見ると放っておけない性格。だが、アケミがホスト遊びを覚え、風俗店で働き始めた頃から仲が悪くなった。
「ホストなんかやめときなよ。貢がされるだけだよ」
「そんなの私の勝手じゃない。放っといてよ」
アケミはユカリの忠告を聞かず、お気に入りのホストと同棲するからと言ってユカリの家を出て行った。
だが、そのホストとはわずか1カ月で破局、ユカリは「戻ってこい!」と言ったものの、アケミはまた別のホストが好きになり、友人宅やマンガ喫茶を転々とする生活を始めた。
アケミのホスト狂いは直らず、お気に入りのホストの“昇格祭”を祝うために100万円かけてシャンパンタワーを計画した。そのためには稼ぎの少ない今の店よりもソープで働くべきだと思い立ち、ユカリとは別の同級生に「中学時代の卒業アルバムを貸して欲しい」と頼んだ。
「何でそれが要るの?」
「風俗のオーナーが確実に18歳以上だって証明できるものがあれば、採用してもいいって言ってるのよ。3年前に中学を卒業していれば確実でしょう。私、バカ親がいる実家に年齢確認できるものを置いてきちゃったのよ」
友人は呆れ果てたが、アケミが「必ず1週間で返すから」と言うので貸すことにした。しかし、それっきり連絡が取れなくなり、困り果ててボス格のユカリに相談した。
「私もアケミにはブチ切れてんのよ。貸した服も化粧品も返さないし。今度連絡あったら、マジ切れるから。警察に通報されないように中途半端なことはせず、徹底的にやってやるから!」
そのことで相談したのがクラブで知り合ったセフレの桜井悠輔(同21)だった。
「元友人なんだけど、ぶっ殺したい女がいるのよ。そいつ、ソープで働いているんだけど、何カ月も前からホストクラブでシャンパンタワーを計画してるらしいから、その日に、店に入る前にさらっちゃえば100万円ばかり取れるかもよ」
「そいつはすげぇな……」
桜井は子分のような遊び仲間の小野洋司(同21)に協力を持ち掛けた。
「風俗をおごってやるから、手伝ってくれないか?」
「何を?」
「女をさらって埋めるだけだよ。そいつともヤリたかったらヤッていいから」
「ホントにか?」
小野は参加を表明。いざとなったら殺すことも承知していた。「殺してから埋めるんじゃ重いから、先に穴を掘っといた方がいいんじゃないか?」などと提案もしていた。
2人は桜井の祖父が所有する畑の様子を見に行き、2メートルぐらいの穴を掘った。ホームセンターでガムテープや結束バンド、靴下などを購入し、被害者を拉致するためのステーションワゴンをレンタカーで借りた。
事件当日、桜井と小野は未明にユカリと合流。ホストクラブの前で張り込みをしたが、一向にアケミは現れない。ユカリはホストクラブの従業員に「アケミが来てるでしょ?」と掛け合ったが、「客のことは詮索しないのがルール」と門前払いされた。
そんなとき、ユカリの遊び仲間であるタクヤ(16)から電話がかかってきた。
「今、取り込み中なのよ。これからある女をさらって畑に埋めるとこなの」
「面白そうッスね。オレ、そういうの大好きなんですよ!」
こうしてタクヤも犯行に加わることになり、車で迎えに行った。4人は2台の車に分かれ、アケミの行方を探すことにした。
アケミは、やはり早くから入店し、夜通し遊んでいた。ユカリたちが店の前で張っているのが分かっていたので、帰りは裏口から逃げるように脱出した。
一緒に飲んでいた友人と近くのホテルに宿泊し、その日の夜、店に出勤しようと外へ出たところを、偶然ユカリとタクヤが乗った車に見つかってしまった。ユカリは鬼のような形相でアケミに詰め寄ってきた。
「アンタ、何をバックレてんのよ!」
アケミはとりあえず謝ったが、当然聞く耳を持たない。
「私の先輩も話を聞きたいって言ってる。とにかく一緒に来なよ!」
そこへ桜井と小野もやってきた。4人はアケミをステーションワゴンに乗せて走り去った。1人残された友人の女性は、それがアケミとの今生の別れになるとは夢にも思わなかった。
「アンタさ、友達とシャンパンタワーのどっちが大切だと思ってるの?」
「シャンパンタワー……」
「ほーう、それを聞いて安心したわ……」

ユカリの顔が引きつり、邪悪な表情を浮かべた。ユカリはアケミの携帯電話を取り上げ、電池を抜いた。小野やタクヤと協力して手首と足首を結束バンドで縛り上げた。さらに口の中に靴下を詰め込み、顔の周囲をガムテープでグルグル巻きにした。
「今からお前がどうなるか教えてやるよ。お前は死ぬんだよ。畑に埋めて殺すんだよ」
〈《懲役は…》「今のオレ、最強だよ。容赦なく殺せるもん」18歳少女を生き埋めにした男たちのその後、法廷で父親は怒りの声を震わせて「極刑以外望みません」(平成27年の凶悪事件)〉へ続く
(諸岡 宏樹)