栃木県内の県立高校とみられるトイレで、男子生徒が別の男子生徒に殴る蹴るの暴行を加える様子を撮影した動画がネット上で拡散している問題をめぐって、この県立高校を所管していない真岡市(もおかし)教育委員会にも、抗議や問い合わせの電話が殺到している。
中には、1人で1時間以上も話し続ける人もいるという。市の関係者は「『県教委に問い合わせてほしい』と伝えると、暴言を吐かれることもあるため、一定の話を聞くようにしている」と明かす。
一般に、都道府県立の学校は各都道府県が、市町村立の学校は各市町村が所管している。今回問題となっているのは、栃木県立高校であり、所管は栃木県教育委員会だ。学校が所在する真岡市の教育委員会には、この県立高校を指導したり、調査したりする権限はない。
それにもかかわらず、暴行動画がネット上に拡散した影響で、間違って真岡市教委に抗議する人が続出し、業務に支障が生じている。
問題の動画は1月4日にSNSに投稿され、翌5日にかけて急速に拡散した。真岡市教委によると、1月5日だけで電話が約50件、メールが10数件の抗議や問い合わせが寄せられた。1月6日も朝から電話がかかってきているという。
「県教委にお問い合わせください」「こちらは所管していません」と丁寧に説明しても、逆に「人間じゃない」「そういうことじゃない」などと怒りをあらわにする人もおり、中には1時間以上電話を切らない人もいるという。
市の関係者は「大変な状況で、業務が滞るような事態になっている」と吐露する。
市教委には、動画で暴行を受けていた生徒を心配する声も寄せられているという。関係者は「真岡市教委が所管ではないことをお伝えしていますが、それでは収まらない方もいらっしゃるので、一定の話は聞くようにしています」と話す。
一方、事実関係がまだ明らかになっていないにもかかわらず、ネット上では加害者とされる生徒の実名を挙げたり、根拠のない情報を書き込んだりする投稿が拡散しており、二次的な被害が生まれている。
過去の類似事案では、投稿者が名誉毀損罪で罰金刑を受けたり、損害賠償を請求されたりしたケースも実際にあった。
市の関係者は「何かを言うと、逆に『市教委は逃げるのか』などとまた始まりそうな気がするので、もう本当に何も言えない。収まってくれるのを待つのみだ」と不安をにじませる。