「頑張れー」の温かい声援と万雷の拍手。とてもあのスキャンダルを起こした人とは思えない華やかな出陣式だった。1月5日、前橋市長選が公示日を迎え、小川晶前前橋市長が市内の選挙事務所で第一声を上げた。大逆風が吹いていると思いきや、なぜか優勢が伝えられている小川氏。事実上の一騎打ちとなる自民党が支援する候補相手に「ダブルスコアで勝つ」とまで言われているのだ。
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【写真を見る】まるでアイドル。男性支持者たちに「写真撮影」や「サイン」を求められる小川晶前前橋市長
午前8時半過ぎ、小川氏は白のダウンジャケット姿で事務所に現れた。すぐさま支援者が駆け寄ってきて輪ができる。小川氏は満面の笑みで、一人ひとりと握手を交わしていた。“じじ殺し”と言われるだけあって、年配男性が圧倒的に多く、写真撮影を求められたりまるでアイドルのような人気ぶりである。
出陣式に集まったのはおよそ30人のマスコミと100人近い支援者たち。前橋市だけでなく高崎市選出も含む、十数人の県議、市議も応援に駆けつけた。
まず挨拶したのは、選対委員長を務める釘島伸博・釘島総合法律事務所代表弁護士。
「いよいよ決戦の日が来ました。あと2年かかると思ったけれど、前倒しになって私は良かったと思っている。今回は前橋市政のために、どういう政治を市民が選択をするかという大事な選挙です。小川晶が1年9カ月、市民のためにいろいろやってきたことを、さらにもう2年間続けるべきなのか、それとも2年前の旧態依然とした既得権益のための政治に戻したいのかという選択です!」
大歓声が上がった後、県議・市議が紹介され、選挙だるまの目入れ。そして、万雷の拍手の中、襷をかけた小川氏がいよいよマイクを握った。
「今日この日を迎えられたのは、お集まりいただいている皆様のおかげだと本当に感謝申し上げます。一番大変な時に声をかけていただいて、支えていただいて、そして、このような状況でも私に期待をしてくれて、そのおかげでこうして襷をかけて市長選挙に再度挑戦することができ…」
すでに小川氏の目は潤んでいた。しかし、堪えながら謝罪の弁を重ねた。
「私の行動により、市民の皆様にご心配とご迷惑をおかけしてしまったこと、出直し選挙をやらなくてはいけない状況になってしまったことについて、改めてお詫びを申し上げます。本当にすみませんでした」
「前橋が変わり、いい流れが出来始めたところで、私がその流れを止めてしまいました。お約束をした公約が道半ばになってしまって本当に申し訳ないと思っています」
「市長を辞任してから1カ月ありました。市内各地を回って、多くの市民の皆さんと対話を重ねてきました。本当に期待していたのに、何やっているんだ、がっかりしたよ、そんな声もたくさんいただきました…」
話を続けるうちに時折、込み上げるものがあるのか目が潤んでくる。すぐ泣くことから「泣きのアキラ」の異名を持つ小川氏。来るか、来るかと見守っていたが、今回は“伝家の宝刀”は最後まで封印した。
そして約10分間の演説を終えると、支援者に拍手で見送られ選挙カーに乗って街頭演説へと向かっていった。支援者よりマスコミの方が多く集まった田久保眞紀前静岡県伊東市長の第一声とは雲泥の差の盛り上がりである。
実際、下馬評では小川氏優勢が伝えられている。
「4人が立候補する中、最大のライバルは山本一太群馬県知事が擁立した弁護士の丸山彬氏。ただ丸山氏は政治未経験で知名度もない。あのような醜聞を起こしたとはいえ、どうしても小川氏の華やかさが勝ってしまう。また、小川氏は1年9カ月の在職中、給食費の無償化、障害者支援、農業政策、子育て支援などをトップダウンで推進。『仕事はきちんとやる』と評価する声は大きい」(地元記者)
そして、もう一つ小川氏の強みとして言われているのが巧みな「人心掌握力」だ。
「泣いたり、笑ったりと女優さんみたいなところがあって、男性支援者を中心にコロッとやられてしまう。ダブルスコア差で勝つという予測も飛び交っています」(同)
釘島選対委員長は田久保氏との違いを「市政をちゃんとやってきたこと」と強調する。
「田久保さんは市長に就任して1カ月くらいでスキャンダルになったでしょう。一方、小川は1年9カ月間、実績を重ねてきました。十数年も議論が続けられてきた給食費の無償化も彼女はすぐに実現させた。また、小川は非を認め、田久保氏のように議会を解散せず、自ら辞職する道を選んだ。議会で辞職勧告が出て辞めざるを得なくなったのは、単に議会の4分の3を自民系が占めていただけの話。理由はなんだって良かった。プライベートな話で市政をまた古い時代に戻したいのか、というのが市民の声です」
とはいえ小川氏が田久保氏と被るのは、肝心なところでまだ「ウソ」をつき続けているのではないかという疑念である。部下の男性職員と10回以上もホテルに籠りながら本当に男女の関係はなかったのか。前橋市民がその疑問を差し置いて、「小川劇場」の継続を望むのか注目される。
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デイリー新潮編集部