これも、年々進む暴力団衰退の顕(あらわ)れなのか。6代目山口組に次ぐ規模の指定暴力団・住吉会の会長が、こともあろうに先代会長宅から現金5000万円を盗んだ疑いがもたれている。
【写真を見る】港区にある住吉会の本部
千葉県警が12月6日に逮捕したのは住吉会会長の小川修容疑者(72)と傘下組織の総長ら6人で、
「窃盗や邸宅侵入、証人威迫などの容疑です。関功(せきいさお)前会長が病死した2022年5月31日の夜から翌朝にかけて、7人は共謀して千葉県柏市にある前会長宅の金庫から5000万円を盗み出したとされています」
と、社会部デスク。
「さらには23年10月、被害届を出した前会長の関係者の女性を路上で取り囲み、“小川会長にも言われているから、なにも言わずに受け取ってほしい”と脅した疑いも。県警は、女性に2000万円を渡して被害届を撤回させる目的だったとみています」(同)
これら一連の“遺産強奪”は小川容疑者の指示で6人が動いたとされるが、さる事情通が明かすには、
「“親分が亡くなった当日に窃盗行為。それを2000万円でなかったことにしようとしていたなんて、情けない”と漏らす組関係者がいるのも事実です」
しかも、と続ける。
「小川会長は先代の葬儀で施主を務めていました。先代の葬儀は、6代目山口組組長をはじめ、さまざまな組の最高幹部が弔問に訪れた大事な“義理ごと”。どんな事情があるにせよ、義理ごとの最中や前後には事件を起こさないという業界の不文律は守るべきだった」
現会長らが掟破りをしてまで手を出したのは、いかなる性質の金だったのか。
先のデスクが言う。
「警察の取り締まり強化や若手の暴力団離れで、従来通りのシノギが厳しくなったのは間違いない。ですが住吉会のトップともあろう人物が前会長の遺産に執着したのは、それなりの理由があったようです」
その根拠をたどれば、
「21年1月までさかのぼることになります。前会長を含む当時の住吉会幹部らは、傘下組員によるオレオレ詐欺事件の被害者が起こした民事訴訟で、東京高裁から計1210万円を賠償するよう命じられました」
関前会長の“代表者責任”が認定されるとともに、
「判決が確定しなくても強制執行を申し立てて資産を差し押さえられる“仮執行宣言”も言い渡された。これを受けて前会長は、21年7月に不動産などの資産を関係者へと無償譲渡。死去後の22年9月、差し押さえを免れるために無償で譲渡したとして、警視庁によって強制執行妨害容疑で書類送検されています」(同)
実は、こうした紆余曲折を記した2種類の文書が存在する。その内容の真偽は不明ながら、前会長の資産を譲渡された“親族側”と“反親族側”が作ったとされ、
「親族側は、前会長の資産は生前贈与されたもので住吉会のものではないと主張。“前会長の通夜で密談が行われ、小川会長が金庫番に5000万円を持ってくるよう命じた。任侠道にあるまじき厚顔無恥な行為”と非難しています。なお、この金庫番も逮捕されました」(前出のデスク)
対する反親族側の文書は、
「前会長の愛人が別の男性と同居生活を送り、その家のローン返済のため5000万円にこだわっていると“暴露”。この女性は前会長とは婚姻関係になく遺産相続する立場でないばかりか、“前会長宅を第三者に売却しようと企てていた強制執行妨害の共犯者”と糾弾しています」(同)
5000万円は前会長の個人資産か住吉会の資金か。本をただせば、非合法な手段で得た金なのでは……。
ともあれ、警察は住吉会会長らの逮捕に踏み切った。“暴力団の理屈”などより“刑法上の窃盗”を選択したのである。トップ不在の一大組織の行く末やいかに。
「週刊新潮」2025年12月18日号 掲載