新幹線車内の防犯カメラの映像から客の情報を推定し、サービス向上につなげる検証が始まります。地下鉄でも、終点で車内に人が残っていないか防犯カメラで検知するなど、新たな活用法が広がる車内防犯カメラ。利便性と利用者のプライバシーのバランスとは。■顔を含む全身画像を取得し分析JR東海は、東海道新幹線の車内に設置された防犯カメラの映像から、客の情報を推定できるか検証すると発表しました。実際に東京-新大阪間で、2026年1月10日から16日までの期間、防犯カメラの映像から客の顔を含む全身画像を取得。その画像を委託先に提供し、AIを使って客の年代や性別、利用目的を推定するといいます。画像など取得したデータは、委託先以外の第三者への提供はせず、検証以外には使用しないとしています。

これまで利用客の情報は、車内でアンケートを配布するなどして得ていましたが、別の方法でも取得できないかと、既に設置されている防犯カメラの活用について検証するということです。推定したデータをもとに、例えば子連れ客が多い時間帯の便に子連れ向け車両を設定したり、混雑する時間帯の本数を増やしたりと、よりニーズに合ったサービスが提供できるとJR東海は期待しています。一方で気になるのが、利用客のプライバシーの問題です。JR東海は、今回の検証で使用するのは1号車、6号車、8号車のみで、それ以外の車両を利用すれば、防犯カメラの映像が検証に使用されることはないと説明しています。しかし、当初検証について発表した際には不安の声が寄せられたこともあり、周知期間が必要と判断。実施時期を2か月ほど延期し、ホームページや駅の掲示、案内放送などで周知をはかっています。■車内の防犯カメラとプライバシー 専門家は防犯の目的で設置されたカメラを“防犯以外”で使うことに問題はないのか。東京大学大学院都市工学専攻の樋野公宏准教授は「利用者が理解して乗っていれば問題ない」とした上で、「公共交通機関の場合、嫌なら乗らなければよいというわけにいかない側面もあり、一層の配慮が必要」と指摘します。どんな周知方法が有効かは実施してみないと分からないものの、妥当な方法は、該当の客室の入り口に掲示すること。予約時に車両を選ぶ際、表示するのも有効な手段と話します。今回の検証では、車内での掲示や予約時の周知は行われず、JR東海は、こうした周知方法を検討したかどうかについて回答を差し控えるとしていますが、関係する法令などに照らしても、事前に目的や検証対象などを広く周知しているため問題ないとしています。■広がる車内防犯カメラの活用実は車内の防犯カメラを活用した新たな取り組みは、別の交通機関でもみられます。大阪メトロでは2025年4月から、終点で客が降りた後、車内に残っている客がいないか防犯カメラで検知するシステムを導入しました。このシステムは外部ネットワークに接続しておらず、映像をAIで解析し、居残りを検知すると乗務員室のモニターに表示される仕組みです。また、京急電鉄(横浜市)では、今後、防犯カメラのAI解析機能で車内の混雑度を可視化し、ダイヤ改正などに活用していく方針です。◇◇◇正確な情報を得られる防犯カメラは、防犯のみにとどまらず、便利な暮らしのための重要なツールとして活用が広がる可能性があります。樋野准教授は、公的に設置される街頭の防犯カメラについては、例えば防災、交通量調査、クマ対策などに用途を広げるべきだと考えています。一方で、私たちは「自分の情報がどのように使われているか意識しておくことが大事」で、例えば身近な防犯カメラの映像がどのような目的で使われ、得られた情報が誰に共有されるのかといった情報に注意しておく必要があると、樋野准教授は指摘しています。
新幹線車内の防犯カメラの映像から客の情報を推定し、サービス向上につなげる検証が始まります。地下鉄でも、終点で車内に人が残っていないか防犯カメラで検知するなど、新たな活用法が広がる車内防犯カメラ。利便性と利用者のプライバシーのバランスとは。
JR東海は、東海道新幹線の車内に設置された防犯カメラの映像から、客の情報を推定できるか検証すると発表しました。実際に東京-新大阪間で、2026年1月10日から16日までの期間、防犯カメラの映像から客の顔を含む全身画像を取得。その画像を委託先に提供し、AIを使って客の年代や性別、利用目的を推定するといいます。画像など取得したデータは、委託先以外の第三者への提供はせず、検証以外には使用しないとしています。
これまで利用客の情報は、車内でアンケートを配布するなどして得ていましたが、別の方法でも取得できないかと、既に設置されている防犯カメラの活用について検証するということです。推定したデータをもとに、例えば子連れ客が多い時間帯の便に子連れ向け車両を設定したり、混雑する時間帯の本数を増やしたりと、よりニーズに合ったサービスが提供できるとJR東海は期待しています。
一方で気になるのが、利用客のプライバシーの問題です。JR東海は、今回の検証で使用するのは1号車、6号車、8号車のみで、それ以外の車両を利用すれば、防犯カメラの映像が検証に使用されることはないと説明しています。しかし、当初検証について発表した際には不安の声が寄せられたこともあり、周知期間が必要と判断。実施時期を2か月ほど延期し、ホームページや駅の掲示、案内放送などで周知をはかっています。
防犯の目的で設置されたカメラを“防犯以外”で使うことに問題はないのか。東京大学大学院都市工学専攻の樋野公宏准教授は「利用者が理解して乗っていれば問題ない」とした上で、「公共交通機関の場合、嫌なら乗らなければよいというわけにいかない側面もあり、一層の配慮が必要」と指摘します。
どんな周知方法が有効かは実施してみないと分からないものの、妥当な方法は、該当の客室の入り口に掲示すること。予約時に車両を選ぶ際、表示するのも有効な手段と話します。
今回の検証では、車内での掲示や予約時の周知は行われず、JR東海は、こうした周知方法を検討したかどうかについて回答を差し控えるとしていますが、関係する法令などに照らしても、事前に目的や検証対象などを広く周知しているため問題ないとしています。
実は車内の防犯カメラを活用した新たな取り組みは、別の交通機関でもみられます。大阪メトロでは2025年4月から、終点で客が降りた後、車内に残っている客がいないか防犯カメラで検知するシステムを導入しました。このシステムは外部ネットワークに接続しておらず、映像をAIで解析し、居残りを検知すると乗務員室のモニターに表示される仕組みです。
また、京急電鉄(横浜市)では、今後、防犯カメラのAI解析機能で車内の混雑度を可視化し、ダイヤ改正などに活用していく方針です。
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正確な情報を得られる防犯カメラは、防犯のみにとどまらず、便利な暮らしのための重要なツールとして活用が広がる可能性があります。樋野准教授は、公的に設置される街頭の防犯カメラについては、例えば防災、交通量調査、クマ対策などに用途を広げるべきだと考えています。