これからの時代は貯金だけでは生きていくのは難しいだろう。そのために必要となってくるのが賢い投資だが、いったいどこにいくら、どんなふうに投資すればいいのか…こんな時代だからこそ、若いうちから投資のことを肌で感じておくのは得策だといえる。
【画像】子どもの感覚は侮れない! 著者の息子が初めて買った株

経営者で投資家、そして二児の母でもある池澤摩耶氏の書籍『元外資系投資銀行トレーダーママが伝授 子どもを人生ゲームの勝者にする最強マネー教育』より一部を抜粋・再構成し、10代のころからお金の感覚を身に付けるにはどうしたらいいかを考える。
息子が中学生になったとき、私はこう聞いてみました。「最初に買う株、どれにする?」迷いなく彼が選んだのが、NVIDIA(エヌビディア)というアメリカの半導体メーカーでした。当時の私は「どこかで聞いたことあるような……?」程度で、正直ピンときていませんでした。でも息子にとっては、ゲームをするたびにお世話になっている超身近な会社だったのです。というのも、NVIDIAはゲーマー御用達の高性能グラフィックボードを手がける企業。息子のようにPCゲームに夢中なティーンにとっては、もはや「推し企業」と言っても過言ではない存在でした。
「好きなものから選ぶって、すごくいいな」と思い、私は何も口出しせず、彼の判断を尊重し、未成年証券口座で買ってみました。すると数年後――。世界がAIの時代へ突入し、ChatGPTの登場をきっかけにNVIDIAはAI開発の“心臓”と呼ばれるようになります。結果、株価は過去5年で10倍以上に。2024年には、ついに世界時価総額ランキングでAppleやMicrosoftと並ぶレベルにまで成長しました。NVIDIAのような急成長株はレアですが、韓国コスメの事例を見てもわかるように、子どもたちの感性は侮れないものです。だからこそ、子どもが「これスゴい!」「今すごく流行ってるんだよ」と目を輝かせて話し出したときは、それが株価変動のヒントかもしれないと考えてみてください。親子で「その商品やサービスをつくっている会社ってどこ?」「株価どうなってる?」と調べてみるだけでも、大人では思いつかない発見につながる可能性があります。もし企業名がすぐに出てこなかったり、何を選べばいいかわからなかったりするときは、子どもの日常からヒントを探すのが正解です。たとえば、ゲームが大好きなら任天堂やソニー、スマホやタブレットに強い関心があるならAppleやMicrosoft、スニーカーにこだわりがあるならNIKE、車に目がないならトヨタ、Tesla、といったふうに、普段の「好き」や「使っているもの」に関連する会社を調べてみましょう。ポイントは、「誰かが勧めたから」ではなく、子ども自身が“興味”や“ワクワク”を感じる企業を選ぶこと。好きだからこそ、自分ごととして応援できるし、ニュースにも敏感になれる。そうやって自然と“株の世界”に入っていけるのです。
お気に入りの株を見つけて、日々の値動きをチェックするようになったら、その株価が上がった日、下がった日には、必ず“何が起きたのか”を調べてみてください。「なんで今日は下がったんだろう?」「逆に、なんで急に上がったの?」その“理由探し”こそが、経済を肌で感じるトレーニングになります。というのも、株価というのは気まぐれに動いているわけではないからです。新製品の発表、業績の上方修正、為替の影響、社長の退任、SNSでの炎上……。必ず何かしらの「理由」とセットで動いているんです。ニュースと株価をセットで追うクセをつけると、だんだんと「これは株に影響ありそう」とか「このニュースはそこまで動かないな」といった“読み”が立つようになります。ゲーム感覚でOK。ちょっとしたクセが、未来の金融リテラシーをぐっと底上げしてくれますよ。たとえば、息子が初期に買った株のうちのひとつが「NIKE」でした。ある日そのNIKE株が急落したタイミングがあり、私は息子にこう尋ねました。「今日の株価、かなり下がったけど、なんでだと思う?」すると彼は少し考えて、こんなふうに答えたのです。「たぶん、昨日のニュースのせいだよ。CEOが『これからは1万円台のスニーカーを増やす』って発表したから。投資家たちは“高級路線じゃなくなるの?”って不安になったんじゃないかな。もっとハイエンドを目指してほしかったのかも」そのうえで、彼はこう続けました。「でも僕は、1万円台のほうが買いやすいし、NIKEのクオリティがちゃんと保たれるなら、そのほうがうれしい。僕みたいに思ってる人は他にもいると思うし、きっとまた株価は戻ると思うよ」
そして実際、NIKE株はその後じわじわと回復していきました。“投資家としての視点”と、自分の“消費者としての感覚”の両方を使って未来を読もうとする。その姿勢こそが、まさに「お金のセンス」を育てる土台なんですよね。たとえば15歳の子どもが、自分の口座で買ったApple株の利益で新しいiPadを買う。NVIDIAの株で得た利益で最新のゲームソフトを手に入れ、そこからまた次の投資のヒントを得る――。そんなサイクルが、今どきのおこづかい投資家のリアルなデビュー風景かもしれません。「好きな会社の株を買う→利益をその会社の商品に再投資→また興味が深まる」という循環は、投資の入り口としてとても理想的です。株価の動きと世の中の出来事は、実はしっかりつながっています。急に株価が上がったり下がったりしたときにニュースを見てみると、思わぬヒントが隠れていたりする。たとえ10代でも、自分の興味や日常に近い企業を選んでいれば、株価とニュースをセットで見ることは自然とできるようになります。事実、我が家でも、子どもが好きな企業の株を持ってから、ニュースを見る視点がガラッと変わりました。変動に理由があるとわかると、投資の見方も深まります。こうして「株価とニュースはいつもセットで見る」という習慣がつくと、「お金の動きって、世界の動きとつながっているんだな」と、自然と実感できるようになる。ただ数字を追うだけじゃない、“気づき”のある投資体験ができるようになるはずです。

池澤麻耶

2025/9/25
1,870円(税込)
160ページ
ISBN: 978-4334107628

電子マネーですべての決済が完結する世に生まれ、生きていかなければならないのが「α世代」(2010年以降生まれ)。そんな世で「お金」というものをどう説明し、取り扱わせるか。親自身のマネーリテラシーや投資への知識が問われる重大な局面に差し掛かっていることは間違いない。元外資系投資銀行トレーダーの池澤摩耶さんが自分の子どもに実践しているマネー教育メソッドを公開。【目次】はじめにSTAGE1 「節約が大切」「現金が安全」「お金の話はタブー」って、本気? 親の金銭感覚をまずはアップデートSTAGE2 小学生からスマホ、おこづかいはPaypay、お年玉は海外通貨、相棒はAI。現代のリアルを直視して! 始めない理由なんてないSTAGE3 「トレカ」好きの子は“株式トレーダー”の素質あり!バトルやショップで“マーケット感覚”を研ぎ澄ますSTAGE4 「なんでホテルのコーラは1200円でマックのコーラは140円?」の疑問から「割高」「割安」「価値」の意味を知るSTAGE5 スイス1200円、アメリカ910円、日本450円。「ビッグマック」で日本経済の弱さを理解するSTAGE6 ガリガリくんだって値上がりする「インフレ」。日本の「現金」に偏ったポートフォリオじゃ資産家は夢のまた夢STAGE7 迷ってるヒマはない!15歳になったら「未成年証券口座」と「デビッドカード」を子ども自身の名義で作るSTAGE8 女子がママと沼る「推し活」は最高。K-POPこそ投資スピリットを学ぶビッグチャンスSTAGE9 流行の兆しは子どものほうが敏感。Apple、NIKE、テスラ…さらなる次世代を探して株価とニュースを追うSTAGE10 子どもが何年か越しに貯めた10万円。“おこづかい投資家”デビューするなら“単推し”“箱推し”の2択からSTAGE11 夢は「お金持ち」。それって、全然アリ。“資産を持つ”という選択肢には失敗だってかすり傷STAGE12 結局投資はギャンブル? いいえ、投資はみんなで夢を広げて未来に希望を託すこと