愛知県警は2025年10月23日、営業許可を得ていない自家用の普通乗用車、いわゆる「白タク」で客を有償で運送したとして、ベトナム国籍の31歳の男を道路運送法違反(有償運送)の疑いで逮捕したと発表しました
ネットでは批判や正規のタクシードライバーを案じる声が上がっています。
【画像】白タクはダメ! 二種免が必要! これが「最強免許」です(21枚)
愛知県警は2025年10月23日、営業許可を得ていない自家用の普通乗用車、いわゆる「白タク」で客を有償で運送したとして、ベトナム国籍の31歳の男を道路運送法違反(有償運送)の疑いで逮捕したと発表しました。
この事案は今年8月15日、男が白タクでベトナム国籍の男性3人を愛知県西尾市から奈良県内まで運送したもので、日帰りで奈良公園など観光地3か所に立ち寄ったということです。
なお、一般的なタクシー料金の2割程度にあたる2万4000円で西尾市と奈良県を往復しており、男は警察の調べに対し容疑を認めています。
愛知県警は今年6月からこれまでに、白タク行為をしたとしてベトナム国籍の男女6人を逮捕しており、この6人は互いにSNSを使ってやりとりをしたとみられています。
県警では、ほかにも白タク行為をしているベトナム人がいるとみて、捜査を続けています。
そもそも路線バスやタクシーなどのように、運賃をもらって客を運送する乗合事業をおこなう際には、道路運送法に基づいて事業計画や運行計画を定め、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。
この許可を受けずに白タク行為をおこなって検挙された場合、道路運送法違反で3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこの両方を科される可能性があります。
上記のように、白タクによる運送は通常のタクシー料金よりも大幅に安いケースが多く、タクシーや路線バスといった地元事業者の仕事を奪う可能性が懸念されています。
今回の逮捕事案に関してはインターネット上で「これはあまりにも安すぎる。普通なら10万以上はかかる。これほど安いから外国人の客は乗りたがる」といった声や「日本のタクシードライバーさんのためにも徹底的に取り締まりをしてください」との要望が寄せられています。
さらに「日本舐められすぎ。日本で外国人が犯罪をしたら、日本人の時より罪を重くしてほしい」「客側へも高額な罰金を徴収すれば良い。出国時に罰金としてクレカ払いで決済させればいいのでは? それが一般化されると白タク利用が減るだろう」など、白タクの行為者と利用者双方への厳罰化を求める意見も聞かれました。
現状では乗客側に罰則がないことも、白タク行為が横行する原因のひとつといえるでしょう。
そのほか白タク行為に関しては、運転中の事故の危険性も指摘されています。通常、路線バスやタクシーを運転する際には、より高い運転技術や幅広い知識が求められる「第二種免許」が必要です。
しかし白タク行為の運転者は第二種免許を取得しておらず、安全とは言いがたい運転をするケースも少なくありません。
実際のところ今年6月には山梨県の河口湖と富士山の5合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」において、パキスタン国籍の男が運転する白タクが対向車線にはみ出し、観光バスと衝突する事故が起きました。この事故により、白タクに乗車していたアメリカ人の男女5人が重傷を負っています。
加えて、今年9月には和歌山県新宮市の国道において、中国籍の男が運転する白タクがセンターラインをはみ出して大型トラックと正面衝突し、白タクに乗車していた中国籍の女性が死亡する事故も発生しています。
現在、警察や国土交通省などは外国人観光客に対し、白タク行為が違法であることや事故でケガをした場合に補償を受けられないおそれがあることなどについて注意喚起をおこなっています。
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白タク行為については、ドライバーと客との間で金銭のやりとりをした証拠がないと、検挙が難しいという課題もあります。
今後は、白タク行為をより取り締まりやすくする法令整備や環境づくりが求められるといえるでしょう。