江戸時代の浮世絵師・喜多川歌麿の肉筆画「深川の雪」が22日、競売会社サザビーズが香港で主催した競売にかけられ、日本の個人コレクターが約5500万香港ドル(手数料込み、約11億円)で落札した。
同社によると、今回の落札額は歌麿の作品で過去最高という。
「雪」は縦約2メートル、横約3・4メートルの大作。歌麿が栃木の豪商の依頼を受けて描いたとされており、「品川の月」「吉原の花」と合わせた三幅対として作られた。所在不明の時期もあったが、2012年に国内で発見され、岡田美術館(神奈川県箱根町)が所蔵してきた。「月」と「花」は米国内の別々の美術館が所蔵しており、国内に残るのは「雪」だけだったため、栃木県栃木市の関係者は国外流出を懸念していた。
歌麿に関する活動を行う団体や市民でつくる「歌麿を活(い)かしたまちづくり協議会」の大木洋会長(69)は「栃木市の『雪』への熱い思いを新しいオーナーに理解してもらえたら」と話した。同市の大川秀子市長は「新しい所有者には、深川の雪に対する市民の熱い思いを伝え、いずれ市内での『里帰り展示』をお願いしたいと考えている」と述べた。