ネット上で“玉木ショック”という造語が拡散を続けている──。国民民主党、それも党代表である玉木雄一郎氏に強烈な逆風が吹いているのだ。玉木氏は昨年11月に不倫問題が報じられ、報道を事実と認めて謝罪を行った。だが、あの時よりも今のほうが、国民はXなどのSNSに厳しい批判を投稿している。(全2回の第1回)
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日本経済新聞社とテレビ東京が10月24日から26日に実施した世論調査では、高市内閣の支持率は74%を記録し、現役世代からの支持率の高さも明らかとなった。
その煽りを受けた格好なのが国民民主党だ。Xで“玉木ショック”が話題を集めた理由の一つとして、デイリースポーツの記事が挙げられる。世論調査で国民民主党の支持率が低下したことを「玉木ショック」のタイトルで報じ、(註1)、SNSで拡散したというわけだ。担当記者が言う。
「10月23日に共同通信が発表した世論調査で、国民民主党の支持率は前回の9・6%から8・8%に下がりました。こちらは約1割の減少ですから、それほど話題にはならなかったのです。ところが読売新聞が同じ日に発表した世論調査の場合、国民民主党の支持率は前回の9%が、ほぼ“半減”の5%という驚くべき結果でした。実際、読売新聞は国民民主党の支持率が急落したとの記事を朝刊に掲載したほか、読売新聞オンラインでも配信したのです(註2)」
国民民主党の支持率が下がった経緯を振り返ってみよう。10月4日、自民党総裁選で高市早苗氏が勝利を収める。当初、連立政権入りが取り沙汰されたのは国民民主党だった。高市氏と玉木氏は良好な関係を築いてきた、と報じたメディアもあった。
これに対し国民民主党の支持母体である連合の芳野友子会長が8日、「連立入りは容認できない」と玉木氏に釘を刺した。
すると政界に激震が走る。10日に公明党が連立から離脱したのだ。玉木氏は自民党と連立を組む可能性を記者に問われると、「あまり意味のない議論になってきている」と答えた。
一方、立憲民主党も国民民主党に協力を求めた。首班指名で野党統一候補として玉木氏の名前で投票、自民党総裁である高市氏を破るプランだった。
だが立民の呼びかけにも玉木氏は冷たかった。11日に大阪市内で演説を行うと記者団の取材に応じ、立憲民主党とは安全保障やエネルギー政策で齟齬が大きいとし、「現在の立憲民主党とは組めない。基本政策が違う」と突き放した。
10月15日、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党で協議が行われたが、合意には到らなかった。すると同じ日、高市氏と大阪府知事で日本維新の会の代表を務める吉村洋文氏が電撃会談。そして自民党と日本維新の会は20日に「連立政権合意書」を取り交わした。
自民党からも立憲民主党からもラブコールを送られたが、玉木氏はどっちつかず。その隙を突いて日本維新の会が自民党と連立を組んだ。ネット上では玉木氏に対して「決断力に乏しい」との批判が相次いだ。
一体、玉木氏は何を間違えたのか。ネット上では「国民民主党は自民党と連立を組むべきだった」という意見が圧倒的多数だ。Xから数例をご紹介しよう。
《玉木さんよ、言わせてもらいますが高市総理大臣からオファーがあったのに拒否して連立を断ったでしょ。自民党と連立したら簡単に政策実現出来たよ》
《玉木さんはいつでも「ここって」時に逆に行っちゃうよね(略)大事な時に自民党からの連立拒否》
《自民党と連立組んで玉木財務大臣で年収の壁等を取り組んだら支持率は上がったと思うけどね》
10月23日に報じられた読売新聞の世論調査は、こうした有権者の声が反映されたものと考えられるだろう。そして興味深いことに、“玉木ショック”が明らかになる直前、2人の女性“識者”が国民民主党を痛烈に批判した。
1人目はエジプト出身のタレント、フィフィだ。彼女は10月16日、Xに《結局、玉木さんは何がしたかったのか…いつも大事な時に判断ミスって勿体無い》と投稿した。
これに玉木氏は反応する。《大丈夫ですよ。国民民主党は政策本位でブレずに判断しています》と返答した。
するとフィフィは《外からではなく、中からプレッシャーをかけて政策を貫徹する方が良いと思うのですが》と、改めて自民党と連立を組むよう呼びかけた。
2人目はコメンテーターの金子恵美氏だ。彼女は10月19日、フジテレビの情報番組「Mr.サンデー」に出演した。
この番組には玉木氏も出演しており、金子氏はご本人を前に「基本政策に関しては自民、維新のほうが近いのであれば、今その“船”に乗る最後のタイミングなんだと思うんですよね」などと持論を展開。やはり玉木氏が自民党と連立を組まなかったことを批判した。
ところが政治アナリストの伊藤惇夫氏は「玉木さんに対する批判が集中するのは理解できるにしても、それは自民党と連立を組まなかったことが原因だと考えるのは違うと思います」と反論する。
第2回【国民民主「玉木代表」に「首相になれるチャンスをみすみす逃す政治家は初めて見た」の声も…識者が「公約を実現する一番の近道は首相になること」と指摘する理由】では、伊藤氏の「玉木氏は立憲民主党との連立を組むべきだった」という指摘を中心にお伝えする──。
註1:【高市自民】玉木ショック、国民民主の支持率「ほぼ半減」報道→「総理の覚悟ないと見えた」「結局何がしたいか分からず終了」 「ひるおび」「ミヤネ屋」で指摘相次ぐ(デイリースポーツ電子版:10月24日)
註2:国民、支持下落危機感 「首相の覚悟」発言 一因か 本社世論調査(読売新聞オンライン:10月23日)
デイリー新潮編集部