秋分の日の9月23日、祝日で閑散とした警察署を親族と訪れた女は、こう自らの罪を告白する。
【写真を見る】生きていれば今年で50歳だった万希子さん 恩師によると「思いやりがあり、友達は多かった」という
「自宅の冷凍庫に長女の遺体を保管している」
茨城県警牛久署は9月25日、死体遺棄の疑いで同県阿見町に住む森恵子容疑者(75)を逮捕した。
捜査関係者が話す。
「森容疑者は取り調べに対し“20年前に娘である万希子(まきこ)さんの遺体を自宅に保管していたところ腐敗が進み、家の中に異臭が充満したため冷凍庫を購入した”と供述しています。犯行当時は義母と夫の3人暮らし。義母は数年前に、夫は今年9月に亡くなりました。容疑者が一人暮らしとなったため、今後について親族で話し合いが行われた。そこで娘のことに話が及ぶと森容疑者が、“実は……”と打ち明けたのです」
件の上開き冷凍庫は、容量205リットルの大型で、自宅の台所に置かれていたという。
「Tシャツに下着姿の万希子さんは、正座して上半身が折り畳まれた状態で、毛布、脱臭剤、植物などと一緒に入れられていました。司法解剖の結果、死因は頸部圧迫による窒息死と推定されます。首に絞められたような跡があったほか、頭には鈍器で殴られたような傷もありました」(前出の捜査関係者)
万希子さんは、生きていれば今年で50歳になるはずだった。その遺体を家族の食事を作る台所に置き、森容疑者は何食わぬ顔で20年間も生活してきた。
近隣住民は森容疑者を「いい人だった」と評価する一方、「娘がいたことは知らない」と口をそろえる。
一家が事件現場となった一軒家を購入したのは、万希子さんが17歳だった1993年4月。それ以前から、母親と娘の間には確執があったという。
万希子さんの同級生の母親が明かす。
「ご主人は公務員だったと思います。恵子さんは、人の悪口を言わないし、世話焼きで本当にいい人でした。ただ、マキちゃんはヤンチャで、小学校高学年のとき、先生の車に生卵を投げたことがあったんです。そのため恵子さんは“本当に困っているのよ……”と悩んでいました。マキちゃんの二つ上のお兄さんは、明朗快活で真面目な子だったのですが」
中学校に入り、万希子さんの素行不良は加速していく。中学時代の恩師が語る。
「万希子は思いやりのある子で、友だちは多かった。しかし、素行は悪く、好ましくない交友関係があったのも事実です。お母さんは彼女と真剣に向き合っていましたが、反発されてかえって悪い方向に働いたこともありました。お父さんの記憶はまったくありません。仕事であまり家にいなかったのでしょう」
子育てに悩む母親は、ある宗教を信仰する。中学のPTAで森容疑者と役員を務めた女性が言う。
「恵子さんはエホバの証人の信者でした。でも、勧誘されたことはありません。聖書を読み聞かせられ、“感想を聞かせて”と言われたぐらいです。逆に私の自宅を訪れて、しつこく勧誘する信者に対して“私の名前を出してもいいから”と、断る口実をくれました」
宗教法人エホバの証人は、幸せな家庭の築き方を説く。一人苦悩を抱えた母は、信仰に救いを求めたようだ。しかし、熱心に教義を教え諭す母と反抗期の娘が、相容れないことは想像に難くない。中学を卒業後、万希子さんは次第に家族と距離を置き、悪友との絆を強めていったのかもしれない。
森容疑者は以前、30歳前後で亡くなったとされる万希子さんについて、こう語っていたという。
「20年ほど前、たまたま道で恵子さんにお会いして雑談したんです。そのとき“娘は今、東京にいるのよ”と話していました」(森容疑者の知人女性)
娘の遺体と共に暮らしていた森容疑者は、10年前から月1回、通学路の見守り活動に参加していた。下校する無邪気な子供の姿を、どんな思いで見つめていたのか。
「週刊新潮」2025年10月9日号 掲載