【全2回(前編/後編)の後編】
自民党総裁選のスタート直後から首位を独走していた小泉進次郎農水相(44)だが、選挙戦の中盤以降はまたもや能力不足が露呈してしまった。「ステマメール」騒動も追い打ちをかけることに。新総裁には人事、対米外交、連立交渉という難題が待っている。
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前編【「“ビジネスエセ保守”という言葉以上にキツい文言が…」 小泉進次郎陣営の「ステマメール」騒動には原案があった! 「牧島さんのせいだけにするのは問題」】では、小泉陣営のステマメール騒動の裏側について報じた。
「安全運転」に徹してなお、その資質を疑問視する声が上がり続けた。挙げ句、「ステマメール」騒動でも集中砲火を浴びた。総裁選レース終盤、ボロボロになりながらもトップを走り続ける小泉氏を猛追したのが、林芳正官房長官(64)である。
元NHK解説委員で政治ジャーナリストの増田剛氏が語る。
「林氏は旧宏池会を軸に支持を固め、事前の各種調査でも議員票では小泉氏に次ぐ位置を占めています。懸案とされた党員票についても、小泉氏の“ステマメール”騒動が追い風となったのは明らかです。“小泉氏では若過ぎて不安だ”と考える党員らの票が林氏に流れたとみています」
今回の総裁選でカギを握るとされたのが、前回石破茂首相(68)に投じられた議員・党員票の行方だ。
「石破氏の側近である中谷元・防衛相(67)や、地元が首相と同じ鳥取の舞立昇治参議院議員(50)が林氏の推薦人に名を連ねました。首相自身は投票先を明かしていませんが、鳥取県連では“首相は林支持”と受け止められ、県連票も林陣営に傾いたとみられています」(政治部デスク)
一方、2位争いを演じている高市早苗前経済安全保障相(64)といえば、
「前回同様、党員票では優位に戦いましたが、議員票は伸び悩んでいます。前回、彼女を支持した旧清和会の多くの議員が落選や引退に追い込まれたことが最後まで響いている。人と会うのを苦手とする彼女は、ほかの候補者が個別に議員会館の事務所を回る中、進んで自ら足を運ぼうともしませんでした」(同)
結果、高市氏は完全に党員票頼みとなった。そこで、一役買ったのが落選中の旧清和会の面々だった。
下村博文・元文科相(71)が言う。
「地元の東京11区で都議や区議に協力を要請しながら、選挙支部の党員に“高市早苗さんをよろしく”と働きかけています。また、YouTube や Instagram などでも積極的に情報を発信しています」
下村氏は9月25日、旧清和会に所属していた元議員の政治資金規正法違反事件を巡る裁判で、当時の派閥会計責任者から裏金キックバック再開の首謀者と名指しされたばかり。タイミングが悪いというほかないが、高市陣営はそれほど厳しい戦いを強いられていたということか。巻き返しを図る高市氏は投開票日の4日前、麻生太郎最高顧問(85)との会談にこぎ着けたのだった。
さて、投開票はついに今日だ。新総裁が決まった後のスケジュールは、
「まず、速やかに党役員人事に着手する必要があります。首班指名に関しては、10月14日以後の開催が有力視されています。野党は統一候補を立てられず、自民党の新総裁が新総理に就任する見込みです」(前出のデスク)
最初の難関は人事だ。
「誰が新総裁になっても、党内融和に腐心し、旧派閥の領袖や他候補の顔色をうかがわざるを得ないでしょう」(同)
人事を乗り切った後に控えるのが、10月下旬のトランプ大統領(79)との日米首脳会談である。
アメリカの政治・外交が専門の上智大学教授・前嶋和弘氏が語る。
「トランプ大統領は韓国に求めているのと同様、日本にも関税交渉で決まった80兆円規模の対米投資の早期履行を迫る可能性があります。石破首相は就任から4カ月の準備期間を経て初会談に臨みましたが、新総理には極めて短期間しか準備期間がなく、誰が就任しても難しい対応を強いられそうです」
同時に新総理総裁が抱える難題が、少数与党解消のための連立交渉である。
政治ジャーナリストの青山和弘氏が言う。
「小泉陣営の菅義偉副総裁(76)や齋藤健前経産相(66)が日本維新の会の遠藤敬国対委員長(57)と地ならしを行っています。維新は連立に前のめりですが、特に大阪などで公明・維新間の選挙区調整が必要です。今後の交渉は一筋縄ではいきそうもありません」
元自民党本部事務局長で選挙・政治アドバイザーの久米晃氏が指摘する。
「国民の不信感は“政治とカネ”の問題だけで膨らんだのではありません。これまでに積み重なってきた政治的課題に、既成政党が十分な成果を示せなかったツケが噴き出した結果なのです。その不信感を払拭し、信頼を回復するには、着実に実績を重ねる以外に道はありません。もし新総裁が人気投票的に選ばれながらも成果を出せなければ、自民党自体が立ち直れないほどの打撃を受けるでしょう」
言うは易く行うは難しで、誰が新総裁になっても党の立て直しはそう簡単ではない。
前編【「“ビジネスエセ保守”という言葉以上にキツい文言が…」 小泉進次郎陣営の「ステマメール」騒動には原案があった! 「牧島さんのせいだけにするのは問題」】では、小泉陣営のステマメール騒動の裏側について報じている。
「週刊新潮」2025年10月9日号 掲載