今年も”渋ハロ”の季節がやってきた。渋谷区は10月31日のハロウィン当日に向けて、区の象徴であるハチ公像をシートと柵で包囲。シートには今年のキャッチフレーズ〈禁止だよ! 迷惑ハロウィーン〉が大きく掲げられた。
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キー局社会部記者が言う。
「長谷部健渋谷区長は2日、記者会見で『いいハロウィンと、よくないハロウィンを分けて訴える』『働く人や住む人が困っており、”迷惑”という言葉でしっかり呼びかける』などと注意喚起。昨年のスローガンとなった〈渋谷はハロウィンイベントの会場ではありません〉よりだいぶトーンダウンしましたが、区の経済的な損失や事故、トラブル防止には気を揉んでいるように感じられます」
近年、すっかり”渋ハロ”は迷惑行為とセットで語られるようになってしまった。その契機は2018年にあった”暴徒トラブル”だった。同年10月28日深夜、「渋谷センター街」で酒に酔った若者たちが軽トラックをひっくり返したのだ。
「幸い、死傷者はいませんでしたが当時辺りには数百人規模の人が集まり、酔客らによる喧嘩やスリ、痴漢が多発した。軽トラックを横転させた4人の若者はその後、器物破損容疑で逮捕。調べでは『酒に酔っていた』『みんなで盛り上がった』など供述したそうです。
このときの様子はSNS上で広く拡散され、『BBC』など海外メディアでも”暴動”として大きく報じられました」(同前)
これを受け翌年、区は治安対策に舵を切った。
特徴的な対策だったのは「路上飲酒禁止」。長谷部区長も、前年の事件を重く受け止めたのか「規制で終わらせず、文化として定着させる」など、この頃から”安全なハロウィン”を強く訴えるようになった。
さらにハロウィン規制に大きく影響を与えたのが、コロナ明けの「梨泰院ハロウィン圧死事件」だ。この事件では、ソウル龍山区梨泰院の狭い坂道に10万人以上の人が集まり、多数が将棋倒しになった。
「死者は約15人、負傷者は約200人という衝撃的な事故でした。梨泰院では特にイベントを開催していたわけではないですが、数年ぶりのコロナ規制解除の影響で自然発生的に人が集まった。国内外で追悼ムードが広がり、行政の安全責任を問う世論も高まりました」(同前)
翌年、渋谷駅前は厳重な警戒体制が敷かれた。この年から、渋谷駅のハチ公前の改札口は封鎖され、”映えスポット”の「ハチ公像」付近も立ち入り禁止となった。NEWSポストセブンも当時、現場を取材したが、「飲まずに終電で帰ります」という仮装客も多く、比較店モラルが守られている印象であった。
一方、昨年はやや”ゆるみ”がみられた。
午後10時過ぎ、「宮下パーク」に沖縄出身のラッパー・OZworldが突如現れ、局所的な”騒ぎ”になったのだ。周囲ではケンカ寸前の揉み合いも起き、「身動きが取れなくて、梨泰院の雑踏事故を思い出した」という男性も。さらには、「どさくさに紛れて、体を触られまくった」という若い女性までいた。
年々、対策が強化されている中で、新たな課題となっているのが外国人客だ。昨年、取材中にも「日本語のわからない人が多い」と漏らす参加者が多かったが──。
「コロナ禍以降、外国人の参加者は増えています。渋谷が規制強化されたことにより、人出が増えている新宿区では昨年、区がハロウィンの際に調査を行ったところ、路上飲酒している人の半分が外国人観光客だった。規制はあくまで”お願い”なので、一時的に訪日している外国人には効果が薄いという声も増えてきている。
渋谷区では英語に加え、韓国語や中国語でも注意喚起を示す看板を設置して対策するといいます」(同前)
形を変えつつある”渋ハロ”。今年も大きな事件や事故がないことを祈りたい。