高血圧や骨粗しょう症の医療者向けの診療ガイドライン(指針)とタイトルなどがよく似た本がインターネットの通販サイトで販売され、指針を作成した関連学会が購入しないよう注意を呼びかけている。
診療指針は、科学的な根拠に基づき、効果や副作用を考慮して最適と判断される治療法を示したもので、病気ごとに専門の学会が作成している。医療者だけでなく、一般の購入も可能だ。
日本高血圧学会によると、8月29日に発行された高血圧診療指針とタイトルや表紙が似た本がインターネットの通販サイトで販売されているのを確認した。
類似本のタイトルは「高血圧管理・治療ガイドライン2025」。ページ数は約70ページと本来の診療指針の4分の1ほど。血圧を下げる目標について、65歳以上は上の血圧(収縮期)を140より、下の血圧(拡張期)を90よりそれぞれ下回るよう記載している。診療指針では、全世代で上の血圧を130、下の血圧を80より下回るよう定めている。
同学会は本来の診療指針を発行する出版社を通じて通販サイトの運営会社に連絡し、サイトから削除された。骨粗しょう症の診療指針に類似する本は販売が継続されており、関係学会が間違えて購入しないよう訴えている。いずれも発行者は個人とみられ、連絡先などの記載はなかった。高血圧診療指針作成委員会の大屋祐輔委員長は「間違った情報が書かれた本が世の中に出回ると、何が正しい情報なのか怪しくなってしまう。再び販売されないか引き続き注意する」と話している。