ここに来て石破政権の支持率が急上昇している。恐るべき粘り腰で長期政権への道をこじ開けつつある総理の心中とは―本人を直撃した。
前編記事『「辞めたほうが楽なのはわかってるよ。しかし…」石破茂総理が記者の電話に出た!そして語った「苦しい胸の内と決意」』より続く。
反石破勢力の内部で問題が起こっている。萩生田光一氏の政策秘書が政治資金規正法違反で罰金の略式命令を受け、波紋が広がっているのだ。
「自民党の不記載事件について、東京地検特捜部は『立件ライン』を不記載額3000万円以上とし、これに届かない場合は一律で不起訴としてきた。萩生田事務所の不記載額は1900万円だったが、検察審査会の『起訴相当』議決を受け、特捜部は当初の不起訴処分を一転させた。
今後、他の不記載議員も芋づる式に略式起訴される可能性が出てきたため、総裁選の前倒し署名を進めてきた旧安倍派の議員たちは動きづらくなった」(旧安倍派中堅議員)
焦る裏金議員たちに、森山裕幹事長はさらなる追い打ちをかけようとしているという。
「森山幹事長が、参院選の総括に『不記載問題が敗因の一つ』と明記するかもしれないと言われている。裏金問題が再燃し、旧安倍派は『石破おろし』どころではなくなる」(自民党幹部)
そもそも旧安倍派の幹部たちが「石破おろし」を仕掛けたこと自体が、石破氏に有利に働いたという指摘もある。
「世耕(弘成)さんや萩生田さんも黙ってればいいのに、元気になっちゃって、表で石破批判したりするから、逆に敵に塩を送ることになっている」(自民党現役閣僚)
空中分解していく反石破派に、先頭に立っていたはずの麻生太郎氏もかたなしだ。
「麻生さんが義弟の鈴木俊一さんを担ぐという人もいるけど、そんなもん勝てるわけないですよね。最近は会合すら開いていない。思考停止状態です」(前出・政治部デスク)
絶体絶命の窮地から抜け出しつつある石破氏。すでに「9月23日からニューヨークで行われる国連総会での一般討論演説に向け、演説草稿を準備している」(全国紙政治部記者)という。
これらの日程を乗り越えれば、10月には臨時国会が控えている。少数与党のため、政権運営には野党との協力が欠かせないが、これについても森山氏が手を打ち始めている。
「8月21日に小泉進次郎氏が大阪・関西万博を視察に訪れて、維新の吉村洋文代表との会見に応じたのも、森山さんの頼みで菅(義偉)さんが振り付けているんだろう。森山さんは維新の連立入りを画策していて、8月上旬に維新の遠藤敬国対委員長や中司宏幹事長と会食している。連立に関して、世論の反応を見たかったのだろう」(自民党関係者)
まさにこれまで培ってきた政治技術を駆使して石破政権の延命を図る森山氏だが、その森山氏自身、参院選の総括がまとまった段階で「幹事長としての自らの責任について明らかにしたい」と述べ、辞任の可能性を示唆していた。
ところが、その可能性は極めて低くなったと石破氏周辺の中堅議員は語る。
「連立の枠組みについて維新と交渉するなど動き出しているのを見ると、ここで森山さん自らが辞任するという決断をするとは考えられない」
森山氏が率いた旧派閥・近未来政治研究会の初代会長である山氏も「森山さんは辞めません」と断言する。
しかし、森山氏がどんなに手を尽くそうと少数与党であることに変わりはない。そうであるかぎり、党内外から「石破おろし」の声が上がり続けることは避けられない。
そこで党内の一部からは解散総選挙に打って出るべきだとの声も上がり始めている。鈴木宗男氏はブログで、「石破総理は決然と『国民に信を問う』ことが一番わかりやすいことである」と、持論を展開した。本人に真意を聞いた。
―なぜ解散を勧める?
「総裁選を前倒しでやるんだったら、総選挙をやっても同じ期間(約1ヵ月)かかる。だったら解散して国民に信を問うたほうがわかりやすい」
―解散して議席は増える?
「今よりは良くなるでしょう。そもそも総裁選の前倒しを要求した議員の信も問うたほうがいい。裏金のヤツらが偉そうな顔をして、何事もなかったかのようなことを言うのは議論のすり替えだわ」
一見、突拍子もない話にも聞こえるが、このまま支持率が上向けば、石破氏が勝負を仕掛ける可能性は十分あると前出の官邸幹部が言う。
「石破さんは昨年からずっと解散を模索してきました。年明け解散とか、内閣不信任案を出されたら即解散することを考えていました」
一番早い可能性は、10月の臨時国会冒頭解散―。
総理になってから独自色が消えてしまったと言われる石破氏。しかし、旧安倍派に執拗に追い込まれたことで、党内野党だった「あのときの石破」が帰ってきた。戦後80年メッセージの発出に異常なこだわりを見せるなど独自路線に戻った石破総理は、このまま茨の道を歩み続ける。
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「週刊現代」2025年09月15日号より
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