特集「キャッチ」です。福岡県柳川市にある「やながわ有明海水族館」にことし、最年少の新館長が就任しました。魚の生態から食べ方まで熟知している、少し人見知りな中学生の魚博士です。
福岡県柳川市にある「やながわ有明海水族館」。有明海や周辺の川などに生息する生き物がおよそ70種類が展示されている小さな水族館です。■岩崎優介さん(12)「(ムツゴロウは)青い斑点がきれい。歩いてジャンプもする、魚らしからぬ姿が面白くて好きです。」

中学1年生の岩崎優介さんは、ことし4月に就任した「水族館長」です。
福岡県古賀市の優介さんの自宅の部屋には、たくさんのプラモデルやフィギュアが並びます。一番多いのは「魚」で、一番のお気に入りは。■優介さん「オイカワです。オスは繁殖期にカラフルになる。おいしいし、簡単に捕まえられるし、親近感が湧く。」Q.どうやって食べる?「唐揚げとか甘露煮とか。」
魚に興味を持ち始めたのは小学校低学年の頃です。小学校の新聞係で、「魚の新聞」を作って同級生に特徴を教えていたといいます。■優介さん「メジャーな魚を書いていました。基本的には思いつきで。魚ばかり書かないでと怒られました。」
観光で柳川市を訪れたときに立ち寄った「やながわ有明海水族館」で、その魅力にはまり、毎月2回は訪れていました。■優介さん「自分が見たことない魚がたくさんいて、めちゃくちゃ面白いじゃんと思って。また行かせてもらったりして。」
子どもたちに、生き物に興味を持ってもらおうと作られた「やながわ有明海水族館」。NPO団体が運営していて、館長は代々、学生が務めてきました。16歳で館長に就任した3代目の亀井裕介さんと親しくなった優介さんは、水族館の運営に携わる子ども職員を務めました。2024年、亀井さんが引退して館長不在となっていたこともあり、優介さんが4代目の館長を引き受けることになりました。■優介さん「最初は無理でしょと思ったのですが、自分ができる分でいいって言われて、それならやってみようと思いました。」
この日は、家族全員で勤務先の水族館に出勤です。多い時には週に1度、両親の運転する車で通っています。■母・理子さん「今まで通りでいいと言われたものの、館長なのだから。説明したり声をかけたり積極的にしないといけないけれど、最初はできていなくて、じれったかったです。」■優介さん「人と話すこと、大勢の前での発表が苦手だったけれど、最近はいけるぞって感じです。」到着して魚にエサをやっていると早速、お客さんです。館長就任から5か月、最近はいけるぞと言っていた優介さんですが、お客さんの顔をなかなか見られず、言葉が出てきません。■父・孝二さん「お客さんに子どもがいる時は、あめとかシールの案内をしてあげて。お客さんの目を見て。」すかさず、お父さんがフォローに入ります。■孝二さん「餌やり中止。」お父さんに促され、お客さんのいる水槽エリアへと向かいます。
■訪れた人「アリアケスジシマドジョウは今、いますか。」お客さんを水槽へと案内します。■訪れた人「ずっと潜っているんですか。」■優介さん「出てくることもあるのですが、たまにこうやって潜って砂と同化しています。」優介さん、魚の説明になれば次から次に言葉が出てきます。■優介さん「(ワラスボは)有明海のエイリアンと言われています。刺身にすると意外とおいしい。自分が食べた刺身の中でトップクラスです。普通のスズキは銀色。黒い斑点があって、これがアリアケスズキの特徴です。」■子ども「詳しいですね。さすがだと思います。」■訪れた人「自分で掘り下げていってね、興味があることを。それがすごいと思います。」
また、新聞係の経験を生かして魚の紹介文を作成し、優介さんがいない時にも水族館を楽しんでもらえる工夫をしています。■優介さん「地元の子どもたちが生き物について学べる、勉強になる場所にしたいと思います。親しんで楽しんでほしいです。」
優介さんの仕事は水族館の中だけではありません。向かったのは水族館の裏にあるお堀です。■川下りの船頭さん「中学生館長に就任したんだよね。」■優介さん「はい。1年生です。」お堀に網を投げて、魚の生息調査を行います。■優介さん「ギンブナとブルーギルです。」周辺の環境を確認することも目的の一つです。■優介さん「フナとかオイカワとか、ほかの種類がたくさんいた。日本で生まれたものが多かったのですが、外来生物が増えている。」優介さんは、水族館周辺の水辺で生き物の数が減っていることに危機感を抱いています。■優介さん「生き物について知ってもらうことで、生き物についての関心が湧くと思うので、それで大事にしようという目標を持ってもらいたいです。もっと(生き物が)増えてほしいです。」最年少の館長が目指すのは、みんなが来やすい水族館。そして、生き物がたくさんいる柳川、有明海です。※FBS福岡放送めんたいワイド2025年9月3日午後5時すぎ放送