早速ボロが出た――。
自民党総裁選(10月4日投開票)に立候補した小泉進次郎農林水産相(44)が“失速”している。
9月25日発売の「週刊文春」によると、小泉陣営が「ニコニコ動画」に同氏を称賛するコメントを投稿するよう関係者に要請するメールを送っていたという。号令をかけたのは、陣営の広報班長を務める牧島かれん元デジタル相(48)だ。
〈総裁まちがいなし〉
〈泥臭い仕事をこなして一皮むけた〉
などのコメントが意図的に書き込まれた疑いがある。
このステマ疑惑に、進次郎氏は26日に開かれた会見で自らの関与を否定したうえで、
「私がもっと強ければ、しっかりしていれば、心配かけることもなく、こうしたことは起こらないだろうというふうに申し訳なく思います」
とステマを認め、謝罪した。
書き込みの中には
〈ビジネスエセ保守に負けるな〉
というものもあり、これが高市早苗氏(64)を揶揄するという指摘について進次郎氏は
「他の候補を批判するような意図はなかったと報告は受けている」
と否定した。
だが、進次郎氏は国民の声を直接聞く『なまごえプロジェクト』をブチ上げておきながら、自身のX(旧ツイッター)のコメント欄は閉鎖。返信できるユーザーを制限できる状態になっており、これについても“言行不一致”と批判が噴出している。
前出のステマ問題と併せてネット上では、
〈都合の良いコメントは拡散させて、都合の悪いコメントは無視〉
〈民意に耳を傾ける政治家を自負するなら(総裁選)撤退したほうがよいのでは?〉
などの意見が寄せられている。
永田町関係者は
「総裁選で先行リードしている進次郎氏の“失点”ということで、ライバル陣営を応援する人々はこれみよがしに攻撃しています。昨年の総裁選でも進次郎氏は失言などで序盤のリードを守れませんでしたが、1年経ってまた繰り返されようとしています」
と話す。
総裁選をリードしていると言われる進次郎氏だが、果たして影響はあるのだろうか。本サイトの取材に対し、政治評論家の有馬晴海氏は、
「今回のステマ騒動は、法律違反をしているわけではないので、致命的なダメージにはならないでしょう。現時点で進次郎氏は総裁選でトップを走っていますので、逃げ切る可能性は大きい。とはいえ、“ステマや誹謗中傷はダメだよね”というのが世間の大きな流れ。ネットリテラシーの教育など、政治が率先して行わなくてはいけない課題にもかかわらず、総裁選でこのようなことが行われているということが明らかになったことは、進次郎氏だけでなく、自民党にとってもマイナスになるでしょう」
と話す。
もっとも、陣営の息がかかった集団によるステマコメントは今回が初めてではない。政界では
「総裁選に限らず、あらゆる選挙で行われてきた」
という冷ややかな見方もあるが……。
進次郎氏にとっては、むしろステマコメントよりも厄介なのが「シャインマスカット問題」だ。
農水省はシャインマスカットの海外栽培のライセンス展開を検討しており、これに対し、生産が盛んな山梨県の長崎幸太郎知事(57)が
「到底容認できない」
と反発。9月25日に同知事やJA山梨中央会の組合長らが進次郎農相に構想の撤回を求める要望書を手渡した。
県側の言い分は、現状ではまだ国内の輸出環境が整っておらず、先に海外で生産されると、国内産の価格低下やブランド価値を傷つけることになるとしている。そのため要望では、ベトナムなどの成長市場への輸出拡大を図るため、植物検疫など輸出条件の整備を加速するよう求めている。
ようは海外展開が“悪”というわけではなく、順番の問題。まず先に国内の輸出環境を整えよ、というわけだ。
進次郎氏は長崎知事らの要望を受け
「産地の理解が得られない状況の中で海外生産は進めることはない」
と返した。
しかし、すでにネット上では
〈進次郎 シャインマスカット〉
で情報が拡散。ザックリとした内容であるため、日本が誇るシャインマスカットの栽培技術を安易に海外に売り渡すと“誤解”されているケースも目立つ。
「栽培技術を諸外国、とりわけ中国に売り渡そうとしているという書き込みも見られます。過去にはたしかにブランド苺や和牛をめぐり日本の技術が海外に不正に盗まれる事件があった。それらとヒモ付けられ、進次郎氏を『売国奴』呼ばわりする書き込みも見られます。このまま放置した場合、ステマよりも地味にシャインマスカットの件のほうが、大きなダメージになるのではないか」(全国紙政治担当記者)
総裁選に限らず、SNSによる真偽不明の情報拡散が社会問題になっている。国民の不安をあおる内容や、事実を誤認させるものについては厳罰化を求める声も上がっているが、あまりにも膨大な量であるため“焼け石に水”。個人でファクトチェックを行うしかないのが現状だ。早急な対策が求められるが……。