広島弁護士会は8月6日、広島への原爆投下から80年を迎えるにあたっての会長談話を発表した。「日本は、軍拡の道を進んでいると言わざるを得ない」として、核兵器禁止条約への署名・批准を改めて求めた。
1945年8月6日の原爆投下による被害について、広島市原爆死没者名簿には2024年8月6日時点で34万4306人が記帳されている。談話では「80年経った今でもその数は増え続けており、被害の全容は分かっていません」と指摘。被爆者やその子孫が差別や偏見にも苦しめられてきた実態にも言及した。
広島弁護士会は声明で、2015年の安保関連法の強行採決、2022年の敵基地攻撃能力保有を明記した安保三文書の改定を批判。防衛関係費が2025年度には8兆7005億円に達し、南西諸島へのミサイル基地設置などが進む現状について「日本は、軍拡の道を進んでいると言わざるを得ません」と述べた。
談話では「現在を『新しい戦前』という言葉を用いて表現されることもあるなど、現在は戦後ではなく新たな戦争前夜ではないのかという声も上がっています」と警鐘を鳴らしている。
核兵器禁止条約は2021年1月に発効し、2024年12月25日時点で署名国94、締約国73に上る。しかし日本は署名しておらず、締約国会議にオブザーバー参加もしていない。
広島弁護士会は「日本は、核兵器の破壊力・非人道性・悲惨さを、身をもって知っており、先陣を切って核兵器の廃絶を訴えていく立場」としながら、「このような日本の態度は、世界に対して恥ずべきものと言わざるを得ません」と厳しく批判した。