学歴詐称疑惑が取り沙汰されていた静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)が7月2日、弁護士同席のもとで記者会見を開いた。「東洋大学を卒業」として市の広報誌に記載されていたが、本人の口から「除籍であることが判明しました」と説明があった。
【写真】〈ものの30分で受け取れた〉実際の「東洋大学卒業証明書」
6月28日、卒業証明書を取得すべく同大学の教務課を訪れたところ、自身の卒業が確認できなかったという。田久保氏自身は卒業したものだと認識していたそうで、「戸惑っている」と語った。
田久保氏は今年5月、無所属の新人でありながら、現職を打ち破り初当選。非自民系としては31年ぶり、なおかつ初の女性市長ということで、“伊東のジャンヌ・ダルク”と呼ぶ声もある。
今回の騒動は、“怪文書”が発端となった。全国紙記者が解説する。
「6月上旬、〈東洋大学卒ってなんだ。中退どころか除籍であったと記憶している〉という文書が市議らのもとに届いたといいます。
6月25日の市議会で学歴を確認された際、田久保氏は、『この件については代理人弁護士に任せている』『私の方からの個人的な発言については控えさせていただく』と語りました。出所不明の“怪文書”にまともに取り合うことを不服としたのかもしれませんが、“明確な回答を避けた”と捉えた市民も少なくありませんでした」
しかし結局は、田久保氏が呼ぶところの“怪文書”が真実を明らかにしたことになる──。
会見での「卒業したと認識していた」との説明に対して、ネット上では、〈自分が卒業したのか除籍されたのかわからないの?〉〈そんなことある?〉〈ちょっと何言ってるかわからない〉といったツッコミが相次いだ。
そもそもどのような場合に“除籍”処分となるのか。東洋大学広報課に問い合わせた。
「東洋大学学則の第38条にて、『次に掲げる各号のいずれかに該当する者は、所定の手続を経て、除籍する』と説明しています。
(1) 授業料その他の学費を所定の期日までに納入しない者(2) 第20条に規定する在学年数を超えた者(※卒業に必要な単位を修得するために在学できる年数は、通算して8年を限度とする)(3) 第35条第3項に規定する休学期間を超えた者(※休学の期間は、通算して8学期を超えることはできない)(4) 新入生で指定された期限までに履修登録を行わないこと、その他本学において修学の意思がないと認められる者(5) 出入国管理及び難民認定法(昭和26年10月4日政令第319号)に定める『留学』又は他の中長期在留資格の取得が不許可又は不交付とされた者」(東洋大学広報課の担当者)
田久保氏がどのケースに該当したかは不明だが、除籍の主な理由としては、学費の未納や在学年数の超過、履修登録を行わないことなどが考えられるようだ。除籍となった際、どのように本人に通知されるのか。
「本学では除籍が決裁された後、保証人様宛てに除籍通知書を送付します。保証人様からご本人にどのように伝わるのかは分かりかねます」(前出・担当者)
田久保氏が「卒業した」と認識していたとすると、当時、除籍が伝えられた保証人の間でやり取りができない何らかの理由があったのだろうか。なお、会見によると、除籍となった経緯については確認中だという。
田久保氏は、「私自身、大学を卒業したとは選挙中も公表していない。弁護士と確認して、公職選挙法上、問題ないという結論になりました」と主張している。とはいえ、ネット上を中心に疑問の声が噴出している現状、市民の信頼回復までの道はまだ遠そうだ。