愛媛県今治市内で刃物のようなもので傷つられ、けがを負う猫が相次ぎました。
【写真】首元に切られた跡がある猫さん
地元ボランティアのタノビケルトさん(@tanobikeruto)によると、被害に遭ったのは餌やりさんらがご飯をあげるなどお世話をしている地域猫(外猫)たち。鋭利な刃物のようなもので、首元や背中、お腹などを切られていたといいます。
「実は、10年以上前から車にひかれる子、蹴られて死んでた子など悲惨な死に方をしてしまうことが続いていました。これまで被害に遭った猫は数えきれません。そんな中、最近は明らかに人為的に体を何か鋭利なもので切りつけられた猫が現れ始めたんです。首元や背中、お腹がえぐられて赤い肉が見えるほどのけがを負ったキジ白猫や、首元を切られた跡のある茶トラ猫など…こんなひどいことをしないでほしい」
この場所は、港のエリアで無人倉庫が並んでいる民家が全くない“陸の孤島”のようなところだとか。
「四方八方家がなく、近隣とのもめ事はありませんが、ここで猫たちに嫌がらせする人はわざわざ車か、自転車で来てます。虐待や嫌がらせが目的でわざわざやってくるということなんです」
また1カ月ほど前には、地域猫を何者かが連れ去ろうとする事案もあったとのこと。こうした猫の虐待とみられる事案が続いたため、タノビケルトさんが警察や行政に相談することになったそうです。
「警察は現地へ来てくれ写真を撮り、聞き取りなどしてくれましたが、現行犯でないと逮捕をして罰することは難しいとのことでした。ただ現場のパトロールを約束してくれて。一方、行政側は、虐待したみられる人物への聞き取りをしていただきましたが、こちら側の言い分を理解してもらえず、逆に外猫に餌をやらず連れて帰って飼うよういわれました」
そこで、これ以上の被害を出さないためにも全頭を捕獲し避妊去勢手術に乗り出したのが、松山市内でTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻す)などに取り組むNPO団体「Sakura Cat(サクラキャット)」。さらに、タノビケルトさんたちも、今回の事案をきっかけに餌やりさんや近所の人たちとの協力体制をとることになり、連携が取れるようになりました。
「地域での協力体制をはじめ、けがが相次いだ地域猫たちが集まるエリアに防犯カメラとライトが設置されました。防犯カメラも含め、たくさんの“目”で見守れることは、本当に心強いです。近所のオフィスの方、カフェの方、獣医学科の学生さんなど、たくさんの方々に助けられ、そして動物を見守ることで、人との繋がりの大切さや真心に感動しました。猫さんたちに代わってありがとうございますと言わせてください」
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今回愛媛県今治市内で刃物のようなもので猫が傷つけられた事案がありましたが、一般的にこうした野良猫(外猫)などに嫌がらせや虐待をする理由や背景はどんなものがあるのか、ご紹介します。
■野良猫など外猫が嫌がられる主な理由
鳴き声や発情期の騒音特に深夜や早朝の大きな鳴き声(ケンカ・求愛)が迷惑だと感じられることがあります。高齢者や子育て世帯にとっては睡眠妨害にも。
糞尿の被害(ニオイ・汚れ)庭や玄関先、車の下などに排泄されると困るという声が多いです。植木鉢や砂場がトイレ代わりになることも。
ゴミをあさる・荒らす生ゴミを狙ってゴミ袋を破る行動があると、「汚す存在」として敬遠されやすいです。
アレルギーや恐怖感動物アレルギーを持つ人や、そもそも動物が苦手な人にとってはストレスの対象になることも。
増えすぎて「管理できない」と感じる野良猫など外猫が多すぎる地域では、住民の中で「負担」や「不快感」が積もり、敵意に変わるケースも。特に去勢・避妊されていないと繁殖が止まらず、地域の「問題」として扱われやすくなります。
■なぜ虐待されてしまうのか?
虐待が起きる背景には、以下のような心理が関係しています。
嵜佑北堆任鬚けているから罰していい」という思い込み→ 社会的な“排除”の正当化につながる危険な考え方。
動物への共感力が低い、ストレスのはけ口にされる→ 自分の不満を弱いもの(=野良猫など外猫)に向ける形。
C韻覆覯楽・残虐性(サイコパス的傾向)→ 小動物虐待は犯罪や重大事件の前兆となることも。
■ どうすれば防げるか?
|楼菁活動・TNR(捕獲→不妊→元に戻す)を進める→ 野良猫など外猫を管理し、増やさないことが最大の対策です。
地域住民との対話・理解→ 「嫌なことがある=殺してもいい」ではないことを、共有できる地域づくりが大切。
法律と通報の強化→ 日本では動物虐待は犯罪です。見つけたらすぐ警察や保健所に通報を。
■最後に
野良猫など外猫たちは、自ら好きで外で生きているわけではありません。人間の無責任な飼育や捨て猫が生み出した結果なのです。だからこそ、「迷惑」ではなく社会全体で責任を分かち合うべき問題として捉え、徹底した地域猫活動や保護といった対応策をとることも必要になってくると思います。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)