福岡県みやま市の小学校で、男子児童が給食をのどに詰まらせ死亡した事故を受け、遺族は6日、市を相手取り、6000万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。午後2時から、児童の父親が弁護士とともに会見を開きました。父親は「大事な息子を返してくれ。息子は夢や希望がたくさんありました。なぜ息子が死ななければいけなかったのか。十分納得できる説明を受けていない。ちゃんとした謝罪も受けていない」と提訴に至った思いを語りました。
当時、小学1年生の児童は2024年2月26日の給食時間に「みそおでん」に入っていたウズラの卵をのどに詰まらせ死亡しました。訴えでは、ウズラの卵は給食の食材として禁止されていないものの、文部科学省が発行する「食に関する指導」(2019年改訂版)で「丸い形状のものは、のどに詰まる危険性が高い」とされていて、日本小児科学会も「窒息につながりやすい食品」として、ブドウやミニトマトとともに、ウズラの卵を挙げているとしました。実際に、大阪でも2015年に小学生が死亡した事故があるとして、ウズラの卵を使うときは、教員は子どもたちがのどに詰まらせることのないよう、事前に丸のみしないよう食べ方を注意し、教室内で十分に目配り、観察すべき注意義務があったと主張しています。
学校給食での死亡事故は、過去に相次いでいます。2010年には栃木県真岡市で、小学1年生が給食の白玉をのどに詰まらせて意識不明となり、2013年に死亡しました。2015年には大阪市の小学1年生がウズラの卵をのどに詰まらせて亡くなり、2021年には新潟県佐渡市で小学5年生が給食のパンをのどに詰まらせ死亡しています。文部科学省の「食に関する指導の手引」には、給食時の窒息事故防止について項目があります。しかし、「よくかんで食べるよう指導する」「担任が注意深く様子を観察する」といった記載にとどまっていて、実際の指導や見守りの方法は現場に任せられています。
事故を受けて、みやま市教育委員会が設置した調査委員会は2024年12月、再発防止策をまとめました。その中では、教員を対象とした救命講習を拡充することなどを求めています。