国民民主党が参院選比例代表に山尾志桜里元衆院議員を擁立したことへの反発の声がいまだに収まらない。玉木雄一郎代表が記者会見やテレビ出演のたびに説明に追われている中、ついには国民民主の支持者が「山尾しおり」を名乗り、参院選比例での出馬を目指すと宣言。瞬く間にSNSでフォロワーが増え、YouTubeでは本家を超えてしまった。爐犬磴覆な瓩了拡氏の出馬意図は――。
「落選を目指す山尾しおりです」と顔出しで宣言したのは、動画クリエーターの西沢佳唯氏(31)だ。5月29日にX(旧ツイッター)を開設し、1日時点で4000人のフォロワーを獲得。同時に始めたYouTubeも1万5000人を突破し、山尾氏公式の「山尾しおりチャンネル」(1日時点で9700人)を一瞬で追い抜いてしまった。
西沢氏は昨年の衆院選で「手取りを増やす」を掲げた国民民主に賛同し、党員となった。ボランティア活動に励み、参院選でさらなる躍進を期待していた中、山尾氏の公認が発表され、愕然としたという。
「山尾さんがこれまでどのように叩かれ、どのように引退したかの一部始終をすべて見ていた世代。不倫の問題もあるが、ガソリン代やコーヒー代を請求したり、議員活動以外にJRパスを使ったりして、お金関係でトラブっていませんかという話」
特に公認後に党の方針とは異なる女系天皇に関する投稿で、玉木氏から注意されるなど言行不一致の姿勢に業を煮やした。党側に公認見直しを申し入れたが、なしのつぶてで、ペンネーム「山尾しおり」を名乗って、同じ参院選比例代表に出馬することを考えついた。
同姓同名候補が出た場合はどうなるのか。2019年の千葉・勝浦市議選、20年の衆院静岡4区補選で、同姓同名候補が立候補した。選管は年齢や住所地などの記入を呼び掛け、区別がつかない場合、案分票として、得票割合に応じて振り分けられた。ちなみに立憲民主党と国民民主党の略称はともに「民主党」で、21年の衆院選から案分対象となっており、今夏の参院選で4回連続となる。
選挙1か月前で名乗り始めた通称を選管は認定するのか。3月の東京・武蔵村山市長選ではXのフォロワー数100人に満たない「AIメイヤー4号」を認めたが、20年の都知事選では歌手活動していた「スーパークレイジー君」は却下した。
公選法では「本名以外に広く通用しているもの」を条件としているが、選管の判断はケースバイケースで不透明だ。落選目的で「やっている行動は卑怯」と西沢氏は自覚しており、公選法の選挙公正確保に抵触すると判断される可能性もある。
「あくまで抗議活動で、これがうまくいくかどうか分からないが、一個人としての意見を届けたいところから始まっている。3日前まではただドライブが好きだったおっさん。ぜひ分かる方にご協力とご支援をいただきたい」。当面は認知度を広めることに専念するというが、波紋を呼びそうだ。