群馬県の一部地域で、水道水を飲んだ住民14人が食中毒の症状を訴えました。原因とされる箇所は、塩素消毒した水を家庭に供給する前にためておく配水池です。専門家はレアケースとみていますが、安全なはずの水道水になぜ食中毒菌が混入したのでしょうか?そこで今回の#みんなのギモンでは、「水道水に食中毒菌 なぜ混入?」をテーマに解説します。■4人の便からカンピロバクターを検出山崎誠アナウンサー「群馬県の一部の地域で集団食中毒が発生し、原因が水道水だとわかりました。どういったことが起きたのか」

「場所は群馬・神流町(かんなまち)の相原地区です。4月11日以降、9歳以下の男の子を含む80代までの住民14人が、下痢や腹痛などの食中毒の症状を訴えました」「全員が快方に向かっているということですが、県が原因を調べたところ、全員が水道水を飲んでいたことがわかりました」「この水道は、町が相原地区の25世帯44人に供給しているものです。この水の検査をしたところ、細菌の数を示す指標が水道法の水質基準を超えていて、本来ゼロでなければならない大腸菌も検出されたということです」「また保健所の調査によると、4人の便からカンピロバクターが検出されたといいます。カンピロバクターはニワトリやウシなどの家畜や野生動物などの消化管内に生息していて、汚染された水を飲むことで人に感染してしまいます」■原因とみられる場所は「配水池」森圭介アナウンサー「保管状態が悪かったり、池や川の水を飲んだりならわかりますが、水道水でこんなことになるなんて信じられないですよね」桐谷美玲キャスター「ちょっと驚きますよね。食品の食中毒は私も気をつけているんですけど、水道水でこういうことがあるとなると、野菜を洗うことや手洗い・うがいなども水道水でするので、怖いなと思いますね」山崎アナウンサー「そうですよね。生活から切り離せないものですからね。安全なはずの水道水がなぜ汚染されてしまったのか。原因とみられる場所は、相原地区にある配水池です。配水池とは、浄水場で塩素消毒した水を、それぞれの家庭に供給する前に一時的にためておく設備です」「フェンスで囲われ、鍵がかかり、一般の人は入ることができないように管理されています」■2つのタンクが1本につながる構造山崎アナウンサー「配水池の地下ではどうなっているのか。生活用水をためるタンクがあり、浄水場からきれいにした水が送られてくる管と、各家庭に水道水として送る管がつながっています」「ただ今回の原因とみられるのは、生活用水とは別の、畑などに使う農業用水用のタンクが近くにありました。農業用水(のタンク)は、沢などから水が送られてくる管と、畑などへ水を送る管がつながっています」「神流町によると、農業用水用の水が水道用水用のタンクに混入したとみられています。『水が流れる場所もタンクも違うのになぜ?』と思うかもしれませんが、つながっていた場所があったんです」「2つのタンクそれぞれがあふれないように排水するための管があり、それが最終的に1本につながる仕組みになっていました。この1本に合流した先が、何らかの原因で詰まってしまい、逆流が起きたとみられています」「農業用水が生活用水のタンクに逆流して入ってしまったことで、各家庭に送られてしまったとみられています。これまではこういった逆流はなかったということです」山崎アナウンサー「町によると昔から使われている設備で、どうしてこのように1本につながる仕組みなのかは、現段階では把握できていないということでした」「水道の衛生に詳しい県立広島大学・生物資源科学部の橋本温教授によると、カンピロバクターなどの菌は塩素に弱く、通常であれば配水池内の水道水に入っている塩素で消毒できるそうです」「橋本教授は『今回は消毒しきれないほど大量に、汚染された水が入ってしまったのではないか』と話していました」■専門家「逆流しない仕組みであるべき」忽滑谷こころアナウンサー「水となると、目で見てわからないから怖いなと思います。今回はこういった管の構造でこの場所でこういったトラブルが起きたということですが、日本のほかの地域でも起きる可能性はあるんですか?」山崎アナウンサー「橋本教授によると、日本の水道水は塩素消毒を行わなければならない義務があり、大前提として安全で、今回はレアケースだということです。橋本教授は『汚染された水が逆流しない、生活用水に入ることがないような仕組みであるべきだ』とも話していました」■東京都水道局管内の構造は?山崎アナウンサー「東京都の水道局にも話を聞きました。同局管内では、農業用水と水道水は完全に別になっていて、つながらない構造になっています。そして、水道水を川などに排水する設備も、絶対に逆流しない仕組みになっているということです」「(群馬県の)今回の場所では1本につながる構造になっていましたが、ほかの場所では、そもそもそういった仕組みになっていないところもあるということです。水道水は大前提、安全であるということはありますね」鈴江アナウンサー「主に自治体で管理されている水道水ですが、構造上、絶対に交わらないところもあれば、今回のように交わってしまうところもあるということです。改めて逆流が起きていないのか、起こるリスクがないのか点検が進むことが望まれます」「今回食中毒が起きてしまった地域の皆さんが早く安心して水が使えるようになったらなと思いました」山崎アナウンサー「神流町では4月30日午後4時半現在、飲み水として使用できない状態が続いているといいます。群馬県の改善指示を受けて、原因特定に向けて調査を進めているということです」(2025年4月30日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
群馬県の一部地域で、水道水を飲んだ住民14人が食中毒の症状を訴えました。原因とされる箇所は、塩素消毒した水を家庭に供給する前にためておく配水池です。専門家はレアケースとみていますが、安全なはずの水道水になぜ食中毒菌が混入したのでしょうか?
そこで今回の#みんなのギモンでは、「水道水に食中毒菌 なぜ混入?」をテーマに解説します。
山崎誠アナウンサー「群馬県の一部の地域で集団食中毒が発生し、原因が水道水だとわかりました。どういったことが起きたのか」
「場所は群馬・神流町(かんなまち)の相原地区です。4月11日以降、9歳以下の男の子を含む80代までの住民14人が、下痢や腹痛などの食中毒の症状を訴えました」
「全員が快方に向かっているということですが、県が原因を調べたところ、全員が水道水を飲んでいたことがわかりました」
「この水道は、町が相原地区の25世帯44人に供給しているものです。この水の検査をしたところ、細菌の数を示す指標が水道法の水質基準を超えていて、本来ゼロでなければならない大腸菌も検出されたということです」
「また保健所の調査によると、4人の便からカンピロバクターが検出されたといいます。カンピロバクターはニワトリやウシなどの家畜や野生動物などの消化管内に生息していて、汚染された水を飲むことで人に感染してしまいます」
森圭介アナウンサー「保管状態が悪かったり、池や川の水を飲んだりならわかりますが、水道水でこんなことになるなんて信じられないですよね」
桐谷美玲キャスター「ちょっと驚きますよね。食品の食中毒は私も気をつけているんですけど、水道水でこういうことがあるとなると、野菜を洗うことや手洗い・うがいなども水道水でするので、怖いなと思いますね」
山崎アナウンサー「そうですよね。生活から切り離せないものですからね。安全なはずの水道水がなぜ汚染されてしまったのか。原因とみられる場所は、相原地区にある配水池です。配水池とは、浄水場で塩素消毒した水を、それぞれの家庭に供給する前に一時的にためておく設備です」
「フェンスで囲われ、鍵がかかり、一般の人は入ることができないように管理されています」
山崎アナウンサー「配水池の地下ではどうなっているのか。生活用水をためるタンクがあり、浄水場からきれいにした水が送られてくる管と、各家庭に水道水として送る管がつながっています」
「ただ今回の原因とみられるのは、生活用水とは別の、畑などに使う農業用水用のタンクが近くにありました。農業用水(のタンク)は、沢などから水が送られてくる管と、畑などへ水を送る管がつながっています」
「神流町によると、農業用水用の水が水道用水用のタンクに混入したとみられています。『水が流れる場所もタンクも違うのになぜ?』と思うかもしれませんが、つながっていた場所があったんです」
「2つのタンクそれぞれがあふれないように排水するための管があり、それが最終的に1本につながる仕組みになっていました。この1本に合流した先が、何らかの原因で詰まってしまい、逆流が起きたとみられています」
「農業用水が生活用水のタンクに逆流して入ってしまったことで、各家庭に送られてしまったとみられています。これまではこういった逆流はなかったということです」
山崎アナウンサー「町によると昔から使われている設備で、どうしてこのように1本につながる仕組みなのかは、現段階では把握できていないということでした」
「水道の衛生に詳しい県立広島大学・生物資源科学部の橋本温教授によると、カンピロバクターなどの菌は塩素に弱く、通常であれば配水池内の水道水に入っている塩素で消毒できるそうです」
「橋本教授は『今回は消毒しきれないほど大量に、汚染された水が入ってしまったのではないか』と話していました」
忽滑谷こころアナウンサー「水となると、目で見てわからないから怖いなと思います。今回はこういった管の構造でこの場所でこういったトラブルが起きたということですが、日本のほかの地域でも起きる可能性はあるんですか?」
山崎アナウンサー「橋本教授によると、日本の水道水は塩素消毒を行わなければならない義務があり、大前提として安全で、今回はレアケースだということです。橋本教授は『汚染された水が逆流しない、生活用水に入ることがないような仕組みであるべきだ』とも話していました」
山崎アナウンサー「東京都の水道局にも話を聞きました。同局管内では、農業用水と水道水は完全に別になっていて、つながらない構造になっています。そして、水道水を川などに排水する設備も、絶対に逆流しない仕組みになっているということです」
「(群馬県の)今回の場所では1本につながる構造になっていましたが、ほかの場所では、そもそもそういった仕組みになっていないところもあるということです。水道水は大前提、安全であるということはありますね」
鈴江アナウンサー「主に自治体で管理されている水道水ですが、構造上、絶対に交わらないところもあれば、今回のように交わってしまうところもあるということです。改めて逆流が起きていないのか、起こるリスクがないのか点検が進むことが望まれます」
「今回食中毒が起きてしまった地域の皆さんが早く安心して水が使えるようになったらなと思いました」
山崎アナウンサー「神流町では4月30日午後4時半現在、飲み水として使用できない状態が続いているといいます。群馬県の改善指示を受けて、原因特定に向けて調査を進めているということです」
【みんなのギモン】身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)