公明党の斉藤鉄夫代表は4月24日、訪問先の中国・北京で記者団と懇談し、連立組み換えとも取れる発言をしたため、支持母体・創価学会内で激震が走ったという。斉藤代表の場合、似たような“前科”がある。3月、石破茂首相との会談後、首相が「強力な物価高対策」を打ち出す意向を示したと発言。しかし、これが予算審議が大詰めの時期だったために各方面から批判を浴び、石破首相は国会で陳謝させられる破目に。きっかけを作った斎藤代表も「不適切」だったと謝罪した過去があった。そして、今回もまた「不適切」との指摘を受けているという。どこが問題だったのか。
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斉藤代表の発言はざっと以下の通り。
・少数与党としてこの半年間、野党の真摯な協力もあって予算や法案も成立してきた。しかし、野党も含めて合意形成を得るには大変な政治的技術と努力、エネルギーが必要だと実感。
・素早く的確な判断のためには衆院で多数を形成する勢力が内閣を作ることが必要。自公連立政権としてどう考えるべきか、よく模索していきたい。
「自公与党は衆院で過半数に足りず、そのため2025年度予算の審議などで野党の修正要求に応じざるを得ないなど、安定しない政権運営を余儀なくされたのはご承知の通りです」
と、政治部デスク。
「今回の発言は衆院で過半数を確保するため、連立の組み換え、枠の拡大を示唆したものと受け止められています。具体的には国民民主党の連立入りを念頭に置いた発言なのでしょう」(同)
国民民主の連立入りという構想そのものは何ら不思議な話ではなく、以前からささやかれてきたことではある。
たとえば、自民党の麻生太郎氏が副総裁時代に国民民主の連立入りのために動いていたことはよく知られた話だ。もともと公明・学会とは距離のある麻生氏は公明幹部を「がん」と名指しして批判したこともあり、公明を連立から外すことも想定されているのかなど、憶測を呼んだこともある。
「“がん”発言当時とは政治状況がすっかり変わってしまいました。自公与党は衆院で過半数割れし、国民民主は議席を大幅に増やしています。石破首相は野党側に低姿勢で丁寧な対応を重ねてきました。常にそういったスタンスで臨み続けて政権が不安定になるよりは国民民主に与党入りしてもらった方がベターだというのが斉藤代表の言い分なのでしょうが、特に学会内では“不適切”との指摘があがったそうです」(同)
状況を見る限り、そうおかしなアイデアではなさそうなのだが、どのあたりが「不適切」とされたのだろうか。
「自公連立が成立する際には“自民側が頭を下げ”、そうなったという経緯があります。1998年の参院選で自民党が大敗し、政権運営の安定化のため、旧自由、そして公明を与党に迎え入れました。旧自由がその後に離脱し、2003年から自公連立の体制になりました。今や公明との選挙協力なしに選挙で確実に勝てる自民候補はそう多くはいません。今回、国民民主と政党名を明示しないものの“秋波”と受け取られかねないメッセージを送るのは、いくら過半数割れしているからとはいえ、“軽く見られてしまう”ことを快く思わない人がいるのかもしれません」(同)
実際に連立入りとなれば大臣の配分も変わる可能性がある。これは公明党・学会にとっては重大な問題である。
「そういった点も踏まえずに、しかも参院選まで90日を切ったこの時期だったため、“安易でセンスのない発言だった”と厳しく言われているようです」(同)
参院選では改選7議席の死守が至上命令とされる。
デイリー新潮編集部